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【役作り】一緒に創る人、自分を創る人【演出家とどう向き合うか】


俳優をこの2種類にわけて考えてみた。


自分のことを話すと、ずっと、ただ出演してる人。だったように思う。演技をしているつもりなだけというか。

裏方の手伝いをしてるうちに、演出家と音楽家、音響/照明/美術/大道具のスタッフさんが、作品についてどう共通認識を取っていって、どう表現していくかの擦り合わせが行われている事を知った。

知った、というか、打ち合わせしてるのとか知ってはいたけど、どういった内容で擦り合わせているのかとかを、具体的に知った。が正しいか。


作品について考えて、演出家が表現しようとしていることの最適解を出す。自分の色も出しながら。
これって本来、俳優も同じ作業をしているはずなのです。

がしかし俳優は何故か、演出家と共にクリエイトしてるように感じない事が多い、ということに気付いて。

あなた本気でやってますか?みたいな。て思うことが結構多いというか。めちゃくちゃ自分のこと棚に上げるけど。
勉強しに来てるの?言われたことやりに来てるの?みたいな。アマチュアの極みすぎんか(笑)と。


もちろん演出家にも役者にもそれぞれあるというか、やり方なんて十人十色どころじゃないくらい様々なので、何が一番いい!これが正しい!なんてことは一概には言えないのだけど。


しかもこれは完全に好みによると思うし、何なら「自分の表現」を全うしている俳優の方が、固定ファンはつきやすい印象ではあるのも事実、だが。

私は「一緒に創る人」に、なりたいと思ったから、それの何がいいかについて書いていこうと思う。







稽古期間の役作りの作業工程



【自分を創る人】
・作品を読んで
・自分の役の解釈を表現に落とし込み
・演出家からのオーダーと擦り合わせて
・自分はこう捉えた!というところで
・本番に持ち込む


【一緒に創る人】
・作品を読んで
・自分の作品への解釈を役に落とし込み
・演出が表現したい作品像を捉え
・解釈の修正をし
・作品においての自分の役割を全うする


箇条書きして思ったわ
これ勝手に思ってるだけかも(笑)
たぶん私が勝手に分けて見てるだけなのだけども(笑)





このふたつに分けた時に、大体の人が、どっちも中途半端なのだと思います。
中途半端じゃなく完全に振り切ってる人をどうしても魅力的だなと感じざるを得ないのは、分かっていただけると嬉しい。
いやどの目線だよて感じだが。


中途半端だと印象に残らないんよね。
ただ可愛いだけとか。カッコつけてるだけとか。
面白いだけ、は、さすがに強いかもしれんが(笑)
作品のこと考えてるのは分かるけど表現が追い付いてないないとかね。


そんな役いたっけ?
どんな役だっけ?
って印象に観劇後なる役って、あるやん。
それになるのは嫌やん。

一生懸命練習したのが伝わるのが一番素人っぽくてダサいし。
まぁ若手はそれが魅力にもなるからアリだし、役によってはそれこそが活きるなんて事もあるから、一概に駄目ってことはないと思いますが。

私もうしょうもない舞台にお金払いたくなくて。
しょうもない舞台にお金払わせたくもなくて。

だからまた次舞台やるって、復帰するってなった時の準備期間として、こうやって色々書き残しておるのです。





それぞれの見え方


☆自分を創る人
の作り方は、とっても目を惹く表現を用いているように感じる。
役への解釈への重きが強い、のかな。
個の魅力が強い分、圧倒的な存在感がある。
言い方選ばずに言うと、俳優のエゴが強いタイプ。
言葉が浮かばなくて聞こえが悪口っぽいけど、、
こちら、めちゃくちゃ魅力的で。
自分には出来ないかもとさえ思うくらい大変な作業。


☆一緒に創る人
の作り方は、作品をどうしていきたいのか、という演出の意図を組んで、そのために自分がすべきことを考え、作品への解釈をどんどん更新していってるイメージ。
作品全体を通して、作品が伝えたいことを重視して考えているので、ずっと「そこにいる」ことに違和感がない。



自分を創る人

の、イメージでパッと浮かぶのは、JAPLINメンバーの藍梨ちゃんと、JAPLIN「JOMON」で初めて絡みがあったタカハシカナコさん。
2人とも、JAPLIN「海と夢と小さな秘密」では【おとめさん】をダブルキャストで演じていました。
年齢も見た目もキャラも全然被らない二人が同じ役で、2人とも全然違う方向で暴れ散らかしていたのは、面白すぎたよね。強すぎた(笑)

タカハシさんはBOW「石川五右衛門」の明智光秀の母役が初見、初共演。
衝撃だったわ。台詞の量とかじゃない。存在感が圧倒的すぎて、誰もあの役のこと忘れない。そのお陰で明智光秀の悲惨さが際立っていた。前田利家の可哀想な感じも。あの役の存在が作品に与える影響は本当にすごかったなあ。

藍梨ちゃんはBOW「火男の火」初演を客席で観たのが初めて。ビビった。めちゃくちゃ素敵な女優さんやんて。最後のシーンなんかは圧倒的に、舞舞が主人公だった。そう見えたのがあってるのかは分からないけど。
私がBOWを好きになったのは、藍梨っていう女優の存在への衝撃と、見たことない舞台の使い方をした演出。それが好きになった理由だった。
見に来てって言ってくれた砂押さんにめちゃくちゃ感謝した記憶がある。


あと、Preludeだとちょんれみちゃんかなぁ。去年相手役だった時にすごく感じた。し、「12月のエンドロール」で見た時も、「AM2:54」の逆チームで観た時も、れみちゃんの色が強いなって思った。
役への没入感がえぐいから、台詞に説得力があるんよねきっと。一緒にやるのは難しかったけど。れみちゃんみたいな子に対応できる柔軟さが自分にあればなって、すごく思っていた。



一緒に創る人

って、伝説のポケモンより会えない、幻のポケモンです。小劇場においては、レア過ぎてまじで捕まえられない。

柔軟性が高過ぎるくらい高くて。
相手を活かすし、自分も生きる。

でも絶対に必要なスキル、ってわけではないと思う。

めっちゃ、演出家に喜ばれるタイプだと、思う。
俳優と一緒に作品を創れるというのは、演出家にとっては、よろこびなのだと思う。
もちろん、別に俳優は演出家を喜ばせるために存在しているわけではないですが。

事実として、確かに一緒につくってはいるのだけど。

演出家が作り上げてくれた世界の上で踊るのか?
演出家と一緒に土台から叩いていくのか。

その違いは、結構、全然、だいぶ違く感じる。



一緒に創るタイプの俳優さんとの出会い


私がそういう、一緒に創るタイプの俳優と初めて出会ったのは、思い返すとたぶん、元BOWメンバーの砂押正輝さんだった。
役割を果たすことに長けた方で。器用だなあ、すげえな〜、くらいだったのですが。

一緒に創る人のガチモンのプロに出会ったのが、去年のJAPLIN、「海と夢と小さな秘密」主演の渡邊りょうさん。
なんか勝手に何回も名前出してすみません(笑)なのですが。

あとPreludeで共演した奥田龍平さんもこちらかもしれない。役を取り込んでるようにも見えたから、亜種かもしれんが。一緒にシーン作るのめちゃくちゃ面白かったんです。



砂押さんってまじで器用で、相手役のアクションを拾う達人だったんですよ。ガチモンのリアクション芸人。
去年JAPLIN「エイジ」で共演した時もそれにめちゃくちゃ助けられていたのだが。
私とした事が、助けられてばっかりで、甘えっぱなしだったなぁって。今思い返して反省してるわけですね。
ほんとすいませんでした。助かりました。。笑


りょうさんは、一緒に創るを、一緒にやってくれた、初めての先輩俳優さんだった。
同世代とは出来る事もあったし、「こうやればいいんじゃない?」ってアドバイスくれる先輩は今まで沢山いて。
でも「どこが違和感ある?」とか「ここなんか気持ち悪いよね」とかってところから、一緒に話し合ってくださった先輩は、初めてだった。
何に引っかかっているのか自覚して言語化することが出来なかった私には神に見えた。
しかもなんか別に優しいとかじゃないんよ。単純に作品造りをしてるだけなんだなっていう。
シンプルで、かっこよかった。


奥田さんは、繊細だった。思ってた以上に(笑)
組み上げ方が丁寧で、まわりとの調整もしながら、自分とも戦いながら、演出家と擦り合わせていた。
その姿を見ていると、安心してぶつかっていけた。
龍さんがそうくるなら私こうかも、とか、やれちゃって。楽しかったなぁ。もっとやり取りしたかった。あたくし喧嘩売ってただけなんだが(笑)
ほんっとに、秋山役が龍さんで、私がミドリで、めちゃくちゃ良かったと思う自分で言うけど。西村さんキャスティングナイスすぎ。自分で言うけど。






なぜ「一緒に創る人」になりたいか


自分、表現しようとすると、崩れるんですよ。
シンプルにさ、なんか、出来ないの。まじで。ずっと分かってたけど、それをしないで舞台に立つ方法が分からなかったから、悩んでたところがあって。ただ技術がないだけなんですけどもね。ってね。やかましいわ。


シェイクスピアとか時代劇って、表現をしなければいけないと思うんですね。

大きな声で、全身で演じて、華やかに繊細に。みたいな。
それが本当に苦手でして。
何度かシェイクスピア作品や時代劇に出演させて頂いて、やっと最近やり方、向き合い方が分かってきたかも、しれないのだけど。


おそらく得意分野ではないし。
得意分野に出来るとしたら、リアリズムなんだろうなと思ったり、してるし。わからんが。まだ探してるけど。



ずっとSNSとか見てくれてる人は分かると思うけど、可愛く見られたいとか、きれいに思われたいとか、夢を売るとか、憧れられたいとか、思ってやってきてなくて。

もちろん応援してくれたら嬉しいとは思っているのだけど、そういう自己アピール?自分を宣伝したりとかって、めちゃくちゃ苦手なのですよね。

だし、そういう事が出来る人を支える方が向いてると思った。
輝こうとしてる人を、輝かせてあげる方が。
主人公とか向いてないんよ。たぶんな。(笑)

でも、そういうとこを好きになってくれる人を増やせるように頑張りたいとは思ってるよ。

応援してくれる人がいないと、見てくれる人がいないと、存在してないのと同じですしね。



どんだけいい作品作れても、どんだけいい役割を果たしていても、見てもらえないんじゃ意味がない。

内容がどうでも観る人が多い方が価値がある世界だから。
悔しいけど。



あー悔しいなあ。(笑)




いい作品造りをしながら、集客もできる、最強のやつになりたいです。頑張ります。


今まで作品を創る側の人に助けられてきた分、私はその人達に憧れた。
だから今度は自分がそうなれるように、作品を引っ張っていく存在になれるように、作品を強くするパーツの一部になれるように。

勉強して、修行する。まだまだ学びたいことだらけだ。



どっちもやってる人もいるよ


ちなみにね。
今回はこの2種類に分けたけど、このバランサーで最強な人も、存在しています。

BOW「石川五右衛門」で豊臣秀吉役をやられてた三上潤さんとか。JAPLIN「海と夢と小さな秘密」のジョン・マーリ役でも爆発してはったけど。
笑いに対する探究心はまじですごい。そのネタいる?(笑)って思うけどおもろいからずるいみたいな。(笑)
「自分を創る人」寄りだけど、作品を創るをやりながら、相手役を活かすこともやってるんよなぁ。すごいな。


意外だったのはJAPLINメンバーの黒川進一さん。
絶対、《自分を創る人》側だと思っていた。

JAPLIN「海と夢と小さな秘密」「でんすけ」「JOMON」の初演に出ていて、客席や映像でずっと見てて。
BOW「火男の火」再演で初めて共演した時、作り方に驚いた。
すごく、すごく、作品ファーストだった。作品を深掘りして役を組んでいってた。
あと、しかも、相手役のために台詞を喋ることしかしてないんだろうなって思った。自分のためにやってることがひとつも見えない。こえーくらい、エゴが見えない。

しかしな?映像でも圧倒的に存在感があって、シーンの主役が絶対に黒さんになるのが、衝撃だったのね昔から。どっちも出来る人だ、って、思った。

ただ、今その場で起こってることを、拾ってるだけ。
今そこで何を起こすかを、選んでるだけ。
台本通りに、役割を果たしてるだけなの。
でも全部、黒さんが回してるように見えるの、すごくない?
シンプルで強い。かっこいい。

《作品を創る人》だからこその強さだった。

私、絶対いつか黒さんと二人芝居やるからね。
戦ってみたい。ついでにあの技術手に入れたい。



あとふっちー!!!!!
渕野陽子さん。BOW「火男の火」再演で祈祷師役でした。
初共演でしたが、すごくよくしてくれて。友達みたいなお母さんみたいな、すごくあったかい距離感で接してくださるの。
でも舞台に上がった渕野さんは芝居の鬼だったな。こだわりのかたまり。
渕野さんは特に、「自分を創る」寄りで役への追求に特化してるように見えた
けれども、誰よりも作品を理解して、その上で組み上げているようにも見えたから、スーパー亜種かもしれない。
本番中、出番終わりの悔しそうな声が忘れられないの。いや何もミスってないが。今日もつよつよだあ、ってモニター見ていて思ったのだが。って、面白かったのを覚えてる。
めちゃくちゃかっこいい女優さん。目指したい場所だった。


Preludeだと小町実乃梨ちゃん。あの子は器用すぎる。何なんだマジで。
「作品を創る」寄りだと思うけど、自分を創るのも強いタイプ。
読解からの演出意図を組んでの解釈の消化がうまい。
かしこい。すごい。助かる。ありがとう。
あの子年下なんだよなあ……まじで忘れる。


こうやって文字にして分析することによって、自分に取り入れようとしています。


私は声のデカさで押し切るパワープレイヤーみたいなところがあるので反省している。ごまかすなよな。
上手い人に甘えてばっかじゃダメですねほんとに。

あと、今まで自分がどう見られていたのかも気になるなあ。知りたいけど、怖いから知りたくないけど、知りたい、な。


ああ芝居したい。恵子どこ。恵子ちゃうわ稽古や

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