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THINK 111/ゲスト:田川欣哉さん(Takram)

Guest 
田川欣哉 / Kinya Tagawa
プロダクト・サービスからブランドまで、テクノロジーとデザインの幅広い分野に精通するデザインエンジニア。主なプロジェクトに、トヨタ自動車「e-Palette Concept」のプレゼンテーション設計、日本政府の地域経済分析システム「RESAS」のプロトタイピング、メルカリのCXO補佐、清水エスパルスのリブランディングなどがある。経済産業省・特許庁の「デザイン経営」宣言の作成にコアメンバーとして関わった。経済産業省産業構造審議会 知的財産分科会委員。グッドデザイン金賞、 iF Design Award、ニューヨーク近代美術館パーマネントコレクション、未踏ソフトウェア創造事業スーパークリエータ認定など受賞多数。東京大学工学部卒業。英国ロイヤル・カレッジ・オブ・アート修士課程修了。2015年から2018年までロイヤル・カレッジ・オブ・アート客員教授を務め、2018年に同校から名誉フェローを授与された。(THINK111資料より)

ーーTHINK BOOK について
THINK BOOK は,読む "THINK" です."THINK" とは Suppose Design Office の谷尻誠が毎月魅力的なゲストを招き「"考える"を考える場所」として開催しているイベントです.ここではTHINKに参加した人も参加できなかった人も,トークのエッセンスを追体験できるように読み物として再構成してまとめています.過去100回以上に及ぶ記録資料などの掘り起こしを含め,月に2回程度掲載していきます.
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日時:2020年5月26日(火)21:00-23:00
場所:Twitterライブ配信 Takram アカウント Takram Cast にて

コロナウィルスのパンデミックの影響を受けて初のオンラインの開催となった111回目のTHINK.日本を代表するデザイン・イノベーション・ファーム「Takram」代表の田川欣哉さんを迎え,Takramの主催する Takram Cast Live とのコラボレーションとなった.

初のオンラインTHINK

予定の21時少し前にTwitterでTakramのページにアクセスして始まるのを待っていると,先に谷尻さんが画面に現れた.バーチャル背景がSuppose Design Office広島事務所の3Fを映し出している.いつものTHINKのホームグラウンドだ.しばらくすると,Takram田川さんが登場.

「本来は谷尻さんの主催するTHINKに僕が呼ばれていて,5月に広島に行って話す予定だったのですけど,今こんな状況なので,それならオンラインでやりましょうかという話になったんですよね」と田川さんが今日の経緯を話し,谷尻さんの背景に映っている空間に触れ,THINKについて尋ねる.

「今日は両方ゲストの感じですね(笑)」と言いながら,谷尻さんはTHINKという自身が主催するイベントのコンセプトを話し,二人がAXISや宣伝会議等の雑誌メディアの企画で対談相手として最近よく指名されているよね,という近況をリスナーに紹介しながら和やかなムードで始まった.

谷尻さん:「田川さんの Takram Cast ってどんな感じなんですか?」

田川さん:「Takram Cast Live の Live って付けているほうは,コロナウィルスの関係でイベントがなくなったのをきっかけに,それまで音声だけでやっていた Takram Cast という Podcast を映像を付けてやってみようかなという感じで始めたんですけど,元は 音声メディア で,これは3年前くらいから続けています」

田川さんによれば,Podcast を始めようと思ったのは海外のPodcast に影響されたからとのこと.そのwebサイトは非常に簡素で,Podcast のコンテンツが下に並んで出てくるというもの.しかし,そこでの話題は刺激的で,似たようなことを Takramでも出来ると思い始められたのだという.主催者やゲストとのトークを録って出ししているような面白さは音声メディアならでは,と思い入れを話す.

「音声メディアって,聞く人の意識が強いメディアで,しっかり聞いてくれる人が残ってくれて,濃密なコミュニケーションが取れるんです.テキストはひとりで書くからどうしても内省的になりがちだけど,ゲストと話している会話をそのまま伝えることのほうが面白いと思ったんですよね.ひっそりと始めて,最初はリスナー0から始めたんですけど,いまでは50万回くらい再生されるようになっています」

谷尻さん:「3年ですごいですね.ところで,田川さんは自分のことをどう人に紹介しますか?」

右脳と左脳が会話する

田川さん:「自分のことを話す場合と,Takramとして話す場合とでちょと違うのかなと思うんですけど,自分の場合では,もともと昔は美術に興味があまりなかったんです.実験が大好き,算数が大好きな典型的な理系くんでした.なので,エンジニアの分野を経てデザインに入ってきたんです.半分はエンジニアで物事の仕組みを考えたりするのが大好き.もう半分はデザインで,これはユーザーインターフェイスなんかが入り口だったんですけど,それも興味があって.だから二人の人格がいて,一人はロジックモンスターでもう一人は使い心地や感性を大事にするというか」

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2020年1月で109回を迎えたTHINK。 これまでのアーカイブを読むTHINKとして届けていきます。 活躍する方の思考の共通項と差異を客観的視点から考察します。

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「THINK BOOK」は、サポーズデザインオフィスが企画する、THINKをテーマにしたプロジェクトを文字と写真でとどけるメディアです。 …

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