見出し画像

昭和のピアノの常識と令和のピアノのこれから

他の色々なことと同じように、ピアノの常識も昭和の時代とはだいぶ変わりました。

仕事の性質上、あらゆる場面で元号を使わないように心がけていますが「人の意識も含めた“時代”として考えるときには元号で括るのはあり」と言う投稿を見てなるほどなと思ったので、たまには元号で括ってみます。

余談ですがあるピアノの調律記録。昭和45年の担当者がタイムスリップしてこれを見たら「昭和の次の元号は令和か〜」となりそう

ピアノが一番売れていた時代、メーカーも販売店もとにかく「ピアノに湿気は大敵」と言うことを一番に警告していました。

昔のピアノ購入者向けのマニュアルを見ると面白くて「なるべく乾燥させましょう」とすら書いてあります。

それから数十年経った令和のいま。むしろ逆に乾燥が大きな問題になっています。深刻度で言えば圧倒的に乾燥のほうがピアノへのダメージは大きいと言うおまけ付きで

これはなにも昔のピアノが湿気に弱くて今のピアノが乾燥に弱いと言うことではなく…気候の違い、土の地面、家の気密性、基礎のつくり、湿度を積極的に下げる機器が市場に無いことなど。当時の世の中は湿度がかなり高い環境だったことがそもそもの背景としてあります。

とは言えメーカーもピアノが乾燥に弱いことは承知の上。それを踏まえた上でもまずは「ピアノに湿気はヤバいので!」と強く伝える必要があるほどの状況だったんでしょう。

その業界の努力は、今でもピアノの部屋では加湿器を使ってはいけないと思っている方も結構いるほどに、ピアノユーザーの常識として根強く印象づいています。

ここ数年で乾燥のヤバさが浸透してきた

そんなこんなで長らく「ピアノには湿気だけが悪」と言うイメージは払拭されませんでしたが、ここ数年で急激に「乾燥し過ぎるのも良くない」ということが浸透してきたようで、冬の乾燥対策をされる方が増えてきました。

健康への関心やテレワークでの住環境への意識の高まりも関係しているんですかね。

でも、せっかくの対策が残念ながら効果がなかったり、むしろ逆効果なやり方になってしまっていることが結構あるので...次の段階としてはピアノの正しい乾燥対策を伝えていかねばと感じています。

よくある間違った乾燥対策。
それぞれ詳しくは過去記事に掲載しています。

乾燥は“なんとかならない”

冬のあいだ安定的に湿度を保つには結局これしか方法がありません。

・気化式の加湿器を24時間つかう
・日当たりのある部屋にはカーテンを
・窓を開けっ放しにしない

乾燥で受けるダメージは、調律や修理をしたからといってチャラにならないタイプの影響です。この事実はまだまだ浸透してない気がします。

話をしていると部屋干しや濡れタオルで、あわよくばなんとかなるんじゃないかと思っている方も多いです(気持ちはわかりますけどね)

でも一日でも早くきちんとした乾燥対策をしてもらいたいので、ちょっと強めにホンネを言うならば…

悪あがきしないで、とにかく加湿器を置いて!(懇願)

この記事が参加している募集

仕事について話そう

もし記事が参考になりましたらスキを押して頂けると励みになります!