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それでも太陽は赤く染まる!10「癒しの空間!」

母親、絹代とけんかをして自分の部屋に引きこもるひとし。やり場のない恨みはどこへも向ける事が出来ず、ただ布団の中に入ってふてくされるしかなかった・・・。

部屋に入るとひとしはすぐに朝から引きっぱなしの自分の布団の中に制服のまま、もぐりこんだ。静かにふてくされるように布団から顔を出すと目前と後ろにある水槽のモーター音が部屋中に響き反射してひとしの耳にこだましている。水の中では紅白がらの、尾の長い金魚のコメットたちがご飯を欲し気な顔でひとしのまわりにひれをひらひらさせながら集まってきた。それとも慰めてくれているのか・・・。

その様子をうかがいながらひとしはまたため息を漏らすように、「今日はそろばんはいけないな」と、何となく会いにくくなってしまった今日のさやかの笑顔を思い出す。そして相手の男子生徒の屈託のない笑顔まで思い出すとますます憂鬱になり、ぼすっとまくらに顔を深くうずめた。それ以上考えないように・・・。何気にチラ見するように部屋のすみのかけ時計の針に目をやると、すでに12時を回っているのがわかり、無意識にひとしの腹時計がグウーッとなった。

耳を澄ますと台所の方で昼ドラのBGMと母の硬いせんべいをイライラしたようにばりばりかじる音がが聞こえてきて12時を知らせる合図のアラームもポーンとかすかに響いてきた。服部家の全ての部屋にある時計は、出かける時、誰もが遅刻しないようにと、わざと4、5分くらい進めてあるのだ。

ひとしは「はあああ~~~っ。(-_-)」と今日一番のため息をひじ置きにしているまくらの上にもらした。

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