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17歳の初舞台はテンペスト?

 ぼくはシェークスピアには深く接してこなかった部類の俳優だ。それが、今書き始めている舞台台本がシェークスピアの世界観に近くなりそうなので、本家に似たような作品がないか改めて調べていた。そこで興味深いある発見があった。それは「テンペスト」の内容についてである。ぼくは17歳で初舞台を踏んだ。場所は、現在は取り壊されてしまった新宿コマ劇場である。スリル感あるアクションと華やかな歌と踊りのあるミュージカルだった
その作品とテンペストの内容が酷似していることに今になって気付いたのだ。当時は自分がどう演じるべきかなど考える余裕もなく、演出家や先輩から言われるがままに、恐れ知らずと若さと体力だけを武器に舞台に上がっていた。物語の内容など気にもしていなかった。今記憶を追ってみるとストーリーライン、登場するキャラクターがまるでテンペストと被っている。シェークスピアに触れてこなかった俳優だと思っていたが、デビュー作はミュージカル版テンペストだったのだ。作品は完全にエンターテイメントとして振り切っていたので、客入りも評判も良く、三年の間再演を繰り返していた。しかし、あのテンペストをよくぞアクション娯楽作品としてまとめ上げたものだ。これは憶測だけれど、出演者は誰一人それと気づいていなかったのではないだろうか。「アクションミュージカルテンペスト」それを知っていたのは脚本家と演出家だけだったかもしれない。嬉しい発見だった。


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