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事業承継の3類型(③社外への承継)

社外への承継とは

子でも親族でも従業員でもなく、自社以外で活躍している経営スキルのある人に承継してもらうことで、一般的にはM&Aを指します。

近年、ゼロから起業することに比べて事業を軌道に乗せやすいという理由から起業家がM&Aの担い手となるケースが増加しています。

さらに最近ではサラリーマンが勤務時代に培ったノウハウを活用して、中小企業の経営権をM&Aにより取得し、経営者に転身するようなケースも増えています。

中小企業が後継者不在で廃業に至るケースが増加している昨今、親族や従業員以外の後継者が会社を存続・発展させていく方法としてM&Aは注目されています。

以前はM&Aといえば大企業同士でされるイメージがありましたが、今後はスモールM&Aと呼ばれる中小企業を対象としたM&Aが広がりをみせると思われます。

M&Aの仲介業者も増加傾向で、国もM&Aの専門家を育成する方策を打ち出しています。


社外への承継(M&A)売り手側のメリット

・後継者不在の問題を解決できることで、会社を存続させ、従業員の雇用を確保することができる

・将来的なビジョンを持つ優良な企業や起業家に会社を託すことにより、自社だけの努力では成し得なかった企業発展の機会がある

・現経営者が株式売却収益を獲得できる

・会社を廃業する決断をした場合にも様々な費用(例 設備や在庫の処分費、店舗の原状回復費等)がかかりますが、M&Aにより事業承継することでこれら廃業費用軽減されたり、不要になったりする


社外への承継(M&A)買い手側のメリット

・売り手側企業が保有する設備や不動産だけでなく、技術、ノウハウ、取引先、流通ネットワークといった有形・無形の資産を獲得することで事業規模の拡大を図ることができる

・自社の業種や事業内容と異なる企業をM&Aによって獲得することで、異分野への参入であったり、川上から川下へのバリューチェーンの拡大を図ることができる

・企業が新たに事業を立ち上げるためには、技術力向上、商品開発、従業員の教育、マーケティングなど多くの時間やコストが必要になりますがM&Aによって、既に出来上がっている企業を獲得できれば、こうした時間やコストを削減できる

社外への承継(M&A)売り手側のデメリット

・M&Aプラットフォームや仲介業者の普及が広がりを見せているものの、
   事業の将来性はどうか?
   キャッシュフローを生み出すか?
など、将来どれだけ収益を生むかで企業が評価される傾向が強く、評価が低い場合、買い手が見つからず、いつまでも事業承継ができない

・企業文化の異なる企業に買収された場合、文化の融合に時間がかかり、社内に大きな混乱を招いた結果、承継後に従業員のモチベーションが低下したり、雇用や労働条件が変更され雇用の維持がされない可能性がある

社外への承継(M&A)買い手側のデメリット

・企業文化や従業員待遇が異なる企業同士が統合するため、有機的な融合が実現するまでに時間がかかる

・会社間の溝が解決できない場合、企業間での派閥が生まれて対立したり、優秀な社員が退職してしまうなど、予想していた相乗効果が得られない可能性がある

・買収後に簿外債務が発生するリスクがある

まとめ

社外承継・M&Aは既に地方の中小企業にも広がりを見せており、大企業や都市部だけの話ではなくなっています。

売り手と買い手双方にメリット・デメリットが存在します。

M&Aは売買取引であるため法務や税務の知識が必要になりますので、M&A仲介業者や士業等の専門家に関与してもらうことがリスクを回避することに繋がると考えます。







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