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実はまちがいな、ピアノの乾燥対策

ピアノには乾燥し過ぎも良くないということがだいぶ浸透してきたようで、冬の乾燥対策をされているお宅が増えてきました。

でも、せっかくの対策が残念ながら効果がなかったり、むしろ逆効果なやり方になってしまっていることがあるので...よくあるNG事例をご紹介します。

1.部屋干しでの加湿

部屋干しをすると確かに一時的に湿度が上がりますが、困るのは服は必ず乾くということ。そうすると今度は湿度がガクッと下がります。

一日の中で夏と冬が来たような状況になり、湿気・乾燥のダブルパンチに。

そうなると、ネジはめちゃくちゃ緩んでいるのに鍵盤はキツい。この音は湿気で高くなっているのに1オクターブ上は乾燥で下がってものすごく狂って聞こえる...など、かなりアンバランスなピアノになってしまいます。

「乾燥対策に近くに濡れタオルをかけておいたほうがいいですか?」と聞かれることがありますが、これも全力で止めています。

そんな、布が乾いてしまうこと。タンクの水に浸しておくことで防ぎ、さらに扇風機の風を当てることで加湿力を高めたのが加湿器(気化式)です。

でも、加湿器も使い方を間違えがちです。

2.寝るときに加湿器を切ってしまう

誰もいなくなった部屋では加湿器を切りたくなりますが、人がいないあいだも寝ているときもピアノはそこで環境の影響を受け続けます

ペットのお留守番のときにエアコンをつけっぱなしにしておくのと同じ感覚で、加湿器には24時間働いてもらいましょう。

3.日光がピアノに当たるときだけカーテンを閉めている

ピアノに直接当たっていなくても、部屋に日が入るだけで温度が上がり、乾燥しやすくなります。 そして日が落ちればまた温度が下がり...と、天気や時間帯、季節によってコントロール不可能な日光は環境変化の際たるものです。

日当たりの良い部屋は実はピアノには向いていないんです。

そんな場所には、閉めっぱなしでも暗くならない遮熱のレースカーテンで日光の影響を抑えることがオススメです。

4.湿度計を見ていない

人間の感覚は当てにならないもので、意外と体感と実際の湿度がちがうことは結構あります。 直前にどこにいたかでも簡単にずれてしまうので、体感をあてにして湿度管理をするのは危険です。

とにかく自分の感覚は信じず、数字でチェックすることがピアノを労る第一歩です。

5.ストーブとヤカンで加湿

部屋干しと同じで、ヤカンをかけている間だけ湿度が爆上がりするので逆効果になります。 そして蒸気は冷えると結露しやすくサビの原因にも。

同じ構造のスチーム式の加湿器もNGです。

6.バケツに水

気持ちはわかります...でも水はたくさんあっても蒸発しないと湿度が上がりません。 残念ながら水を置いただけではほとんど加湿効果はないのです。

以前どこから流行ったのか、ピアノの中に水を入れたコップを置いているピアノに何台かあたりました。意味ないどころかこぼすと大惨事なので絶対にやめましょう。

まとめ

とにかく安定的に湿度を保つには、気化式の加湿器が唯一の方法です。湿度が保たれた場所のピアノは音の狂いも少なく、寿命も伸びます!

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