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#1 「LIFE SPAN」を読み解く

こんにちは、2ndGYMです。
早速ですが下記の内容で意識または実践してることはありますか?

・砂糖・パン・パスタの摂取量をできるだけ少なくする。
・1日のどれか1食を抜くか、少なくともごく少量に抑えるようにしている。
・毎日できるだけ歩くことを心がけ、上の階に行く際には階段を使うようにしている。
・週末はほとんど毎週ジムに行く。ジムではバーベルを挙げ、少しジョギングをし、サウナでしばらく過ごしてから、氷のように冷たい水風呂に浸かっている。
・植物をたくさん摂取し、ほかの哺乳類を口にするのはなるべく避けるようにしている。
・タバコは吸わない。過度な紫外線や、レントゲンやCTスキャンは避けるようにしている。
・日中と就寝時は、涼しい場所にいるようにする。
・最適の範囲内にBMI(体格指数)を保つことを意識している。


これは昨年発売された『LIFE SPAN』の著者であり、老化と若返りの第一人者と呼ばれるハーバード大学医学大学院の科学者のデビッド・A・シンクレアさん本人が実践する内容です。

『LIFE SPAN』は世界20か国で刊行され全米ベストセラー、著者のシンクレアさんは『タイム』誌による「世界で最も影響力のある100人」(2014年)、「医療におけるトップ50人」(2018年)の1人にも選出されています。

本人は医者ではなく科学者であることを強調しており、医学的なアドバイスはするつもりはないということですが、どれだけ研究結果を主張してもそれが本人が実践していないようなものは説得力がないですよね。なので先に、若返り研究の第一人者が実際に行っていることを示しました。老化を防ぐためにこれらは真似して間違いなさそうです。

ではここから本書の内容を噛み砕いて抜粋していきます。

老化の唯一の原因

それは、「サーチュイン」などの、生殖とDNA修復を調節している長寿遺伝子の働きが衰え、原初の細胞に備わった調節システムである「サバイバル回路」が機能していないことでDNAの損傷が進行し細胞が老化することが原因であると示します。

では、何がDNAを損傷させているかというと、一言で答えるなら「生きていること」。生きていれば、有害な化学物質や放射線にさらされる場合もあるし、ごく正常なDNAの複製プロセスでも損傷の原因になりえます。

生体に適度なストレスがかかることによってサーチュインなどの長寿遺伝子がはたらき、DNAの修復と生殖を繰り返す。つまり、毒が毒にならない程度の量で刺激効果をあらわす「ホルミシス」効果によって、良好な状態になり長寿に近づきます。

サーチュインとは、「災害対応部隊の指揮官」のようなもので、DNAの安定化、DNAの修復、細胞の生存、代謝、細胞間の情報伝達などの問題に対応しています。ハリケーンや地震のたびに現場に急行し、被災地の秩序を回復すべく活動し終えたら、それぞれの災害対応部隊は家に帰り、各家庭の仕事を続けていくことになります。

しかし、緊急事態に次々と見舞われたら救助隊は自宅に帰ることもできず、立て続けに再出動を余儀なくされ、修復が間に合わずホルミシスが保たれません。

万人を蝕む見えざる病気

老化は避けて通れないものなでではなく、がんも心臓病もアルツハイマー病も、一般に加齢と関連づけられる他の色々な状態も、それら自体が病気なのではなく、老化そのものが1個の疾患なのです。

40代や50代のうちは、年をとったらどんな感じがするものかを考えることはあまりありません。それは「高齢者疑似体験スーツ」を着用することでイメージしやすくなります。それは首の動きを制限し、鉛の内張りをしたジャケットとブランケットで全身を覆って衰えた筋肉を体感するというものです。さらに耳栓で音を聞こえにくくし、スキーゴーグルで疑似的に白内障をつくり出す。これを10年、身につけて生活を送る状態を頭の中でイメージしてみましょう。

高齢者の気もちになってみたいなら、利き手じゃない方の手で名前・住所・電話番号を書きながら、同時に反対側の足を反時計周りに回してみるといいです。

つまり、老化は身体感覚を衰えさせ、生活の質を落とします。肉体の変化は誰にでも起きます。皮膚にはしわが寄り、髪は白くなる。関節が痛み、寝ていて体を起こすときにうなり声をあげるようになる。病気はもちろんのこと、生きていればつきもののちょっとした打撲からも回復しにくくなります。

現代医学を取り巻く風土は、医学上の問題に一つ一つ対処するという姿勢の上に築かれています。病院や研究機関は、整形外科、婦人科、精神科、免疫科、皮膚科、がん、心臓病などなど、様々な分野で原因の特定に執念を燃やしています。しかし、一つの病気の進行を止めたからといって、その患者が別の病気で死ぬ確率が減るわけではありません。むしろ、一つの病気を治したせいで、別の病気になる要因を増やしてしまうこともあります。

例えば、化学療法はある種のがんを治療できる一方で、体を別のがんにかかりやすい状態にしてしまう。あるいは一見ありふれた整形外科手術でも、患者を心不全へと大きく近づけるおそれもあります。

一つの病気が現れたら、ほかには何も存在しないかのようにしてすぐにその病気を攻撃する。首尾よく倒せたら、患者をドアから追い出して放っておき、次の試練に直面したらまたそれを叩く。失敗するまでそれを繰り返すという、いわば現代の医療はモグラ叩き式に対処しているだけであり、私たちが老化しつつある状況に変わりはないのです。

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本書p.154より

もっとも、研究や統計などに頼らなくても何が起きているかはわかります。年をとればとるほど、それが目立つようになっていく。50歳になると親に似てきたことに気付き、白髪もしわも増えていく。65歳になり、まだ何の病気にも体の不自由にも苦しんでいなければ自分は運がいいと考える。80歳になってもまだ世を去っていないとしたら、ほぼ間違いなく何らかの疾患と闘っている。すでにそのせいで生活は以前より困難に、より不快に、より楽しくなくなっているはずです。

ある研究によれば、85歳の男性は平均で4種類女性は5種類の病気の診断を受けています。心臓病にがん、関節炎にアルツハイマー病、腎臓病に糖尿病。その陰には高血圧、虚血性心疾患、心房細動、認知症。これらは全て別々の疾患だから、それぞれの建物、部門で研究されています。しかし、老化こそがこれらすべてに共通する唯一のリスク因子なのです。

老化は1個の病気である。私はそう確信している。その病気は治療可能であり、私たちが生きているあいだに治せるようになると信じている。そうなれば、人間の健康に対する私たちの見方は根底からくつがえるだろう。


今回の記事#1では、『LIFE SPAN』での問題提起と解決への導入部分を噛み砕いていきました。次回は、老化を食い止めるため我々がとるべき具体的なアクションについて書いていきます。


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