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チャイナドレスの女|短編小説

 後悔する気持ちをさえぎるように、定時を知らせるありふれた音階のチャイムが鳴った。仕方なく、デスクの上をゆっくりと片付け、席を立った。周りの同僚はまだ忙しなく動いていたが、私がいる空間は時間が止まっていた。

 同じ部署の中でオフィスから出てきたのは私一人だけだった。すぐ近くの駐車場にやって来る人間はおらず、静まり返っていた。ドアノブに手をかけると、車のキー音がやけにうるさく響いた。
 
 仕事からの帰り道。外はまだ明るかった。フロントガラスを通して見る遠くの山々は、薄いピンク色の空の中で浮かんでいた。山肌はたった一色で塗りつぶしたかのようにのっぺりして見えた。

 いつも定時の十分くらい前になると、隣のデスクにいる上司から「優美ちゃん、もう帰っても大丈夫だからね」と言われる。今日もそうだった。私はもっと必要とされたいと常々思っていた。ショーケースの中に飾られる人形のように、大切に扱われるのが嫌だった。定時が過ぎた後も、まるでそんなものが存在しないほどに、際限なく仕事を振ってもらいたかった。

 産業機器メーカーで働き始めて三年以上経っていた。そろそろ責任の重い仕事を任せてもらいたかった。上司たちは否定していたが、やはり女性であるというだけで、どうしてもハンデを感じる場面は多かった。その上、文系の学部を卒業した私にとってこの業界で働くことはマイナスからのスタートだった。実力も経験値もまったく足りていないことは自分が一番よく分かっていた。日々焦りを感じ、何とか成長しようともがいてはいるのだが、空回りしてばかりだった。

 先輩たちの勤続年数を計算すれば、あと数年も働くと仕事量は倍以上に増え、嫌でも忙しくなるのは明らかだった。長い目で見れば、今はほどほどに働けていることに感謝するべきなのかもしれなかった。それでも、生き急いでしまう感情を抑えられず、悶々としていた。

 ちょうど家に帰っている時間帯に実家の母が嫌がらせのように電話をかけてきた。車を運転していると、着信音と一緒になってスマホが振動した。会社用のスマホが鳴っていれば、車を路肩に停めて対応するのだが、母からの連絡となれば、何度音が鳴っても放置することに罪悪感はなかった。

「そろそろ結婚しないの?」
「近所の亜由美ちゃんはもう子どもが出来たみたいよ」
「どうしてそんな会社に長くいようと思っているの?」

 どうせ電話に出たところで嫌みを言われるだけだ。ここ数ヶ月の間、電話には出ていなかった。しかし、あまりにも着信が溜まっていたので、もしかしたら何かが起ったのかもしれないと気になってはいた。アパートの前の駐車場についてからもしばらく考え込んでいた。

 エンジンを切り、サイドブレーキを引くと、私は覚悟を決めた。母親はツーコールもしないうちに電話に出た。

「家族なんだから、ちゃんとこまめに連絡しなさいよ」
「用事は何? ないなら切るよ、今忙しいから」
「ちょっと待ちなさいよ、話さないといけないことがあるんだから」
「何?」
「おばあちゃん、すっかりぼけちゃったのよ」
「どういうこと?」
「優美に会いたいってずっと言ってたのに、そんなことも言わなくなって」
「でも、どうして?いつからそうなの?」
「私のことだって、もう誰だか分からないんだから」
「ちゃんと質問に答えてくれない?」
「あなただって何も教えてくれないんだから、答える必要ないでしょ」
「それはまた話が違うじゃない」
「とにかく少し会いに来てちょうだい」
「でも、今は忙しいから・・・」

 めずらしく母が会話の途中で電話を切った。最後の言葉はきっと母の耳には届いていなかった。言い訳をするためにもう一度電話をしようかとも思ったが、それも面倒だった。少し冷静になるために、私はケントに火を点けた。ゆっくりと吸って、長く煙を吐き出した。お腹が空いていたせいか、頭がくらくらした。

 母の言ったことを信じたくなかった。私を帰省させるためにハッタリを言ったのだと思いたかった。ただ、実際に会ったのはもう何年も前で、その時ですら祖母の記憶は曖昧だった。その頃、私はもう大学を卒業して働き始めていたのに、「優美ちゃんは大学何年生になったのかしら?」と同じ言葉を繰り返していたのを覚えている。いくら説明しても、私が働いていることを信じてはくれなかった。

 もともと祖母は社交的だった。家でじっとしていることは少なく、お洒落な格好をして街を歩くのが好きだった。都会から離れた海岸の近くで暮らさないといけないことに不満を言っていた記憶がある。祖父は自然を愛していて、人混みを嫌った。人気のない海岸や家の中で過ごすことを好み、早くに起きて、早くに寝てしまうような生活をしていた。祖母とはまるで生活のリズムが合わなかった。不思議な夫婦だった。

 祖母は出来る限り私を祖父から遠ざけようとしていた。酒好きで、年中酔っ払ってはいたが、決して暴力的になるわけでもなく、優しい祖父だった。どちらかと言えば、家にいるのは祖父の方だったので、訪ねる度に顔を合わせてはいたのだが、車で行かなければいけない街まで両親と祖母の四人で出掛けてしまうことが大半だった。一緒に過ごすようなことはあまりなかった。

 想い出に浸っていると、煙草を吸い終わるよりも前に、一緒に暮らしている稔がアパートから出てきて車の窓ガラスを叩いた。「帰ってきてんなら早く部屋に来てご飯作ってよ」稔は上下灰色のスウェットを着ていた。朝、私が家を出たときに見た格好からまるで変わっていなかった。

 彼は大学の同級生で、卒業する少し前から一緒に住み始めた。もともとは私の親が選んだ部屋で、いつでも泊まりに来られるように一部屋余分に用意していたのだが、そこに稔が住み着くようになった。当時は彼も不動産会社に就職が決まり、普通の人生を歩んでいくものだと思っていた。しかし、稔は「昔からの夢を諦めきれない」と突然言い始め、あっさり会社を辞めてしまった。彼の夢はプロのダンサーになることだった。

 それからというもの、私は半ば彼を養いながら生活をするようになっていた。はじめは「いずれは結婚をして落ち着くだろう」という淡い期待も抱いていたが、そんなものはどこかへ吹き飛んだ。同棲を始める前に気が付かなかった私もいけないのだが、稔は無責任で自己中心的な男だった。口では大きな夢を語るのだが、何一つ行動が伴っていなかった。

 ダンスが出来るから彼と付き合おうと思ったわけではなかったが、素人の私からすれば上手で、かっこいいとは思っていた。しかし、稔がいくらSNSに動画を投稿していようが、イベントに出ていようが、結果として食べていけるだけの収入を得られてはいなかった。活動の全てを私に教えてくれるわけでもなかった。日中は練習をしていることになっていたが、お世辞にもプロを目指すようなストイックな姿勢は見受けられなかった。遊んでいるようにしか思えなかった。

 一緒に活動しているダンスチームには年の近い女の子がいた。いつか稔がその女の子と街で遊んでいるところを目撃してしまい、喧嘩になったことがあった。私が叱責すると彼は「別に何もないよ」と悪びれることなく言った。呆れてものが言えなくなったが、どうしてか別れるという決断には至らなかった。今になっても稔は当然のように私の家で、自分の力で生きているかのように振る舞っている。共通の知人から「早く別れなよ」と言われてしまうのは当然のことだった。

 自分がいなくなってしまえば、彼が経済的な面で路頭に迷ってしまうだろうと思うと、別れを切り出せなかった。自己満足かもしれなかったが、必要とされることで満たされている部分もあった。会社からも必要とされず、女としても生きることがなくなれば、私は何のために生きているのか分からなくなってしまいそうだった。

 部屋の中に戻ると、稔はソファで横になりながら、タブレットを使ってお気に入りのゲームを楽しんでいた。「おかえり」とは言ってくれたけれど、画面から目を離すことはなかった。そして二言目に出た言葉は「お腹が空いた」だった。

 私は誰よりも彼の人生について理解をし、協力をして、何とかより良い方向に進んでいてほしいと願っていた。本当であれば、仕事をしてきて疲れている私が家事までするというのはおかしな話だった。甘やかすことなく、「やれることは自分でやって」と言うべきなのだが、強く出た結果、嫌われたくなかった。

 結局、私はいつものように稔の要求を受け入れてしまった。しかし、これだけわがままを聞いているのだから、私からもお願いをしてもいいはずだと思った。いつもなら車が必要な用事に付き合わされ、休日も自由には動けない。今週末は思い切って、彼の意志に左右されることなく、自分のための時間を作ることにした。祖母のことが心配だった。

「ねえ、ちょっと聞いてほしいんだけど。今度の週末、千葉のおばあちゃんの家まで行こうと思ってる」

 黒い焦げがこびりついたフライパンで野菜と豚肉を炒めながら、私は稔にお願いをした。断られることも覚悟していたが、稔は「いってきなよ」と言ってあっさり許してくれた。もしかしたらまた他の女性と関係を持ち始めたのかもしれないという考えが頭をよぎった。しかし、お金もなく、だらしなくて横柄な態度を取るだけの男と誰が好んで付き合うだろうか。身長が高く、手足も長く、多少目鼻立ちは整っているかもしれないが、外見なんてすぐに飽きてしまうだろう。それに、私を裏切った結果、稔がまた自分の至らなさに気が付くなら、いい薬になると思った。


 次の日、私は早朝に目覚め、稔を起こさないようそっと朝食を済ませ、アパートを後にした。本当はもう少し眠っていたかったが、渋滞に巻き込まれたくなかった。近くのインターから中央道に乗り、東京都心方面に向かった。それから、いつまで経っても分岐点を覚えることのできない首都高エリアを通り抜け、あっという間に海ほたるに辿り着いた。はっきりと分かるほど日は昇っておらず、辺りはほの暗かった。少し休憩を取るために、立ち寄ることにした。

 午前七時にもなっていないというのに、一面海が見渡せるデッキにはすでに多くの人がぞろぞろと歩いていた。中には、自分と同い年かそれよりも下に見える男女のカップルも何人かいた。朝日を見に来たのだろうか。白い息を上げながら楽しげに身を寄せ合ったり、一眼レフで写真を撮ったりしていた。

 稔と付き合い始めてから、一度も海ほたるには来ていなかった。デッキの上を歩いていると、湿っぽい潮風が全身を包んだ。鼻孔が礒の香りで満たされた。人々の会話の中で、一人静寂を感じていた。会社にいるときと同じように。五感が研ぎ澄まされていくような気がした。私はすっかり目覚めていたが、稔はまだ眠っているに違いないと思った。

 休憩を終えると、強風に煽られながらも何とか木更津側に渡り、しばらくしてから高速道路を降りた。その先は緩やかな山道を走っていった。すれ違う車の面々に知った顔がいないか注意して見ていたが、誰も知り合いはいなかった。故郷に近づいているというのに、見知らぬ土地にでも来たような気持ちになった。

 午前中の早い時間帯には祖母の家に着いた。古びた平屋の木枠で作られた小窓に、人影が映るのが見えた。雑草が伸びきっている駐車場にはどうやら母親のものと思われる軽自動車が停まっていた。二台も停められるような場所はなかったので仕方なく少し離れた広い通りに車を停めて、平屋まで歩くことにした。近くを車で通過したときの音で私が来たことに気付いていたのか、いざ平屋の前までやって来ると、派手な赤色のセーターを着た母が玄関の前に立っていた。

 祖母が母の背後に立っていることに、私は目の前に来るまで気が付かなかった。上下肌色の部屋着のままで外に出てきたせいで、凍えていた。彼女は震えながら、不安そうにこちらを覗き込んでいた。以前見た時よりも痩せてしまっていた。顔面の肌はひどく乾いていて、こすると皮ごとぼろぼろ落ちてしまいそうに思えた。目元は大きくくぼみ、ズボンの下から見える足首は異様に細く、棒きれのようだった。

 母がすかさず小言をぶつけてくるだろうと思って身構えていたが、何も言わなかった。代わりに「優美がきてくれたわよ」と私ではなく祖母に語りかけた。信じられないほど優しげな口調だった。

 もうすぐ四月になろうとしていたが、まだ外は寒く、祖母の心臓に悪そうだった。私は立ち話をすることなく、部屋の中に入ることを促した。普段では考えられないほど、母は素直に私の意見に同意した。祖母を支えながら、すぐに部屋の中へと入っていった。木製の平屋は立て付けが悪く、相変わらずすきま風が吹き込んでいた。昔からそうだったが、余計にひどくなっていた。ストーブは置いていなかったし、エアコンの効きが悪く、中に入っても外と変わらないほどに冷え切っていた。

 唯一、暖を取れる場所は居間の真ん中にある掘り炬燵だった。場所だけでなく、使っている炬燵布団すら昔と変わっていなかった。言葉を交わすことのないまま、コートを脱いで、適当な場所に鞄を置くと、すぐに炬燵の中に滑り込んだ。その反対側に祖母と母がゆっくりと腰を降ろした。全てが変わっていないように思えた。しかし、祖母は私の目を見ようとはせず、どこか警戒しているようだった。

 すると母は、祖母が祖母ではない人間だと決めつけるように話し始めた。

「この人ね、やっぱりあなたのこと分かってないみたい」
「分かってないって?」
「知らない人が家に来たとでも思ってるんじゃない?」
「ほんとにわかってないの?」
「さっきも誰かしら?って言ってたわよ」

 私たちが会話に夢中になり、少し目を離している隙に、祖母は掘り炬燵から抜け出そうとしていた。そのまま転倒してしまいそうだった。「ちょっとおばあちゃんが・・・」祖母の行動に気付いた母が咄嗟に動いたので、祖母が前のめりに倒れることはなかった。「寒いからここにいた方がいいわよ」母は優しく祖母の肩をさすった。

 年頃になるまでは、甘やかしてくれる祖母のことが大好きだった。母が見ていないところでお菓子や玩具を買ってくれた。後から怒られることが分かっていても祖母はやめなかった。「私が子どもの頃とは大違いね」と母はよく憤っていたが、祖母は相手にしなかった。「お母さん、もう少し優しくなるといいわね」と私の耳元でささやいて、見せつけるようにただ抱きしめるだけだった。私は祖母の隣に座り直し、そんな昔の想い出を語りかけた。

「ねえ、おばあちゃん?」
「・・・」
「私が小さかった時、よく行ったデパート覚えてるでしょ?」

 少しは警戒心の解けた、リラックスした様子ではあったが、あまりこちらを見ていなかった。

「あら、そんなところいったかしらね」

 突き放すような、赤の他人にでもなったような口調に言葉を失った。ようやく、母が言ったことは本当だった。頭では理解していたのだが、気持ちが追いつかなかった。手の尽くしようのない現実に直面し、涙がこぼれてしまった。私の様子を見て、祖母が背中をさすってくれた。「やっぱり少しは優美のことが分かるのかもしれないわよ!」と母は興奮気味に言ったが、背中をさする手は昔のものとはまるで違った。他人の手のようだった。私にはそれが分かった。余計に悲しくなってしまった。

 二人の前で取り乱すのも悪いと思ったので、私はハンカチを目元に当てながら、隣にある寝室へ移動した。母は私の後に続いてやって来たが、祖母は炬燵から動かなかった。私がいなくなると、すぐに窓の外を眺め始めた。

 寝室もあまり昔と変わっておらず、窓際にはずっしりとした三面鏡の化粧台が置いてあった。私はおもむろに扉を開き、自分の顔を確認した。マスカラが涙と一緒に流れてしまい、曇り空の天気も相まって、病人のような顔になっていた。コットンのシートで目元を拭い、化粧直しをしていると、ベッドに腰掛けて、溜息交じりに語る母の姿が背後に映った。

「悲しくなるのも仕方ないかもしれないね。あなた、おばあちゃんのこと大好きだったのに、何一つ覚えてないなんてね。いろんなことを試したのよ。でも、難しいみたい。週に何回かはヘルパーさんが来るんだけど、私が来るときよりも機嫌いいのよ」
「昔からあんまり好かれてなかったじゃない」

 母はほんの少し笑った。悲しいのに、私もつられて笑ってしまった。少しだけ気持ちが落ち着いた。

 二人でしばらくの間、寝室を物色した。「そう遠くはない未来にここを整理する日がくるかもしれないわね」という母の言葉が異様に重たく感じられた。そんな最中、私は表紙が茶色に褪せてしまった古いアルバムを見つけた。どうやら祖母の昔の写真が収められているようだった。

「別にどうこうなるとは思ってないけど、みんなで一緒に見ません?」
「あら、あんまり見たことなかったかしらね?」

 母は私の手からアルバムを受け取ると、先に居間へと戻っていった。五分も経たないうちに私も居間に戻ったのだが、その頃にはすっかりお茶の準備がしてあって、さっき見た時よりも祖母の姿勢が良くなっているように見えた。

 炬燵の上に置かれた小さな木製のテーブルの上で、母がアルバムのページをめくっていった。祖母が若い頃、まだ祖父も生きていた時代の白黒の写真が収められていた。私は年を取った二人の姿しか知らなかった。自分や父母に似た部分を発見すると、不思議な気持ちになった。

 母は、一枚一枚の写真について、祖母から教えてもらったであろう内容を教えてくれた。終始、穏やかな空気だった。お茶菓子を楽しみながら、自然と会話が弾んでいた。途中のページである女性が映った一枚の写真が見つかるまでは。

 耳には大きな真珠のイヤリングをつけ、肩にかからないくらいの艶めいた髪の毛は綺麗にパーマがかかっていた。チャイナドレスを着ていて、細身で無駄な贅肉のない、小柄な体軀にぴったりの格好だった。まっすぐにカメラを見つめる両眼は光と闇を抱えているように思えた。派手な化粧をしているわけでもないのに、なぜか妖艶に見える女性だった。

 母は見てはいけないものを隠そうと、ページをめくろうとしていたが、祖母はその手を握り、「ちょっと見せて」と言った。眼に力が宿り、彼女に何かが憑依したように見えた。そして「どうしてあの人はこんな写真なんか取っておいたのかしらね」と言った。

 祖父が亡くなった日、祖母だけは病室にいなかった。いよいよ息を引き取るという瞬間、その事実を指摘する人間は家族や親戚の中にはいなかった。むしろ、祖母を部屋に呼んではいけないという共通の認識を持っているかのようだった。「おばあちゃんはどこ?」と言いかけた私の口を母が押さえつけてきて、パニックになったことを覚えている。私はとっさに病室から逃げ出した。病院内を走り回り、しばらくしてからようやく祖母のことを見つけ出した。

 祖母は一人で病院最上階にあるレストランの窓際の席に座り、遠くに見える水平線を眺めていた。雲一つない、青く晴れた日で、海は宝石のように輝いていた。祖母の背中は、今日写真を見つけたときのように、小刻みに震えていた。


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