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【現場のリアルな声】現役教師63人にLGBTQIA+について、いろいろ聞いてみた!~後編~

みなさんこんにちは、ふむふむです^^!

【現場のリアルな声】現役教師63人にLGBTQIA+について、いろいろ聞いてみた!~前編~はお読みいただけたでしょうか?
まだの方は、よければこちらもご覧ください。


それではさっそく、【現場のリアルな声】現役教師63人にLGBTQIA+について、いろいろ聞いてみた!~後編~(質問9.以降)をご覧ください!


質問9.性別に関わらず、生徒の呼称を「さん」に統一することはできる?

できる・・・88.9%
どちらともいえない・・・7.9%
難しいと思う・・・3.2%

ほとんどの先生方は「できる」と感じておられるようです。


質問10.性別によって生徒の呼称を分ける理由は?

・人権感覚的には「さん」統一が望ましいと思うが、事務的な部分で「さん/くん」呼び分けのほうが「便利」だから。
・それはそれで、経験すると違和感が強いから。
・慣習によるものだから。
・呼び方に対する社会全体の認識が変わるまでに時間がかかりそうだから。
・私が個人として「さん」で統一することはできると思います。しかし、日本国内全ての学校で「さん」で統一することは様々な意見が存在するのではないかと考えます。
・自分の子どもにですら、男の子には…くん、女の子には…ちゃんと知らぬ間に分けて呼んでしまっている。理解はしているが、深いところはできていないと感じているから。
・性的マイノリティでない生徒でも「くん」や「さん」で言われることに違和感を持っている生徒がいる。入口の部分では「さん」が良いかも知れないが、本当の意味で言えば、「何と呼んでほしいか」を本人に確認できることが一番望ましいと感じる。私自身も「教頭」と言われれるよりは「先生」と言われる方がしっくりくるし、人によっては「~さん」と言われたり「~君」と言われた方が良い場合がある。画一的に「~さん」がよいとは感じない。

何事においても、長く親しんできた慣習を変更することは難しく、違和感を覚えます。
今は過渡期なのかもしれません。

《補足情報》
~前編~の「質問1.」で当事者の生徒に関わったことがない先生方が36.5%もいましたよね。
このような状況下では、制服も、呼称も、この後に説明する生徒向け啓発授業もまだまだ変化するに至っていないのも納得がいきます。
また、年度途中から急に呼称を変えるのは確かに違和感を覚えますね。その辺りは生徒と先生の関係性も大事にしていく必要があるので、今すぐに変更という訳にいかない点かもしれません。
また、「あの先生はこういう対応をしているのに、この先生はちがう…」というように先生によって対応に違いがあると、生徒は混乱をしてしまう場合があります。
例えば「次の入学生から学校全体で呼称を『さん』に統一しましょう」というように、校長による指揮のもと、大きなかじ取りが必要な場合もあるでしょう。
学校としての考え方(学校のカラー)、生徒と先生の関係性、管理職のリーダーシップ…一見関係なさそうに見えますが、ものごとを変えていこうとする時には、こういった点も大事なポイントとなります。

質問11.生徒向けにLGBTQ/多様性の授業をしたことはある?

はい・・・60.3%
いいえ・・・39.7%

外部講師を招いて、あるいは先生方ご自身による授業…等、形態を問わない質問でしたが、約4割もの先生方が「いいえ」と回答されました。
まだまだこの先、できることが多そうですね。


質問12.誰が、どのような形態で、どのような内容の授業をした?

ー外部講師を招いた例ー
・当事者の方を学校に招き、生徒向けに学年全体で体験談をお話していただいた。
・当事者の方がご自身の経験といま頼っている団体についての紹介
・当事者の大学生に来ていただいて講演をしていただいた。
・マイノリティで苦しんだ方を講師としてお呼びして講演形式の授業を実施した。
・当事者の大学生に来ていただいて講演をしていただいた。
・過去の教え子で当事者の方から「LGBTQ+」の説明や学校生活の中で困ったこと、良かったこと等の講演をしてもらい、その後個別相談会を開いた。前年度も同様の取組をして、実際にその相談会でカミングアウトをした卒業生が相談相手としてヘルプで来てくれた。

ー教員が実施した例ー
・担任や人権教育主担が人権教育HR、総合的な学習の時間の中で講義を実施。
・公民科、家庭科の授業において講義を実施。
ー生徒が実施した例ー
・生徒当事者が体育館で学年全体に対して、講演をしてくれた。
・特定の選択授業を履修している生徒に当事者の講演を聞いてもらい、それを他の生徒に伝えるために、発表の準備をさせる。そのお手伝いをするために、教員も勉強しました。
ーその他ー
・教育センターの人権教育教材を活用しています。
・全校生徒/教職員/保護者を対象に外部講師を招き、人権講話を実施予定です。

各学校においてさまざまに工夫を凝らし、理解促進のための取り組みが行われているようです。


質問13.生徒向けにLGBTQ/多様性の授業を実施するにあたり、どのような障壁がある?

ー懸念されることについてー
・当事者に了解を得るかどうか。
・「当事者であることを絶対に知られたくない」と思っている生徒への配慮、当事者の生徒が嫌がっていないか。
・間違った理解をしてしまわないか、偏見に繋がってしまわないか、といった心配があるため、踏み込めない。
・生徒の中に該当者がいた場合に他の生徒の反応に注意しなければならないが、全生徒がきちんと理解して授業を受けることができるか。

ー教員のスキルについてー
・教職員全員の共通認識と共通理解を深めること。
・授業をする側が理解を深めなければならない。
・研修で内容を理解したうえで、伝えることを絞って実施することはできると思います。その際、アドバイスを頂けたり、相談させてもらえる方がいると、ありがたいです。

ー外部講師についてー
・講師の確保が難しい(確保できても謝礼の準備ができない)。
・講師の選定に注意が必要と感じる。

ーその他ー
・授業時間の確保が難しい。
・特にはないが、オブラートなどに包まないほうが良いと思う。生徒向けには表現だけ気を付ければよい。
・特に障壁はないが、そのような機会がなかった。

当事者に配慮するがあまり全体への授業に踏み込めないというケース、生徒が誤った捉え方をして逆に差別や偏見を助長してしまわないかという懸念、外部講師を呼びたいが見つからないし、呼べない事情もある…かといって教員が授業を実施するには知識が不足している…やはりここにもさまざまな事情があるようです。

《補足情報》
ーハード面についてー
俗にいう「一条校」は文部科学省の定める学習指導要領や設置者である各都道府県・市町村が定める解説や手引きに従って教育計画を立てる必要があり、年間を通じて「しなければならない」教育活動が盛りだくさんです。
ひとことに「人権学習」といっても、その種類はさまざま。すべてをこなすのは、至難の業です。
授業時間の確保は今やどの学校においてもトップクラスの悩みの種ではないでしょうか。
また、特に公立学校においては教育を施すのに十分な予算がありません。
トイレや更衣場所といった施設設備を早急に整えることができないのもここに大きな要因があります。
外部講師を招いて、たった一度講演をしてもらうだけの予算をねん出するのも一苦労なのが現状です。

ーソフト面についてー
繰り返しになりますが、「質問1.」において当事者の生徒に関わったことがない先生方は36.5%。「質問2.」のプライベートにいたっては77.4%もの方が当事者と関わったことがないと回答されていました。
先生方は日々生徒のことを想い、熱心に授業研究をしておられますが、それにしても未知のことを伝えないといけないなんて、なかなかの無茶ぶりです。それでもするのが教師だ!と言われればそうですが、(実際、試行錯誤しながら先生方はあらゆる教育活動をこなしています!)不安をぬぐい切ることはできませんよね。
2022年7月、府立人権教頭部会にて講演を実施させていただいた際には、ふむふむからのメッセージとして「まずは先生方が知って(学んで)ください」「(学ぶだけではなく)学んでいるということを生徒に発信してください」「とにかく当事者の声を聞いてください」ということもお伝えさせていただきました。 ※講演に関する詳細はこちら(note)
聞いた話をどう受け止めるかは一人ひとりちがって当たり前です。
そして、どのような言動をとるか、自分がどのような人間になるかも自由です。
大事なことは、先生も生徒も一緒に考えることではないでしょうか。



さて、前・後編にわたって学校教育に携わる現役教員にLGBTQIA+に関するアンケートを実施した結果をご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?

~前編~の最後でもお伝えしましたが、今、まさに学校現場で活躍されている先生方のリアルな想いををシェアすることに意義があると思ったので、ひとまず共有させていただきました。

なんだかんだで一人ひとりの先生方とじっくり話す時間はあまりありませんよね…
今回アンケートにご協力いただき、「こんな風に考えている先生方もいるのだ」と知ることができました。
当事者にとっても、教育現場で働く先生にとっても、これからベストな選択肢や環境を作れるようなお手伝いをしていくために、とても貴重なアンケートだったと感じています。

もしかしたら疑問に感じたことや納得できない回答もあったかもしれません。
たいせつなのは、納得できない状況に、自分と相反する考えを持っている人に、どのように対応していくかではないでしょうか。

わたしたちふむふむは、先生方からいただいた、これらの貴重なご意見を踏まえて、今後どのようなことができるのか、みなさんと一緒に考えていきたいと思っています。


ふむふむは、すべての人が安心して生きられる社会づくりに貢献していきます。
もし、わたしたちでお役に立てることがあるならば、いつでも気軽にお声かけください。
立場や困りごと(悩み)に関係なく、みなさまからのご相談お待ちしております^^


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