見出し画像

経営状況・経営課題の把握(見える化)

以前の記事でご紹介した事業承継を実行するまでの5つのステップ

このうち、ステップ② 「経営状況・経営課題の把握(見える化)」について事業承継ガイドラインを参考に深掘りしていきたいと思います。

円滑な事業承継のための「最初の一歩」

事業を後継者に円滑に承継するためのプロセスは、経営状況や経営課題、経
営資源等を見える化して、自社の現状を正確に把握することから始まります。

自社の現状把握(見える化)は円滑な事業承継のための、

まさに「最初の一歩」です。

経営者は頭の中で、自社の現状を把握されていることでしょう。
しかし、頭の中にあること再度洗い出し、これを文章や図にしてシートに整理して見える化すると【新たな気づき】が生まれることがあります。


再度洗い出した自社の経営状況・経営課題をもとに、市場や業界の動向を踏まえて分析検討します。

・顧客から選ばれる自社の強みは何なのか?

・商品力・開発力は同業他社と比較して競争力を持っているのか?

・利益を確保する仕組みになっているのか?

・事業が今後どれくらい持続し、成長することができるのか?

・自社の弱みを克服し、課題を解決する方法はあるのか?


自社の強みと弱みを見える化し、
強みをいかに伸ばすか、弱みをいかに改善するかの方向性を見出します。

この時「強みを伸ばす」と「弱みを改善する」のどちらを重要視するか?

中小企業の場合、「強みを伸ばす」ことに重点を置くべきです。
理由は以下の通りです。

①中小企業は限られた経営資源(人・モノ・金)で事業を運営している

②強みを伸ばすことを検討する方が前向きな思考になれる

③弱みの改善は、外注化など他社資源の活用を検討しても良い

見える化は、経営者自ら取り組むことも可能ですが、身近な士業専門家や金融機関等に協力を求めた方がより効率的に取り組むことができます。
一度相談することを検討してください。

見える化のメリット

①事業の見える化メリット

 ・事業の将来性の分析や自社の経営体質の確認ができる
 ・自社の強み、弱みを再確認できる
 ・取り組むべき課題を洗い出し、優先順位を付けることができる


②資産の見える化メリット

 ・経営者の個人資産について会社との貸借関係を再確認できる
 ・後継者に残せる経営資源を明確にできる
 ・後継者の不安が解消され、承継後の経営を安定させることができる


③財務の見える化メリット

 ・適切な会計処理を通じて、客観的で正確な財務状況を明らかにできる
 ・金融機関や取引先からの信用度を高めることができる
 ・資金調達の円滑化、取引の安定化につなげることができる


見える化プロセスの目的と効果

事業承継の「最初の一歩」である経営状況・経営課題の見える化のプロセスは経営者に重要視されない傾向があります。

その理由は、経営者は頭の中で自社の現状を把握しているからです。

そのため、見える化のプロセスを軽視してしまうのです。

しかし、このプロセスを疎かにしたがために、

自社の置かれている状況と承継後のビジョンが合致しなかったり、金融機関や取引先からの信用を失ったりして、事業運営が立ち行かなくなることも考えられます。

この見える化プロセスの目的は、

自社の現状を経営者・後継者・金融機関・取引先等の関係者で共有し、未来に向けて経営方針を定めることです


そして、見える化プロセスに取り組むことで得られる効果は、

事業承継後の経営ビジョンに対して、後継者と従業員の間で理解が深まり、組織に一体感を作れることです。その結果、現場や市場の変化に対応したスピーディーな意思決定が可能になるのです

いいなと思ったら応援しよう!