一卵性母娘

だんだん似てきている、気がする。


わたしと、母。

周りからは、
「本当に仲が良くて似てるよね。姉妹?」
と言われる程の間柄だった。

過去形にしたのは、母は今この世にはいない。
随分時は経ってしまったけれど、母を思い出すと、未だに辛くなる。


けれど、この世に母がいなくても、わたしのこころには母が生きていると感じる。

母がいなくなってから、ふと、母に似ていると思うことが増えた。
きっと、念慮くんと闘っているのは…わたし自身ではあるけれど、母もいるのでは?と思ってしまう。

毎日、母に手を合わせ、

「今日も楽しんでくるよ」
「辛いけど踏ん張るから、見守っててくれるかな?」
「じゃあ、一緒に旅行楽しもうか!」

などと、常にこころの中で声をかけている。

姿形が消えることが、1度目の【死】。
亡くなった人を忘れてしまうことが、2度目の【死】であり、本当の【死】。

そんな言葉を聞いたことがある。

わたしの母方の祖母も、

「あんたは、しっかりお母さんの分まで生きなさい。」
「そして、毎日、お母さんに声をかけなさい。」
「あんたの中には、ちゃんとお母さんが生きている。だから、それを忘れずに過ごしなさい。」

と、母がいなくなった時に言ってくれた。

きっと、祖母も母のことを忘れていないと思う。
自分よりも娘に先立たれてしまうことは、本当に悔しいと思うから。
そこに対しては、わたしのせいでもあるから、祖母には死んで詫びても詫びきれない。

それでも、祖母はわたしのことを憎んでいても

「生きなさい。それがあんたのこれからの試練であり、宿命。」

と、生の苦しみを選ぶことを告げてきた。

やっぱり、母方の女性陣は本当に強いのだと思う。
そして、本当に人情に厚く、とても優しい。
料理上手だし、器用で、忍耐強い。
そんな女性陣だった。

そういや、曾祖母と祖母も一卵性母娘だったな…。
そういうところは、母とわたしも受け継いだのかもしれない。


わたしは、母や祖母からしてみたらまだまだ弱い。
けれど、これからの人生の荒波を楽しみながら生きていくことで、母や祖母のように強くて優しい人になりたいと思った。

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