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7月に読んだ本!

こんにちは、にかです。今回は7月に読んだ本を振り返りたいと思います。

やっぱり7月はテストも多くて、なかなかたくさん読めませんでした。。

① 山の本棚

ドイツ文学を学ぶ人なら知らない人はいない、超の3つくらいつくドイツ文学者の巨匠・池内紀(いけうちおさむ)大先生のエッセイです。残念ながら数年前に亡くなってしまいました。
フランツ・カフカの全作品を日本で初めて訳し、カフカを本格的に日本に広めたのが池内紀先生です。『香水』などその他有名なドイツ文学も池内紀先生が多数翻訳しています。カネッティ研究者でもあり、またエッセイストでもあります。

多くの中学校の教科書や入試問題などには、池内了(いけうちさとる)という人の評論文が採用されていますが、この二人は兄弟です。

本作は、「」に関する本の紹介が山ほど収録されています。

実際はこの10倍くらいあります。

山て笑」とバカにしたそこのあなた🫵❗️僕もはじめはそう思いました

山の文学...❓僕は山は別に好きではないし、山登りなんてほぼ未経験だし、したいとも思わないし、山岳文学は全く読んだことがありません。ドイツは山岳文学・映画がヨーロッパの中でも特に多いんですけどね。

でも、この池内紀先生の文章はとにかくわかりやすくて面白い。(三島くんはわかりにくくて面白い、でもそこがいい)山岳文学もいいな、と思っちゃいました。山登りに行きたくなったかはまた別の話ですが。

そして特筆すべきは、昭和の超名作文学作品「楢山節考(ならやまぶしこう)」が紹介されていたのです❗️

僕は池内紀先生のファンで、彼の著書は片っ端から読んでいるのですが、「楢山節考」の紹介があったから本書を購入したという節もあります。

上の文章を読んでもらえればわかるように、「楢山節考」は姥捨山の話です。深沢七郎といえば楢山節考。楢山節考といえば深沢七郎。っていうレベルで作者深沢七郎は楢山節考くらいしか有名な作品はないんですけど、しかしこの楢山節考は昭和中期のあまりに傑作の作品です。何も調べてないので全然違うかも知れませんが、多分石原慎太郎の「太陽の季節」と同じくらいの時代の作品だと思います。昭和30年くらいかな。でも昭和30年代はやはり現代文学の名作短編が数多く発表された黄金期でもありましたね。伊藤整も、「日本文壇史」で楢山節考を絶賛していました。

今楢山節考を読むには多分メルカリとかで買わないと読めませんが、図書館にもあるはずなのでぜひ読んでみてください。おすすめです。

②小説読本

見覚えあるって。。。とみなさん思ったかも知れませんが、僕も思いました
いうまでもなく三島由紀夫です。もうこれ留学にきてから週に3,4回はパラパラめくってるので、10周以上は読んだような気がします。

本書のハイライトを二つほど。
まず本書には、「ぼく(ゆきお)が最近読んだ作品で特に傑作だと思ったものランキング」のうちの一つとして、「山ン本五郎左衛門只今退散仕る(やまんもとごろうざえもんただいまたいさんつかまつる)」という作品が紹介されます。

で、最近ドイツの大学で出会った留学生が「山本」という人で、咄嗟に思わず「山ン本五郎左衛門只今退散仕るっていう小説があるんだけど...」という出だしで話しはじめようとしてしまいました。寸前のところで思い止まれ、ギリギリセーフ。危なかったです。山ン本五郎左衛門只今退散仕るの話されても多分楽しくないですからね。

そして三島由紀夫が文学賞の審査員をしてたときのこと。はあ〜最近ほんとにつまらん小説ばっか投稿してくるじゃん、、もう少し骨のある小説書ける若者はいないワケ?と辟易していた三島くんですが、一つだけ称賛した作品があります。それが、、、

続き↓

そう、楢山節考なのです!!この後も三島由紀夫の楢山節考に対する想いが続きます。

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後半なんだから難しいこと言い出してますが、でもこれは確かに本作を読めばなるほどと思えます。とにかくみなさん楢山節考が読みたくなってきたことでしょう。

③町内会

ちょ、町内会!?急にじじくさくなってしまいました。
いえ、これは中公新書オタクなら誰もが知る、伝説の名著と名高い一冊なのです。もう絶版で、恐ろしいほどのプレミアがついています。が、最近電子化され、Kindleセールで500円で書いました^_^

これに関してはまだ半分くらいしか読んでいないのですが、とにかく戦後日本の民主主義は町内会から見える、というか見出せるよ、みたいなのが本書の大きなテーマで、決して老人たちによる町内会案内みたいな本ではありません。わかりやすく書かれてますし、好きな人は好きだと思います。そういえば大昔に吉本隆明(ばななのパパです)が「共同幻想論」というこれまた大名著を書いていましたが、ああいうのが好きな人にはおすすめの一冊です。

④中世芸能講義

これは昔から読みたかったんですけど、高かったので買ってなかった一冊です。が、Kindleセールでこれまた400円とかだったかな。本当は本は紙で読みたいんですけどね。。。8割くらい読みました。

僕は文芸の中だと能が一番好きで、次に現代的な演劇、次に文楽(浄瑠璃)、次にオペラが好きといった感じで、結構芸能が好きです。歌舞伎とミュージカルだけはどうしても合わずにハマれていません。今後もちょっと観る機会はないんじゃないかな、、あとは昭和初期の宝塚とかも好きです。

しかし中世の芸能といえばやはり歌。僕の大好きな藤原俊成から定家はもちろん、あらゆるうたの分析がなされています。特に連歌に関する考察が深く、とても面白く読めました。

⑤近代能楽集

三島由紀夫です。やっぱり三島由紀夫の戯曲は面白いです。有名な能を、現代風にアレンジした戯曲集です。現代風といっても60年前くらいの話なので、みんながスマホ使ってたりとかそういう現代さはもちろんないです。

いくつか作品をかなりざっくり紹介します。ネタバレなし。ちなみにひとつひとつは短いので、20〜30分で読めちゃいます。

綾の鼓(あやのつづみ)」

もう年老いたおじいちゃん。彼は窓から見える隣の建物のお店によく出入りする若い女にかれこれ何十通も手紙を送っています。

女の付き人の男たちは嘲笑い、おじいちゃんをどうにか揶揄ってやろうと画策します。

そうだ、綾で貼った太鼓を渡して、「この太鼓を鳴らせれば、あなたの願いを叶えてやりましょう」と言ってやろう!(綾というのは綾織の布のことで、本来の皮の代わりに布が貼ってあるため音は出ない、それが「綾の鼓」)

とうぜん音のならない太鼓に、老人はひどくショックを受けます。そして...。

三島由紀夫本人は、死の一週間前の対談で、「綾の鼓が僕は好きなんですけど、、例えばこんなセリフがありましたよね」みたいなことをインタビュアーが言った際、「それは僕がいつも天皇陛下に言ってることと同じじゃないですか?ガハハハハハ」とかなんとか言ってます。

↓43:30あたり〜20秒ほど

邯鄲(かんたん)
大傑作。豊饒の海第四巻にも通じるシーンがちらほらあります。

菊というお嬢さんがいました。そしておぼっちゃまの次郎くん。菊はむかし、おぼっちゃまの身の回りのお世話を大切にしていました。

すっかり大人になったおぼっちゃま。久しぶりに菊の元へ帰ってきます。

「菊が不思議な枕を持ってるっていう噂を聞いたんだ」とのこと。その枕で寝て夢を見た人は、生きることがバカバカしくなって、起きた途端にどこかへ逃げ出してしまうというのです。菊はその枕で旦那をも失っていました。

僕もその枕を試してみたいんだ、とおぼっちゃまはいいます。でも大切な人を失うのはもう嫌だ、と菊は悲しみます。しかしいうことを聞かずに、彼はその枕を使って寝てしまいます...。

すでに僕は人生に見切りをつけている。人生はもうバカバカしいんだ、と次郎は言います。「生きることがバカバカしい」と思っている少年が、「生きることがバカバカしく思えてしまう夢」を見るとどうなるのでしょうか。

果たして彼はどんな夢を見るのでしょう。。。

全く三島由紀夫らしい、美しい終わり方の戯曲です。

⑥ハプスブルク家

友達がくれました。パリのブックオフで買ったらしいです。
一文にひとつは慣用句や古事成語の言い回しを用いてるんじゃないかってくらいの作者の語彙に脱帽です。
僕は世界史も日本史も勉強していないので、ほとんど歴史の知識が欠落しており、このような基礎的な本でもおかげで楽しく読むことができました。ウィーンに行きたくなりました

⑦ドイツ語慣用句集

ドイツ語の慣用句やことわざが載っている本です。最近は慣用句の収集にハマっているので、本屋で買っちゃいました。

Weg vom Fenster「窓からいなくなる」=「死ぬ」「忘れ去られる」
ほ〜なるほど...という風にパラパラ読んでいます。

7月はこんな感じでした。8月はちょっと旅行したりと予定が多いため、あんまり読めなさそうではありますが、今月もまた何か読んだら記事にしたいと思います。
ここまで読んでくださりありがとうございました!

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