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THINK53/ゲスト:川田十夢さん(AR三兄弟 長男,開発者)

ーー定期購読マガジン THINK BOOK について
THINK BOOK は,読む "THINK" です.Suppose Design Office の谷尻誠が毎月魅力的なゲストを招き「"考える"を考える場所」として開催しているイベント"THINK"を読み物として再構成してまとめています. 多彩なゲストとの間で繰り広げられる本音のトークはここでしか聞けないヒントがたくさん詰まっています.過去100回以上に及ぶ記録資料などの掘り起こしを含め,月に2回程度,定期購読マガジンとして掲載していくので,よろしければ定期購読していただいて,皆さんの日常をTHINK するきっかけになれば幸いです.(谷尻誠,西尾通哲:共同編集)

THINK53:ゲスト川田十夢さん

THINK_53
日時:2015年6月26日(金)
開場 19:00〜 
開演 19:30〜21:30 
アフターパーティ 21:30〜22:30
会場:広島市中区舟入本町15-1 サポーズデザインオフィス3階

(開催時の告知資料より抜粋)

川田十夢:1976年 熊本県生まれ.
1999年 メーカー系列会社に就職,面接時に書いた『未来の履歴書』の通り,同社Web周辺の全デザインとサーバ設計,全世界で機能する部品発注システム,ミシンとネットをつなぐ特許技術発案など,ひと通り実現.2009年 独立.
2010年『AR三兄弟の企画書』出版.
2013年 情熱大陸出演.
編集者 佐渡島庸平と発明マネジメント会社トルク設立.
2014年 J-WAVEでレギュラー番組『THE HANGOUT』スタート.
2015年 作・演出・開発をつとめた舞台『パターン』をフジテレビで番組化,NHK『課外授業 ようこそ先輩』に出演するなど,公私ともに活躍の舞台を拡張している.

今のところただの変なおじさんですよね

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現在2021年1月.谷尻誠さんは、TECTURE と名付けたサービスをローンチしました.そのサービスは建築設計者が膨大な時間を消費してきた「材料や建材をカタログから探す」という作業をアップデート(更新)し,さらに,多くの事例がデータとして蓄積されることで,建築設計者だけでなく,メーカー,工務店,消費者へのメリットを提供するものです.この新しいプラットフォームは業界全体のイノベーションを促進させるものとして注目および期待されています.そして、実はそのサービスを裏で支えるARやAIの技術を提供しているのが,この頃親しくなった川田十夢さんです.
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谷尻さん:
みなさん,今日は,AR三兄弟の川田十夢さんに来ていただきました.
川田さんとは,飲料メーカーの自販機についての対談でお会いしたんですよね,未来はどうなるのかっていう会議でしたね.その時の印象がとてもユニークだなと思って,もう,その場でお願いしましたもんね,THINKに来てくださいって.

川田さん:
そうでしたね.今日ね,ここくる時にカープのナイターがないから,タクシーの運転手さんが雨止んだのに試合がないってすごい文句言ってて(笑)きっと皆さんもカープ戦がないので気落ちしている?とかないですか?

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谷尻さん:
大丈夫と思いますよ.それで,最初にTHINKのコンセプトを説明しておくとですね,こんな廃墟みたいな場所なんですけど,行為が空間に名前をつけるっていうコンセプトで始めた企画で,僕らは普段は名前の付いたものを頼まれることが多くて,つまり,美容院,とか,レストラン,とか.でも,本来はそれっぽいものを作ることが重要なんではなくて,何があれば,その空間になるのかを考えることの方が重要だと思っていて,そういうことを常に意識するために,こうやっていろんなゲストの方に来ていただいて,その行為が空間に名前を付けるっていうことをやっているんです.今日で53回目を迎えます.もう4年以上続けてるんですけど.

川田さん:
53回も続いてるんですね.毎月1回くらいのペースっていうことですか.すごいですね.

谷尻さん:
そうなんです,あらためましてよろしくお願いします.ところでみなさん,ARって分かりますか?拡張現実.聞いたことある人?

(会場を見渡しながら...まあまあ手が上がる会場)

おお,意外とみなさん聞いたことがあるようですね.

川田さん:
そうですね,拡張現実って、今後は建築にも必ず関わってくると思います.僕はずっと前からそれをやっているわけなんですけど.今のところ,ただの変わったおじさんですよね.

谷尻さん:
でも直感的にこの人はすごいって感じましたからね.
これから大事になる何かを持っているって.

川田さん:
そうですか,ありがとうございます.
そうですよね,あまり専門的な話していないですもんね.
今日はじゃあ,その大事な(笑)あたりのことを話してみたいと思います.
まずはこれを繋いで...(Macをプロジェクターに繋ぐ川田さん)

谷尻さん:
よろしくお願いします.
おお,ちゃんとTHINK用に準備をしてくださっているんですね(Macの画面を見ながら)

(会場:映し出された映像を見て,かわいいー,の声)

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AR(拡張現実)...デモに笑いつつも戸惑う会場の空気

川田さん:
ええ,僕は毎回必ずその呼ばれた場所に媚びるということをちゃんとするようにしているんです(笑)

自己紹介から始めましょうか(笑)

AR三兄弟という開発ユニットをやっています.twitterやってます,Facebookもやってます,ラジオもやってます(笑),J-waveなんで広島では聴けないんですけど,インターネットで頑張れば聴けるんでぜひ覚えといてください.で,実際どんなことをやっているかというのはですね,ネタを見てもらったほうが早いかなぁ...例えば...

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そういって手元でスマートフォンを扱い始める川田さん,準備された道路標識の印刷されたシートに携帯をかざすと,音楽が流れ始めた.道路標識に描かれているデザインに関連した音楽,例えば,バイクの標識は尾崎豊の「十五の夜」,横断禁止はJ-walk(jaywalkをもじっている)の曲,ロータリーの標識は,回る回るよ時代は回る,中島みゆきの「時代」など!
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川田さん:
こんなふうに「何かを目印にして何かを出す」というのがAR(拡張現実)の基本だと思ってください.そして,その基本を駆使してどんなことができるか,してきたかをお見せしましょうか.

みなさん,手帳って使われますか?(そういって,おもむろに準備していたシステム手帳を聴衆に見せる)僕は手帳に書いたりそれをまたスマホにも書いたりして,それって超めんどくさいから,それを無くしたいなと思ってですね...こういうテープカードをつくります(といって,名刺大のカードを見せる)そして,この紙に録音できるんですよ...いま録音していますね...(そういって,スマホをカードにかざして何か操作をして,ふたたびかざすと,いま川田さんの喋った言葉が再生され,会場がどよめく、まるで手品を見せられているよう)...すごいでしょう?これで議事録もとれるんですよ.

谷尻さん:
凄すぎて意味がわからないんですけど(笑)という雰囲気が会場に漂ってますけど(笑)

川田さん:
それから,思い出に写真を撮るでしょう?そうすると,その写真にかざすと映像(動画)が再生されるとかですね,これは息子との夏の思い出ですけど(川田さんの携帯がある写真をスキャンすると,スクリーンにその動画が再生され、笑いを誘う)

他には,手帳に書いたことをかざすと,Amazonに行けたり,twitterに投稿できたり,todoリストがデジタルで編集できたり...(それらをライブでプロジェクターで映し出す...会場から,すごいーの反応)

(会場を見ながら)すごいでしょ?

これは,技術的にはOCRと呼ばれる,画像情報から文字情報を認識して文字データに翻訳するっていう技術を使っていて,それを手書きでできるようにしているっていうことなんですけどね.

谷尻さん:
これって,すぐ誰にでもできるようになるんですか?

川田さん:
これは今のところ,僕の文字しか認識できないんです.

谷尻さん:
ええ?どういうことですか?

川田さん:
僕のことしか考えていない人工知能を作ったんですよ.

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