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メモ魔

いい加減片づけないとな……とかさばった紙の束を眺めながら、一つ一つ見ていくと、まあ見事なメモの山だった。
メモ帳に書いてちぎっているくらいなら、まだいい。
チラシの裏に書いているのも、まぁ、想定の範囲内。
けれども私ときたら、メモ帳だけではなく、図書館で検索した用紙や財布から出したレシート、紙がないと見るとティッシュに見出し用含む大小さまざまな付箋に書いたりと、「おまえ、どうしてそれに手を出したんだ?」と首を傾げたくなるものばかり。
ふと思いついたことや、ゲームのプレイ途中で気になったこと、小説や詩でも書いてみたかったのだろう書き出しの文章、エッセイの好きな一文、たぶんだれかの歌詞、電話しながら書いた友人の話の相関図もどき。
果てはログインするためのIDとパスワード。紛失しなかったのが不思議なくらい。

メモするくらいならノートに書けば?

そんな風に言われたことがあり、一時期くそ真面目に試そうとしてみたことがある。
ところが、これがまあ、よろしくなかった。
A4サイズのノートがあっても、(このページに書いたら付け足したいことがあるかもしれないし、余分にあけておきたいなあ……)などとへんなこだわりを持ってしまって、ノートがもったいないと思ってしまった。当時のノートを見ると、空白ページがいくつか散見される。なんてもったいない。
つまるところ、そこらへんに転がっていた(※転がしていた)紙になら、なんの良心の呵責すら抱かず思い切り書けるというのが、私がさんざ書き散らしてみてわかったことだった。

普通のノートだとどうやらダメらしい。
ではどうしたら?

ルーズリーフならちぎる必要もないのではないか。
これがまた紐で綴じれるのでは?というくらいにため込んでしまった過去があるので論外。

リングノートならちぎってもいいし気兼ねもしないのでは……そう思ったが、正直、すべてちぎり終えてしまったリングノートの針金、処分するときにとてつもなく面倒くさかった。二度とやりたくない。

しち面倒くさいことは避けたい。
けれど付箋やらティッシュやら、よくわからない紙の山を築くのはもうたくさんである。


半年前くらいに観念して文具コーナーをうろついてみると、リングノートで、針金を使っていないものがあった。
KOKUYOのソフトリングノートである。

A5サイズの、ドット入り罫線のものを愛用している。

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紙の表面はすべらかだし、触り心地も好ましい。
なにより、ちぎりやすいように点線があって、ちぎってもいい。そのままノートとして使ってもいい。

なんて親切なんだ。
まるで私のようなものぐさの為に存在するのでは???

そんなことを思わずにはいられない。
いつかノートの紙すべてを切り離したとしても、リングが不燃ゴミでああだのこうだの考えなくても捨てられそうというのがまたいい。

今や2冊めも半ば。
消費が激しいと見越して、もう一冊買ってしまった。心置きなくノートへ書き散らせる。

1冊めを見てみると、今日やるべきことのリストが書いてあるかと思えば、ゲームの進捗状況が書いてあったり、映画を観ていたときの感想の走り書きがあったり、読書の記録がしてあったり、なんでもござれのノートである。
日付をきちんと書いているわけではないが、ぱらぱらめくると、この日こんなことしてたんだなあというのがなんとなくわかる。
見返すと我がことながら、ちょっと面白い。

先月から使い始めた2冊めも似たり寄ったり。
もう、なんでも書いていいよね、なんでも書いてしまえ、という心境。


紙の山が再び築かれないようにと願っているが、2日に1度は付箋にうっかり書いてしまうので、そもそも付箋を封印した方がいいかもしれないと思う。
……そして油断が過ぎればまたティッシュに書き出すんだから始末に負えない。
それでもこのソフトリングノートがきてから、少しはマシになった。……マシになった、はず。


……半年後、このノート自体に付箋がびらびら貼られている未来がないといい。

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