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読むTHINK、THINK BOOK #08:ゲストは写真家の藤代冥砂さん(2011年10月2日)
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ーー定期購読マガジン THINK BOOK について
THINK BOOK は,読む "THINK" です.Suppose Design Office の谷尻誠が毎月魅力的なゲストを招き「"考える"ことを考える場所」として開催しているイベント"THINK"を読み物として再構成してまとめています. 多彩なゲストとの間で繰り広げられる本音のトークはここでしか聞けないヒントがたくさん詰まっています.過去100回以上に及ぶ記録資料などの掘り起こしを含め,月に2回程度,定期購読マガジンとして掲載します.ぜひ定期購読していただいて,皆さんの日常をTHINK するきっかけにしていただければ幸いです.(谷尻誠,西尾通哲:共同編集)
震災から11年
今回の読むTHINKは、2011年10月に実施された写真展について、写真家の藤代冥砂さんをお招きしてのトークを、アーカイブから掘り起こします。2011年、震災から7か月後の広島での写真展『福島』。当時の生々しさが蘇ります。話の中で「コンセントの向こう側を想像する」という言葉が出てきます。あれから11年が経過した私たちの生活は、あの時想像したものとどう変わっているのでしょうか。
THINK08では写真家の藤代冥紗 さんをお招きし、Exhibition『福島』を開催します。藤代さんは震災後、福島にひとりで足を運び、twiiterで呼びかけた現地の人たちひとりひとりの話を聞き集めてきました。今回はそうして聞き集めた福島の人たちの声をスライドと共に西日本を旅します。ぜひ多くの参加をお待ちしております。
日時:
スライドショー&トークショー:10月2日(日) 18:00〜20:00
エキシビジョン:10月3日(月)〜10月16日(日) 13:00〜19:00
会場:広島市中区舟入本町15-1 3F
エキシビジョン:無料
Profile 藤代冥砂 / 写真家・小説家 代表作に「もう家に帰ろう」「ライドライドライド」「肉」(以上写真集)「誰も死なない恋愛小説」「ドライブ」(以上小説)「愛をこめて」「合格女子」(以上エッセイ集)などがある。
スライドショーについて
今、福島はどうなっているのだろう?
放射能の影響というのはいったいどういうことか?
そこで暮らす人々は?
7月上旬の6日間、一人車を走らせて、福島を巡ってきました。様々な土地で、様々な声を聞き、風景や人々を写してきました。多くを考え、感じましたが、受け取ったものがあまりにも大きくて、うまくまとまりません。
ただ、自分が福島で体験したものを、なるべく多くの人々と共有することで、何かが前へと進むのではないか?そう思い、再び一人で車を運転して、西に暮らす人々に届けることにしました。
僅かな時間ですが、何かを手渡しできたら、嬉しいです。
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谷尻誠(以下、谷尻)
今日のゲストは、写真家の藤代冥砂さんです。東日本大震災のあと、ご自身で現地に向かわれて撮影された写真やそこで現地の人と話されたことを、各地で伝える活動をされていて、今回広島にお越しいただきました、よろしくお願いします。
ガイガーカウンターを持って単独福島へ
藤代冥砂さん(以下、藤代)
今日は自宅のある葉山から来ました、ある意味では、沖縄から来ました、とも言えます。東京での暮らしに疑問を抱き、放射能から避難するように沖縄にも暮らしを構えて、2拠点で生活しています
いま紹介に合った通り、震災から4か月後に福島に約1週間ほど滞在してきました。そこで撮影した写真を見ていただきます。
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やはり放射能が心配だったので、ガイガーカウンターを持って、ひとりで行きました。
加えて、Twitterで得られた人脈を手掛かりに人を訪ねて、福島の人と対話の中で写真を撮影していきました。今日はそれをご覧いただきながら、現地の人たちが語ってくれたことをお伝えしたいと思います。
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写真をめくりながら、1時間半ほど、一枚一枚の写真と共に、まるで詩を読むように、藤代さんの思いと、現地の人々のメッセージが語られる。何か、音楽を聴くような体験に近い。誌上では再現することができないが、当時の藤代さんの行動履歴や言葉が、現在でもインターネット上でまとめが残されている。
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(藤代さんの朗読の最後の部分)
「福島を見て感じた、ざらり、とした口の中の感覚は数年、もしかしたら10年先も残るかもしれません」
その後、谷尻さんと藤代さんのトークが始まった。
ここから先は
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THINK BOOK
「THINK BOOK」は、サポーズデザインオフィスが企画する、THINKをテーマにしたプロジェクトを文字と写真でとどけるメディアです。 …
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