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寝所で交わりをしたイザナミ

イザナミが云う、そこではない 後編

「古事記」にはいくつもの話が登場しおります。上巻はイザナキノミコトとイザナミノミコトという男女が大地と神を生んで世界を形作るのです。
高天原という天空世界(仮想空間)に神々が繁栄し、地上には出雲の神々が繁栄する。やがて高天の原から降りてきたアマテラスの孫が地上をも支配することになり、それが初代の天皇に結びついていく・・という長編の話になっております。しかし「中巻と下巻」は、天皇たちの物語が短編小説集のようにたくさんつながっているから、一部分だけを読んでも楽しめます。
「三浦先生」の話し、より抜粋

その「古事記」を読む場合、とっかかりとして、そうした平易な翻訳解説がないと、読めないので、ここではさらに易しくしてあります。

と云っても、この「イザナミとイザナキ」の章では、神が国土を作るシーンとなってますが、その前の儀式が肝心で、ものを生産するには構成がひつようで、その喩えとして、人間の性交行為をもって、そこから島が生まれた、という超人的な記述となります。
いまも昔も人間(生物)の基本系は性交によって子孫維持という前提があります。セックスをタブー視するのは概ね、宗教戒律によるものです。

前項のヤマトタケル東征で話した、使者(今風のネットSNS)ヤタガラスなども、超人的な能力保持者で描かれていますが、そこいら辺は、やっぱり現代的解釈で翻訳されているのだと思います。

ですから、江戸時代の「本居宜長」が解読した、という当初の感覚と今では、まったく異なると思います。
■本居 宣長(もとおりのりなが)は、江戸時代の国学者・文献学者・医師である。 当時、既に解読不能に陥っていた『古事記』の解読に成功し、『古事記伝』という書物を著した。 『古事記伝』は、宝暦14年(1764)から寛政10年(1798)までの長い年月をかけて完成。ウイキペディア

古事記原文(漢文)は下記に記述してありますが、まったく理解不能で、どうしても本居 宣長の翻訳力が必要です。

さてそのイザナミとイザナキの性交シーンですが、いわゆる「ロマンポルノ」には程遠い。というとおかしな例えになりますが、最近視ているアメリカ映画ではセックスシーンが100%ある。
それに比べたら日本映画、とくに「黒沢映画」では見たことがない。唯一、三船敏郎と京マチ子の羅生門でキスシーン(白黒映画で前代未聞)しかなく、その違いを浮き彫りにしてます。
それだって日本人が、それしてないかと云ったら無理な話で、先日も紹介した「江戸浮世絵春画」はヨーロッパでは超人気なのです。
兎に角、人はそれが好きで、なんといっても産業の稼ぎ頭が「ポルノ」だそうです。さもありなん。いやはなしが逸れました。

その前戯として、「お前さん、そこに空いてるアナはなに?」、と問えば「では訊きたいのですが、そこにある棒を、ここに入れないさ」と直接表現ではないようですが、性器挿入のシーンがそれで、その結果にできたのが日本国の4つの本土と島という、まさにドラゴンボールの世界です。

その前に「暗証番号」聞き取り問答があって、なあたが先に云ったのは間違い、それではない。とやり直しをさせる。

「イザナミが云う、そこではない」というのがそれで、もう一度やりなおして、私のアナに入れよ、という問答です。

あと、「あなたは右からお廻りください。私は左から廻ってあなたにお逢いしましょう。」、という説がありますが、これが大問題で、時計回り半時計回りは、コリオリ現象のように、地球自転と連動するので、当時の自然界現象に従ったと解されますが、その根拠は明確ではありません。
ですからここに書いてあるように、左右別々から廻るというのが果たして、性交を意味するかと云ったら、不明な点があります。
だから大雑把に捉えて「ドラゴンボール」方式をとった、としか考えられません。まあ今一度本居 宣長の古事記伝を、復習する必要がありますが、多分、余計判らなくなる、という危惧がありますね。

それとは別ですが、やはりその回転と云うのは、ギリシア天文学以来の自然観測に依っているが基本だと思われます。今では気象衛星画像のリアルタイム像によって、空の雲がリアルタイムで、観測できますが、地球回転と、その上空の雲が、半回転している様子がよくわかります。

当時としては、宇宙の天動地動説は解明されてませんから、右から、左からという起点は、回転地軸反転のような観測視点のように思われますが、その時代としては、経験的観測、からそう判断したのでしょう。

古事記は、われわれに何を教えるか

古典古事記は、書いたものとして世界最古とされますが、世界の旧い遺跡では、さらに古い文書(楔粘土、パピルス)などありますが、古事記は、それらと比べても遜色ないと思います。

そこから読み取れるのは、古来よりあった政治のスタイルで、人はそれによって統制されていたことが理解できまする。東西の比較で云っても君主政治ありきで、人間社会は構成されていたことがよくわかります。

また、その政治形態はさまざまですが、道路の車道左右通行の違いが、そのまま国家規律スタイルに反映していることが伺えます。

やはり温故知新のことわざは公正な方法論として説得力があります。さらに不文律に言及すれば人間種の保存、性交問題を単なるエンタメにするだけでなく科学において分類分析しないと、見境のなクローンが無限に量産される世界になってしまうでしょう。いまのChatGPTがそれを教えています。

イザナミとイザナキは、かくして性交に至れり

このオノゴロ島にイザナキ神とイザナミ神が天の高天原より降って、
そこに天の御柱(みはしら)と八尋殿(やひろどの)を見つけました。

そこで、イザナキ神はイザナミ神に問いかけました。
「イザナミよ。あなたの身体はどのようにできているのか」と。

イザナミ神は答えました。「私の身体はよくできているけれど、
よくできあがっていない部分が一カ所あります。」と。

それを聞いたイサナキ神は答えました。「私の身体はよくできているけれど、一カ所だけ余っている部分があります。
私の余っている所と、あなたのよくできあがっていない部分を刺し塞いで、
国土を生み出そうと思いますが、いかがですか?」と。

イザナミ神は答えました。「はい。それはよいお考えです。」

そこでイザナキ神は、「それでしたら、私とあなたで、この天の御柱で廻り逢ってから、を行いましょう。
あなたは右からお廻りください。
私は左から廻ってあなたにお逢いしましょう。」と、イサナミ神と国を生むお約束をなさいました。

約束し終わって、天の御柱を廻った時、イザナミ神が先に言いました。
「まぁ、なんと愛しい男神よ。」と。
その後にイサナキ神が言いました。

「まぁ、なんと愛しい女神よ。」と。
言い終わった後に、
イザナキ神は
「女性が先に言うのは良くないだろう。」
と言いましたが、二人は婚姻を行いました。

こうして生まれた子は水蛭子(不具者)だったので、葦(あし)の船に乗せて流しました。
次に淡島(あわしま)を生みましたが、これも子には数えません。

そこで、二神は相談しました。「今私たちが生んだ子どもは良くありません。やはり天の神々のところへ参上して申し上げましょう。」と。
すなわち、天の高天原に行って、天の神々の言葉をうかがうことにしました。

天の神々は占いをして「女性が先に言葉を話したのがよくないようだ。
また帰って先に言う方を改めなさい」と。
こうして、地のオノゴロ島に帰り降りて、再びその天の御柱を前にと同じように廻りました。
今度は、イザナキ神が先に言いました。
「まぁ、なんと愛しい女神よ。」と。
言い終わった後に、イザナミ神が言いました。
「まぁ、なんと愛しい男神よ。」と。

言い終わった後に生んだ子は、初めに生んだのが淡路島、
次に生んだのが四国、三番目に生んだのが隠岐。
そして九州、壱岐、対馬、佐渡と生み、ついに本州を生みました。
この八つの島を大八島国といいます。

国を生み終えたイザナキとイザナミは、次に神々を生みました。

伊邪那岐命と伊邪那美命
於是天神、諸命以、詔伊邪那岐命・伊邪那美命二柱神「修理固成是多陀用幣流之國。」賜天沼矛而言依賜也。故、二柱神、立訓立云多多志天浮橋而指下其沼矛以畫者、鹽許々袁々呂々邇此七字以音畫鳴訓鳴云那志而引上時、自其矛末垂落之鹽累積、成嶋、是淤能碁呂嶋。自淤以下四字以音。

於其嶋天降坐而、見立天之御柱、見立八尋殿。於是、問其妹伊邪那美命曰「汝身者、如何成。」答曰「吾身者、成成不成合處一處在。」爾伊邪那岐命詔「我身者、成成而成餘處一處在。故以此吾身成餘處、刺塞汝身不成合處而、以爲生成國土、生奈何。」訓生、云宇牟。下效此。伊邪那美命答曰「然善。」爾伊邪那岐命詔「然者、吾與汝行廻逢是天之御柱而、爲美斗能麻具波比此七字以音。」

如此之期、乃詔「汝者自右廻逢、我者自左廻逢。」約竟廻時、伊邪那美命、先言「阿那邇夜志愛上袁登古袁。此十字以音、下效此。」後伊邪那岐命言「阿那邇夜志愛上袁登賣袁。」各言竟之後、告其妹曰「女人先言、不良。」雖然、久美度邇此四字以音興而生子、水蛭子、此子者入葦船而流去。次生淡嶋、是亦不入子之例。

於是、二柱神議云「今吾所生之子、不良。猶宜白天神之御所。」卽共參上、請天神之命、爾天神之命以、布斗麻邇爾上此五字以音ト相而詔之「因女先言而不良、亦還降改言。」故爾反降、更往廻其天之御柱如先、於是伊邪那岐命先言「阿那邇夜志愛袁登賣袁。」後妹伊邪那美命言「阿那邇夜志愛袁登古袁。」如此言竟而御合生子、淡道之穗之狹別嶋。訓別、云和氣。下效此。次生伊豫之二名嶋、此嶋者、身一而有面四、毎面有名、故、伊豫國謂愛上比賣此三字以音、下效此也、讚岐國謂飯依比古、粟國謂大宜都比賣此四字以音、土左國謂建依別。

次生隱伎之三子嶋、亦名天之忍許呂別。許呂二字以音。次生筑紫嶋、此嶋亦、身一而有面四、毎面有名、故、筑紫國謂白日別、豐國謂豐日別、肥國謂建日向日豐久士比泥別自久至泥、以音、熊曾國謂建日別。曾字以音。次生伊伎嶋、亦名謂天比登都柱。自比至都以音、訓天如天。次生津嶋、亦名謂天之狹手依比賣。次生佐度嶋。次生大倭豐秋津嶋、亦名謂天御虛空豐秋津根別。故、因此八嶋先所生、謂大八嶋國。

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古事記の神話

古事記 原文

https://www.seisaku.bz/kojiki/kojiki_02.html


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