サムネ

【第75回】幸せになるお湯と不幸になるお湯(タイ王国旅行記Vol.5)

タイの屋台は駄菓子屋の役割も果たしているのか。

近くの学校から下校中の小学生らしき子どもたちが立ち並ぶ焼き鳥のような簡単につまめるフードや飲み物の屋台に群がっている光景を見て僕はそう思った。値段も10バーツ(当時のレートで約35円)程度くらいで他の屋台と比べてもかなり手頃だ。

タイの中ではかなり裕福な層の子どもたちなのかもしれない。明らかに恰幅のいい子もチラホラと見ることができる。

子どもの笑顔はどこの国でも一緒で、とてもいい。

ワット・チェディルアン

チェンマイ旧市街で僕がまず始めに訪れたのは「ワット・チェディルアン」という寺院だ。チェンマイの中で最も大きな仏塔のある寺院である。

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ここの寺院は変わっていて、これまで見てきたような黄金に輝く寺院ではなく崩れかけた廃墟なのだ。

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1545年に発生して崩れた巨塔が1990年代初頭に国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)や日本政府の援助を受け修復されたが、当時の建築資料が残っておらず、完全にはかつての姿を取り戻していない。

崩れかけたその姿と大きさは圧巻だ。僕は結構、廃墟の持つノスタルジックな雰囲気が好きなので、ここは結構好きだった。

ワット・チェルディアンではお坊さんと近所に住む学生が交流というか説教を受けているのを見ることができた。タイは敬虔な仏教徒の国としても有名なのでこういったお坊さんと学生の交流はよく行われているのかもしれない。

ワット・プラシン

次に向かったのは「ワット・プラシン」という寺院だ。

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この寺院はチェンマイでは最も格式の高い寺院らしい。その名に恥じず黄金に輝く寺院。敷地も広く仏教音楽も流れ独特の世界観を構築している。

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そんな中で椅子に座り勉強をしている学生も見たので、本当に仏教というものが身近なのだろう。宗教を信仰するということに対する意識の薄い日本人の感覚としては不思議な感じがする。

そんな感慨にふけっているとおばさんが近寄ってきた。

「20バーツ(当時のレートで約85円)だよ!」

と言って変なものを差し出してくる。綺麗な造花に輪っかがぶら下がっている。どうもお供え物らしい。

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せっかくなので購入し、1つの建物の中に入る。

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けれども、どこにもお供え物を置くような場所が見当たらない。振り返ってみると白人のバックパッカーがお供え物の購入を断っている姿が見えた。

あ、騙された。瞬間的に悟る。

ネットで見たのだけれども、こういう観光地で勝手に商売をする人はタイには結構いるらしい。ああ、しまった…。

悔やんでもしょうがないので、とりあえずお供えだけはしておいた。

緑茶巨峰グレープ味

2つの寺院を巡った時点で時刻は18時を回ってしまい、チャンマイ旧市街地にある寺院のほとんどの営業時間が終了してしまった。

当初の予定通り残りの寺院巡りは他の時間に回すとしてチャンマイナイトバザールというナイトマーケットに行ってみることにする。昨日も夜市には行ったのだけれども、結構楽しかったので今夜も行こう。

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せっかくだからとタクシーなどは使わずに街をブラブラ歩きながらナイトバザールに向かっていると、途中で蚊に刺されていることに気がついた。

かゆい。

蚊は病気を媒介するので、特に海外だと気をつけなければいけないのだけれども、現地で買えばいいやと虫よけスプレーを買うのをすっかり忘れていた。

なので、それを買うために近くの薬局に入る。タイ薬局の大手「Boots」という店だ。

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なんだかやたらピカピカとした店内の中で、薬局と言う割に落ち着かないのだけれども、売っているものは普通。そんな中、色々と見ていると気になるものを見つけた。

「Green tea with Kyoho Grape.(緑茶巨峰グレープ味)」

日本以外の国では緑茶でも紅茶などと同じように砂糖を入れるとは聞いていたのだけれども、緑茶と巨峰って、おい。

物珍しくて迷わず購入。

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飲んでみると小さいぶどう味のグミのたくさん入った普通のぶどうジュースだった。なんかちょっとがっかり。

俺でも知っている洋楽がかかると嬉しい。

1時間くらいかけてチェンマイナイトバザールに到着した。

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ここの夜市は鉄道市場よりも客引きが激しく「シャチョウ!ブチョウ!」と言ってくるイメージ通りの怪しい外国人みたいな人がいたり「你好、Hello、こんにちは、안녕하세요」とやたら多言語で客引きをする人達をすりぬけていく。ただし、梅田の辺りのキャッチや昼間会った詐欺師と違ってそんなにしつこくないのでありがたい。

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お土産屋を一通り見終えると夕飯を取ろうとすると、ふと聞き馴染みのある音楽が聞こえてきた。

〽When I find myself in times of trouble ~~~~

「Let It Beだ!」

思わず独り言を呟いていた。あのBeatlesの名曲を現地のバンドマンが演奏しているのだ。かなり好きな曲なので、これは嬉しい。

こんな素敵な演奏を聞きながら夕食が食べられると思うといてもたってもいられなくなり、さっそく近くの屋台で夕食としてパッタイ(タイ風焼きそば)とタイの代表的なチャーンビールを購入して席についた。

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すると聞き馴染みの曲がまたかかる。

〽 Almost heaven, West Virginia ~~~~

「カントリーロードだ…」

思わず感嘆してしまった。こんな遠くで耳馴染みの曲を聴くとは思わなかった。洋楽は海を超え日本にも伝わってるし、タイにも伝わっている。

やっぱり世界は1つなんだなと少し胸が熱くなった。

僕は洋楽はほとんど知らないけれども知っている曲がかかるだけで嬉しい。

そんな感慨に耽りながら食べた夕飯は最高だった。

幸せになるお湯と不幸になるお湯

お酒も少し入り完全に上機嫌になったので散歩しながらホテルに帰る。

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宿付近の屋台。
雰囲気いいでしょ?

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買ったソーセージを温めてもらってるところ。
ホテルに帰り、
モタモタしてたら冷めちゃった。

少し飲みたりない気もしたのでホテル近くのコンビニと屋台で簡単な晩酌できるものを買って部屋へと戻った。

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本格的に飲む前にシャワーを浴びようと思って蛇口をひねると湯気が上がった。

お湯だ!3日ぶりのお湯で蛇口をひねればお湯が出るということに当たり前のことにものすごく感動してしまう。

人ってお湯1つでこんなに幸せになれるんだな…。

そんなひとときに幸せを噛み締めながら、夜食を食べようとコンビニで買ってきた小さな弁当を取り出した。辺りをキョロキョロと見渡すが、部屋のどこにも電子レンジがない。

振り返ると、非常にうっかりしていたのだと思うけれども、そこでやっと僕は気がついた。しかも残念なことに僕が買ってきたのはチルドの弁当だから温めないと、食べられない。そもそも電子レンジがあったのは初日の夜に泊まったゲストハウスの中である。くそったれ。

しかし、日本には「必要は発明の母」という諺が昔からある。僕は機転を効かせ、部屋にあった電気ケトルでお湯をわかし、ビニール袋に入れて湯煎をすることにした。

部屋の中で一人僕はほくそ笑えむ。よかったよかった。

そう思ったのもつかのま、温めた弁当を取り出すと、ビニール蓋が熱によって縮んでしまい、弁当の中身が水浸しになっていた。タイの水道水は飲めないので、もうこれでは食べられない…。泣く泣く弁当を捨てることになった。

人ってお湯1つでこんなに不幸になれるんだな…。

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チェンマイソーセージとビール。
香草が聞いててなかなか美味しい。

最後に

お久しぶりです。卒論執筆に追われ、更新できてませんでした。ゆっくりペースになると思いますが、のんびり更新します。

>>前の話はこちら:【第74回】私は幻覚剤乱用者です(タイ王国旅行記Vol.4)

>>次の話はこちら:【第76回】かっこいい大人になったら、また来よう。(タイ王国旅行記Vol.6)

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