世の中で一番状態の悪いピアノは...
一般家庭からホールや学校、飲食店、ホテル、屋外や船の上まで、いろいろなところにあるピアノを調律をしてきましたが、断言できます。
「世の中で一番ピアノの状態が悪いのは学童施設である」と。
小学校に併設されているいわゆる「学童さん」
毎年10台くらいの学童さんのピアノを診ていますが、まあ壊れること。
学童に入ったピアノがもれなく受ける最初の洗礼は譜面台の破壊。そんなことは序の口で、1年で10本近くの弦が切れていることもあれば、強く叩かれすぎてハンマーや鍵盤が折れてたり、どうやって踏んだらこの部品外れるの?と思うようなペダルの踏まれ方…
こういった場所ではとにかく「子供たちにピアノが壊れてたり調子が悪いことを気づかれない」ことを重視してメンテナンスをしています。
細かい音程やタッチのことは置いておいて「いつもは演奏に支障がなければ後回しにするけどわかりやすく壊れてる」みたいなところも優先的に直していきます。子供ってソファの穴とか見つけるとどんどん広げていきますよね…
とにかく弱みを見せないように「全然元気ですが?」というアピールをピアノにさせる感じ。
これ、もはや野生動物の生きる術と同じですね。
学童さんのピアノは「公の場所にあるピアノ」の最も過酷な例です。子どもたちのパワーはすさまじいです。
管理する先生方も調律師も大変ですが、それだけピアノを隅々まで使ってくれてるというのはピアノ冥利に尽きるのかもしれません。
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