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【連載小説】雨恋アンブレラ

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#恋雨

【連載小説】雨恋アンブレラ_5

 3つの条件がそろった。
 けれどわたしは一人でバスに乗り、天海君が隣にいない窓際の座席で、信号待ちで止まるたびにお尻から突き上げてくるようなエンジンのうなりを感じながら、じんわりと外気の熱を伝えてくるぬるい窓ガラスに頭をつけて、見るとはなしに雨の景色を見ている。いくら条件がそろっても、天海君が休んでしまっているのだから、一緒に帰れるはずはない。
 思い出されるのは、先週のこと。
 どうしてあんな

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