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冬は答え合わせの季節

早朝の澄んだ青は絶望の匂いがする。冬の雲ひとつない乾いた空気は絶望の匂いがする。だけど冬の朝っていちばん光に近いんじゃないかな。絶望って眩しすぎるから。絶望した時に何も見えなくなるのは光のなかにいるから、そこが爆心地だから。眩しくおどるプリズムたち。鋭く透明なその空気をきみは簡単に白く染め上げてしまう。そこにきみは生きていることを証明する。きみの温度が上がるほど、空気の温度が下がるほど、きみはきみの証明が上手くなる。冬は答え合わせの季節。わたしの息吹を、その目で捉えて。わたしのつめたい指先の中に脈動を探して、測って教えて。わたしがちゃんと生きていることを、その目で、その指先で、たしかめて。
たしかめるまえに、答え合わせをする前に、ひとりで答えを出していなくなってしまったきみへ。
こんなことになるのなら、きみがそのつめたい口をひらく前に、答え合わせをする前に、その冷えた唇を強引に奪ってしまえばよかった。

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