最近の記事

フェニックスの火葬- 日大大麻事件・試論 3

ヴィト・アコンチが1970年に発表した『Three Adaptation Studies』は、以下の3つの過剰な接触をとらえた映像によって構成されている。 1.Blindfolded catching アコンチは、目隠しによって網膜-光の接触を遮断した状態で、自身に向かって投げられたボールに接触する。 2.Soup and eyes アコンチは石鹸の泡でいっぱいのボウルを手に取り、中身に顔を浸す。石鹸の泡の中で、瞼を開き、網膜 - 泡の接触を起こす 3.Hand and mo

    • フェニックスの火葬- 日大大麻事件・試論 2

      これらの仮説が真理に近似しているか否かを確認することはできないし、その必要はない。ただ、これらにみられるこの事由と本質を確認すべきである。本章でははじめに、これらの事象を整理する。 本題に入る前に、筆者は読者に対して一つ謝らなければならない。1章でのべた「Seedbed」について、アコンチの身体は隠された構造とたとえるのは間違いである。アコンチにとって、床下で自慰行為をする彼の身体と観客の関係は、お互いに未知の、そして属性やその在り方が相対的に変化する身体同士の関係である。そ

      • フェニックスの火葬- 日大大麻事件・試論 1

        現日本大学理事長である林真理子は、日本大学芸術学部を卒業後、就職難のなかで就いた職場でのいじめや人間関係への疲れからバイトをやめ、しばらくチラシのコピーライターを続け、その後参加した糸井重里の講座で 「いちばん前に座って「ハイハイ」って質問していたら、面白い子がいるってことで電話番をすることに[1]」なったという。 その後、著したエッセイである「ルンルンを買っておうちに帰ろう」が爆発的な人気を博し、一躍時の人となった。これは1982年のことである。 作家としてのキャリアを確立

        • 寿司ペロ論 資本とマテリアリティ

          https://twitter.com/coolpoko_ono/status/1671813160435843072?s=20 https://www.j-cast.com/2023/02/01455253.html?p=all さて、ここに二本の記事がある。いずれも、回転ずしというワードがある種の特異性を帯びている昨今に登場した記事である。片方はクールポコという、ブームが過ぎたもののその餅を搗きながら悪態をつくという独特な芸風から正月番組でたまに地上波に姿を見せる、2

        フェニックスの火葬- 日大大麻事件・試論 3

          田中英寿とその夫人に捧ぐ

          田中英寿の奥さんが亡くなったらしい(12日)。彼女はちゃんこ屋の女将で、長年公私ともに田中を支えてきたとのこと。 田中はそもそも、日本大学の創業者一族とは全く関係のない、一学生であった。この辺は創業者一族の世耕参院議員がいまも運営に携わり、偏差値や規模が近い近大とは違う。 田中は、血縁という権力収奪に頻繁に用いられてきた強固な関係を用いずに組織の中で昇りつめた。それには当然、彼のカリスマ性や暴力を背景としたゆすり、たかりもあったであろう。だが、それは田中の本質的部分とは言えま

          田中英寿とその夫人に捧ぐ

          宇宙倫理 追記

          宇宙移住に対する倫理学的検討 地球における文明の変遷 文明成立以前(分散) アフリカ→徒歩、船等で世界各地へ移動(新たな土地に人間を定住させる) 文明成立以降(集合) ・地理的移動により孤立していた集団を、より巨大な集団へと統合していく ・物資、情報の移動密度は向上 これを前提に、宇宙植民の倫理的問題を分析していく 今後宇宙移住が起こりうるとしたら、動機は? 人口増加→1980年代あたりはそういった議論もあった(オニール球)が、今後世界人口は頭打ちになっていくと考え

          宇宙倫理 追記

          宇宙倫理

          宇宙倫理 1.宇宙倫理とは?倫理学というジャンルから 倫理学の問題「指針の空白」 ・科学技術の発展に、法や道徳といった規範が対応できなくなった ・宇宙開発は、(モノにもよるが)臓器移植やインターネット等に比べ、未だ「未知」の領域が多く、現在の我々の生活にも直結しにくい →こうした分野から現代の倫理学を照らし合わせることで、倫理学自体を根本的に考え直せる (既存の倫理学や思想は、地球環境上の人間を前堤としている →アーレント、カントetc) 宇宙開発から 宇宙開発の指針決定の際

          宇宙倫理