不眠症

遠距離の彼氏が激務なことがつらい、ほんとうに寝る間もないくらい忙しそうで、休みももう1ヶ月はとれていなくて、残業も余裕で100時間超えてると思うけど、月45に収まってることにしないと怒られると言っていて、そんなに身を削って働いているのに何十時間も無給で、でも「この業界ではこれが普通」らしくて、体力もなく心も弱くドホワイト企業でしか働いたことのない私には想像を絶するのだけど、遠くにいるから何もできない、何もしてあげられない。そんな働き方どれだけ続けていけるんだろう。ろくに睡眠もとれていない。どれだけ心配でも、言葉で労うことしかできない。今日もお疲れさまって言うしかできない。だけど、私も私の毎日を生きるのに必死で、毎日心からお疲れ様を言ってあげられる余裕なんて全然なくて、めちゃくちゃ忙しい中2分でも時間作ってかけてきてくれた電話で、自分が今日元気ないこととか、とても言えなくて、嘘ついて明るくお疲れ様って言うことしかできなくて、したい話は何もできなくて、頼りたい時にに頼れないことが辛くて、心が塞いでいって、結局相手より自分の心配かよって思って、全部嫌になる。全部全部嫌になる。嫌いだ。大嫌いだ。消えてしまえ。一人の時は平気だったことが二人になるとできなくなる。付き合う前から、彼に出会ってああこの人だって悟った時からずっと、怖かった。一人で生きられなくなるのが怖いから、人と生きるのが怖くて仕方がなかった。一人の時は一人が平気だったのに、今は一人が一人でなく、「いない」。ずっと「不在」。最近見たドラマでも言ってた。彼の不在が際立つほどに、自分の世界が侵されている感覚がある。「入られてる」感じがする。自分の生に集中できなくなる。私、どこかで間違えたのかなあ。開きすぎたのかなあ。だってあまりにも話ができる二人だったから。付き合ってすぐ、飛行機に乗らないと会えない距離に離れ離れになってしまって、それでも、4月、5月、6月、ギリ7月まではなんにもつらくなかった。会えなくても、話せていたから。コミュニケーションとれていたから。むしろ、とれすぎなくらいだった。だけど、人って、「差」で調子崩すものなんだよ。気温差が激しくて体調悪くなるし、期待が大きければ失望も大きいし、登った崖が高いほど落ちたら痛い。登った崖が高いほど、大怪我するんだよ。何度も何度も学んできたじゃんか。わざわざ高い崖によじ登っては、最高の景色を眼前に飛び降りて、地面に打ちつけられて、大怪我して動けなくなって。何回もやってきたじゃんか。なんで分からないの、なんで学べないの。嫌いだ。大嫌いだ。たった一人との出会いで人生変わるわけないって、そんな人いないって、一緒にいてさみしくない他人なんていないんだって、あんなに分かってたくせに、彼にだってそう言ってたのに、結局期待したんだ。あまりにも好きで、思ってるよりずっと彼のこと好きになってて、愛してるなんて人に言ったの生まれて初めてで、愛してるって言われて気持ち悪いと思わなかったのも初めてで、もうこの人でムリならムリだろうなって思って。だって私「結婚」がしたいんじゃないの。一緒にいたい人と出会わなければ一人で全然よかったのに、今出会って好きになっちゃったから、途轍もなく苦しい。8月に入って、見る見る忙しくなって、全然話ができなくなった。話ができる二人だったとしても、物理的に話ができなければ、話ができない二人と変わらないんじゃないかとか、なんなら、信じて待ってしまう分、話せる二人であることの方が辛いんじゃないかとか。私は何を間違えたんだろう。何が正解なんだろう。もう何が辛いのかも、よく分からない。8月後半から、眠れない日が増えた。夕飯を食べられない日が増えた。彼は優しい。時間がある時に読んでおくから、LINEならいくらでも送っておいて大丈夫だよ、電話だと時間が合わないと難しいけど、と、彼は言ってくれるけど、私は、私の思考を整理してきれいに言語化したものを一方的に垂れ流したいわけじゃない。「話」がしたい。発表したいんじゃない、「話」がしたい。整理できてなくてもいいよ、俺が一緒に整理してあげられるから、なんでも話して、って、言ってくれたじゃん。信頼している年上の友人も、私が悩んでいる時言ってくれた、これは仕事じゃないから、整理して話そうと思わなくていいんだよって。話したい。さみしい。一人が平気じゃなくなっていく自分が情けない。さみしい。彼がこの仕事を選ぶ限り、一生これが続くのかなって思ってしまう。一緒に住んでたら話せるのにねって彼は言うけど、私にはあまりそうは思えなかった。一緒に住んでいても、あなたがいなければ、私が困った時、誰かに頼りたい時、友達に頼れない時、私は一人で耐え忍ぶことがきっと多いと思うよ。結局自分の心配。こんなにも大変そうな彼を前に、結局自分の心配。やっぱり私間違えた、きっと開きすぎた。彼と知り合えたこと、彼の素敵さを分かる自分でいられていること、あんまりにも嬉しくて、間違えた。あまりにも大事にしてくれるから、愛情を注いでくれるから、見誤った。きっともっと他人でいなきゃいけなかった。

毎日勉強してから家に帰っていることに疲れた、今後の仕事のこと悩みすぎて疲れた、今年30なことに疲れた、まだ起こってない将来のこと心配しすぎて疲れた、話したいこと話せないことに疲れた、どんどんダメな自分になっていて疲れた、眠れなくて頭が痛くて日中死んでることが多くて疲れた、眠れない日にアロマ焚いてホットアイマスクつけてサプリ飲んでもなんの効果もなくて疲れた、次から次へと言葉が湧いてきて思考が止められなかったり音楽が頭の中で鳴り止まなくてうるさかったりして眠れないことに疲れた、女であることに疲れた、好きだから大事にしたいのに根本的に人と生きることに向いていなさすぎて疲れた、いまだにLINE送るのにも熟考してしまうから疲れた、すべて噛み砕いて飲み込まないと前に進めない難儀な性格に疲れた、自己嫌悪に疲れた。