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本で学んだ世界と現実のマーケットとの落差に戸惑いました -2-

前回の続きです。

初めてのネットトレードで買ったリソー教育という銘柄。


馬券を握りしめ一攫千金を夢見る観客のように「上がれ」と祈りながら、モニターを凝視し、値動きを見守っていたのですが、とりわけ急激な動きを見せることもなく、結果的には、翌日、ほとんど買い値とトントンで、売り注文を出しました。


本で勉強した通りチャート上のシグナルをもとに買った割には、手ごたえらしきものは特になく、「あれっ」という感じです。



とりあえず、やっていくうちに何かがつかめてくるはずだと自分を納得させることにしました。


今から振り返るととても不思議なのですが、当時の自分はなぜか根拠のない自信に満ちていて、どういう訳か、トレードで成功するものだと思い込んでいるようでした。


大量の本を読むことで知識の裏付けはあるし、これからさらにトレードの勉強を積んでいけば大丈夫だと信じて疑いませんでした。


そんな風にして、私のネットトレード中心の日常が始まりました。


基本的な一日といいますと、


朝は7時に起きてニュースや板情報(各銘柄への注文状況)を確認し、日本市場が開く9:00~15:00までは売買。そのあとは市況情報を整理して、その日の自分の売買を評価する。そして、値上がり・値下がり・売買高ランキングなどから候補銘柄を見つけて、銘柄ボードの入れ替え、翌日の売買に備える...


こんな単調で孤独な一日ですが、必ず成功してみせるというエネルギーはみなぎっていました。


親に迷惑をかけてしまいました


ただ、ほどなく、気になることが生じ始めます。それは、学んだ通りに売買することで、結果が出て利益をだせることもあるのですが、チャンスと思って勝負をかけたトレードが全く想定とは逆の動きになり、せっかく積み上げた利益を失うということが度々起きるのです。


虎の子の軍資金である180万円も、100万円近くになってしまい、追加で現金を入金するようなありさまでした。アルバイトも続けていましたので、その資金をトレードのスキルを向上させるための先行投資だと思い、全額投じる覚悟でいました。


また、自分の望む結果が出ないのは情報不足や勉強が足りないせいだと思い、当時有名だった株式情報の配信サービスを契約したり、トップトレーダーの売買手法を収録したDVDなどを買って研究したりして、スキルの向上には余念がなかったと思います。


ですが、どれだけやっても、どうしても結果がついてこないのです。


まるで、砂漠でオアシスの蜃気楼を追いかけ続ける遭難者のように、日々、多くの売買をこなしているのですが、これといったトレードの手ごたえのようなものがつかめないのです。


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気づけば、ネットトレードを始めて1年以上が経過していました。さらには、売買資金を補填するために親にお金をせびるような状態になり下がっていました。最悪ですね。本当に、、ひどいことです。


喜び勇んで、希望を胸に飛び込んだ結果がこれでした。


その頃には、株式売買を始めて一年以上が経過していました。もう、後に引き返すことはできない。そんなところにまで来てしまっている気がしました。


ただ、それと同時に、実際にマーケットで売買をしてみて身をもって理解できたことがありました。


まず、本に書かれている売買テクニックというものを頼りにトレードを行っても良い結果は得られないということです。どういうことかと言いますと、


マーケットの値動きは、人やコンピュータを使った自動取引による実際の売買により形成されるものです。ですから、もし、仮に絶対に利益が出るチャートシグナルなるものが一時的にでもあったとすれば、必ず市場参加者の中にはその動きを出し抜いて利益を得る者が出てきます。その結果、利益の出るチャートシグナルは常に変化するのです。


ビジネスの世界でよく、『テクニックは時代の変化により陳腐化する』と言われますが、マーケットの世界でも全く同じことが言えるのだと思います。


また、マーケットには、その日、その日によって日和のようなものがあり、
全体の動きがずいぶん異なります。ですから漁師が時化(しけ)の日には無理に漁に出ないように、株式市場においても状況判断の能力が大切だということが解りました。


他にも、業種、東証一部の優良企業、マザース、ジャスダックなどの新興企業などによる値動きのスピードやテンポの違い、


加えて、私のような情報弱者の個人投資家をはめ込もうとする動きは日常茶飯事ですし、株価を吊り上げる仕手筋、アルゴリズムによる高速売買、オイルマネーによる大量発注など、本当に魑魅魍魎が跋扈(ばっこ)する世界であることに気付き始めました。


「こんな人たちをまともに相手にしていたら、命がいくつあっても足りない」


「どんなに小さくてもいいので、この広大な株式市場の片隅にでも、自分が生き延びるための居場所を確保するしかない」


サバンナで死肉をあさるハイエナのようなマインドが、私の胸の内に巣くっていました。

つづく

https://note.com/288cla5513/n/nb2bc00615708


お読みいただき、ありがとうございました。

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