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【N◎VA】情報項目の具体的な作り方、教えます



■はじめに──情報項目ルール


 The Revolution以降の「トーキョーN◎VA」には、「情報項目」というルールがあります。
 「情報項目ルール」というのは「情報Aを調べると新たな情報Bが出てきて調べられるようになった。さらに情報Bを調べると情報Cが出てきた」というように、芋づる式に次の情報を入手していくルールのことです。
 これにより、プレイヤーは次に自分が何を調べられるのか、何をすればいいのかがはっきりとわかるようになり、「何をすればいいかわからない」という状況から解放されます。
 また、初心者プレイヤーでも「ひとまずこれを調べればいいんだな」とわかるようになっています。

 プレイヤーにとっては便利な情報項目ルール。
 しかしGMから見ると、情報項目を作るのは結構大変です。「トーキョーN◎VA」のシナリオを作るときの最大の壁と言ってもいいでしょう。

 そこで今回は、私がどのように情報項目を作っているのかを書いていこうと思います。
 「トーキョーN◎VA」以外のシステムでも役に立つかもしれませんので、最後までご覧いただけると幸いです。

■情報項目を作る前にしておくこと

 情報項目を作る前に、「おおまかな話の流れ」と「登場する組織やNPCなどの設定」を決めておきます。
 話の流れは、「無実の罪でつかまった友達を助けるために真犯人を捜す」程度で構いません。
 組織やNPCについては、名前とおおまかな目的だけ決めればよいでしょう。また、ここで作った設定をすべて使う必要はなく、最終的に削除してしまっても構いません。
 あと、鈴吹太郎デザイナー兼社長がおっしゃるような「アクロバット(シナリオのどんでん返し的なもの)」も決めておくとよいでしょう。
 これらを決めておくと、情報項目作成がラクになります。

■情報項目は紙に書く

 パソコンやスマホでシナリオを作っている方もいるかもしれませんが、情報項目だけは、紙に書きます。その方が全体を俯瞰することができ、どこでどの情報がつながっているのか、一目でわかるからです。
 まず適当な大きさの紙を用意し、3回ぐらい短冊のように折ります。すると8つにわかれた空白ができるので、その空白1つにつき、1つの情報項目を書きます。
 言葉で説明すると長くなるので、完成品を置いておきます。字が汚いのは見逃してください(甘え)。あと、ネタバレ防止のため、右半分は隠してあります。

(基本的に、左から右へ情報はつながっていく)

 一見複雑に見えますが、頭の中だけで描くよりもわかりやすくなります。

■情報は左から右へ書きこんでいく

 一番上の情報項目を見てみましょう。「(1)探」と書いてあるのは「PC1:探偵」という意味です。

 まず、PC1は【南野武】という情報を最初に持っています。【南野武】を調べると【カード(トランプ)】という情報が得られます。さらに調べると【岡山ピエール】という情報にたどりつきます。
 [ピエール1]と書いてあるのは、イベントです。【岡山ピエール】を調べることで、イベントが発生することを表しています。
 このように、情報項目やイベント、ときにはアドレスなどを紙に書いていきます。

■情報を他のキャラクターと絡ませる

 PC3までの情報項目をつぶさに見てみましょう。

 PC2は退魔師で、PC3はブラックハウンド隊員です。
 PC2が【魔術師】を調べると【動く人形】【浄化派】という新たな項目が出てきます。【動く人形】はPC3と同じ情報のため、プレイヤーは「これはPC3と協力できそうだな」と思うでしょう。もし協力する方向で動きそうにない場合、「【動く人形】を自分で調べるより、PC3に訊いた方が早いかもしれないよ」と教えてあげましょう。また、イベント[ピエール2]が発生したあとは、PC1と同じ【岡山ピエール】という情報項目を得られ、PC1と合流する理由ができます。
 同様にPC3も、【パペットマスター】を調べると【浄化派】という情報項目がPC2とかぶるため、合流や協力する理由を得られます。

 もう一度、全体を見てみましょう。

 PC4、PC5に丸で囲んである情報項目があります。これは、他の情報項目とかぶっていることを表します。線で結んでもいいのですが、ごちゃごちゃになるので、丸で囲んで他のPCとつながっていることを表しています。
 このように、紙に情報項目やイベントを書くことで、頭の中が整理され、いつどのタイミングで他のPCと合流できるのかがわかりやすくなります。

■情報項目やイベントはいくつぐらいが適当?

 経験則ですが、「オープニングフェイズでもらえる情報項目を除き、PC1人につき情報項目は最低3つ、イベントは最低1つ、用意する」のが適当かと思います。
 この数は、約3時間のセッションを支えるのにはこれぐらい必要ですよ、という数です。ですが、情報項目を作っていくうちに、おそらくはもっと増えていくと思います。敵の正体やスタイル、依頼人の裏事情などは、そこから新しい情報項目は出ないけど、シナリオを深く知るうえで重要な項目となります。
 このように情報項目はいくら増えても構いませんが、多すぎたときの対処方法というものも存在します。それについては後述します。

■情報項目を仮置きする

 情報項目やイベントが出そろったら、パソコンやスマホに戻り、テキストやWordに「仮置き」してみましょう。イベントの場合、細かな描写はあとまわしにして、何が起こるのかだけ書きます。
 情報項目とイベントがうまくつながり、他のPCとも絡むことができることを確認したら、本文を書いていきましょう。これで、情報項目の作成は終了です。

■この方法の注意点

 注意すべき点は3つあって、一つ目は「情報項目を作りすぎないこと」です。
 このやり方は情報項目を管理しやすいので、つい作りすぎてしまいます。作りすぎたことに気づくのはたいていセッション中なので、もし時間内にセッションが終わらないようなら、アドリブをきかせて情報項目を統合するようにしましょう。

 二つ目は「必ず誰かとつながるようにすること」です。
 「トーキョーN◎VA」ははじめからチームを組んでいるわけではなく、それぞれがまったくちがうところからスタートします。そのため、お互いに同じものを追っている、あるいは相手がほしい情報を持っているなどの状況を意図的に作り、合流の「理由づけ」をできるようにしましょう。
 「この人と絡む理由がないなあ……」と思われないよう、「俺たちは同じ目標に向かって進んでるんだ」という状況を作りだせば、セッションがスムーズに進みます。

 三つ目は「情報項目だけでセッションを進めないこと」です。
 途中で必ず……最低でも1つはイベントをはさみ、敵との因縁を作ったり、戦闘を起こしたりして、ロールプレイができる状況を作りましょう。情報項目だけだと、技能判定でカードを出しているだけになるので、セッションが単調になりがちです。それに、カードを出すよりも、ロールプレイをしている方が楽しいでしょう?
 特にPC4やPC5はイベントを作ることを忘れがちなので、きちんと用意するようにしましょう。

■これまで述べた情報の渡し方を他のシステムに流用する

 ここまで述べてきた方法は、他のシステムでも流用できます。
 たとえば、「ソード・ワールド」や「アリアンロッド」のようなファンタジーRPGでも「まずここに行けば情報Aが手に入る。その情報をもとに情報Bを手に入れようと動くとイベントが発生して……」という具合です。
 情報項目の数についてはシステムやシナリオによって大きく変わりますが、これまで述べたやり方は、色々と流用が可能でしょう。

■最後に──情報項目ルールは難しい

 情報項目作りは、「トーキョーN◎VA」のシナリオを作るうえで、最も難しいところです。
 逆に言うと、ここさえ乗りこえればシナリオ作りはかなり簡単になるということです。なれもあるので、がんばって作っていきましょう。

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