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どくしょめも:『モテキ(新装版)』(久保ミツロウ イブニングKC)

せつめい(うぃきぺでぃあより)

『モテキ』は、久保ミツロウによる日本の漫画。また、それを原作としたテレビドラマと、2011年の日本映画。
『イブニング』(講談社)にて、2008年23号から2010年9号まで連載された。単行本は「全4.5巻」。本編は第4巻までで、第4.5巻は番外編と作者へのインタビュー・対談などが収録されたファンブックとなっている。キャッチコピーは『人類、必読。心に刺さる恋物語。』

かんそう

30になるまで彼女いない歴=年齢にして事実上の童貞の九州北部出身の主人公が過去にフラれたと思っていた3人の女から連絡が来るところから始まった物語は亜紀と結ばれることで終わった。(初手ネタバレ)

話の流れ、頻繁な内面描写、一巻表紙、etc…からしてもう彼女が正ヒロインだったことは間違いないのだけど、こうくっつかれてみてから振り返ると案外普通のカップルだなあ!となる。作者の力によって大きく見せられていただけで、事実を羅列すりゃ案外普通の恋物語なのだ。だからこそヒットしたのかもしれない。
あと普通に見える最大の理由はサクッと物語が完結したからかもね。東京大学物語とか両想いなのにあの手この手で引き離されてるじゃん?だから余計に頭とカオのいいやべーヤツラのやべー恋愛になっているというワケだ。

じもとのちから

この主人公が作中一貫してフリーターであったり、ガラケー使ってるあたり時代が感じられるが、まだリーマンショック前の、しかも北部九州の地方都市出身なためか地縁に護られている感がかなり強い。
女ヤンキー林田、なんやかんや健在な両親、終盤の金造じーさんの葬式のくだりとか特にそう。
この作品は「なぜ自分が今でも童貞なのか」について振り返るシーンが多いため当然過去について振り返るシーンが多いが、地元に帰ると自然に「藤本先輩」と呼んでくれる人がいる。それだけで結構恵まれてるな。

結局、そこらへんの描写が地元・東京・年上・年下・男・女、様々な属性の人たちの心の中で勝手に「藤本幸世」が動き回ることになり、そんでモテキが来たんだというオチに繋がっていくのがよかった。
セカイ系の流行ったゼロ年代らしくはないかもしれないが、令和の今にも通じる「本当の自分はいない」といういいテーマの作品だったと思う。

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