柏原の横穴墓群を歩いてsmc PENTAX-FA 28-90mmを見直す
先日入手してみたsmc PENTAX-FA 28-90mmF3.5-5.6ですが、前の記事の通り、「これは駄作レンズなのでは……」と思えたのが正直なところでした。
しかし、あくまで30分ほどちょっと試し撮りした程度なので、真価は引き出せていないはず。もう少し使ってみよう。
ということで、柏原市の高井田へ。
FA28-90mmが駄目レンズではないか、と思わせるのは、単純に収差大きすぎるんですよね。
テレ端で近づけば球面収差でほわほわ、広角ではコマ収差で端っこが流れまくって歪曲収差でぐんにゃりする。
しかし、歪曲収差はともかく、他は絞れば減るんですよ。
ネットで検索してちらっと、F11だとかなり写りの問題が減ると目にして、ちょっと試しても確かにそういう感じでした。前回テストしたときはF8でもきついなあと思ってたんですが、それ以上は試してなかった。
なので今回は主にF11で撮っていきます。
で、とりあえず広角端でいい感じの空を撮ってみると、やはりF11だとかなり写りがきっちりする感じ。まあ隅の方が甘くなってはいますが、それでもかなり改善。うん。
その代わり見事にゴーストが出ますね。
高井田横穴公園
で、高井田に来たというのは、駅北側すぐに高井田横穴公園というのがありまして、そこには丘の斜面に横穴を掘ってそこに埋葬するという変わったスタイルの古墳群があるんです。
中には彫り刻んだ画があったりとか、作り付けの石棺があったりとか。
なにか、もう少し勿体つける感じかと思ったら、公園に入った瞬間3つ並びの横穴がお出迎え。
入り口こそ柵があるものの、手前までは行けるし奥もそんなに深くないから、日当たり次第で中も見える。
このあたりは岩といっても凝灰岩でさほど固くないから、古墳時代の技術でも掘れたそうな。
横穴式の古墳が多数ある場所は、大阪ではここ高井田だけ。渡来人の文化なんじゃないか、とのこと。
でもう、横穴がそこらじゅうにあるの。
古墳時代にはこれも結構大変な工事だったと思うんだけど、誰か亡くなるたびに掘って掘って、一族郎党無数に眠る古墳群を作り上げてしまったと。こういう物量でくるタイプの古墳は、巨大前方後円墳などとはまた違ったパワーがあるなあ。
石棺を作り付けで掘ってあるのもあった。全部が全部じゃないみたいだけど。
洞窟内の壁画も、大規模に残ってるのはレプリカを展示しつつ解説してたりするんだけど、しれっとこんな説明なく玄室の入り口にあったりも。
象形文字っぽいけどなんだろう。右の方は「ツィ」に見える。もしや「ここに眠るものはツイッタラーだった」とかか。
この階段の上の第3支群5号墳には、複数の人の画が掘られていたので「人物の窟」といわれる。
人類は1500年を経て絵がうまくなったな。
本物の方もライトつけて見れるようにしてる……と案内してたのに、行ってみたら照明落としてた。えー……
これは写真だけじゃ伝わらないんだけど、左手の穴はなぜか口が大きいのに奥行きが数十センチ。墳墓とも扱われてないみたいでナンバリング看板も見当たらず。
で、右手の3号墳が、写真左手に向かって横に掘ってるの。左手の穴を掘り進めたら貫通してしまう位置関係。なんでそんなことしちゃったんだ。
そしてこの先の階段を上がったら、柏原市歴史資料館がある。
ちょうど特別展はなかったんだけど、常設展示がかなり興味深い。
松岳山古墳というところから独特の埴輪が出土していて、楕円の円筒に のヮの って顔があるの。アイドルマスターのルーツは古墳時代の柏原にあった……?
地すべりで知られる亀の瀬(大和川が山地を抜けてくるところで、地すべりで大和川を塞いでしまったら奈良盆地が水没、あるいは大阪が渇水または決壊と同時に大洪水になるから、古くから治水に追われてたという)もあるし、戦国時代にも畿内で権勢を振るっていた木沢長政が三好長慶に討ち取られた太平寺の戦いとか、大坂夏の陣・道明寺の戦いで後藤又兵衛が十倍の敵を相手に孤軍奮闘して散った玉手山とか、史跡も熱い。
あまり馴染みのない自治体だったけれど、色々見て回りたくなったな。
smc PENTAX-FA 28-90mmのよいところ
でまあ今日の散策のテーマだったのが、FA28-90mmをちゃんと使ってみることだったわけですが、上の横穴公園の写真でも、まあヤバいと思えるような写りには見えないと思います。暗いけど頑張ってF11で撮ってましたし。
私が2400万画素で原寸大で見てても、まあかなり良くなった。隅の方だとまだ少し甘さが残るとか、特にテレ端ではF11でもまだ解像力不足があるとか、現代的なレンズと比べるとだいぶ落ちるんですが。
なんだろう、色がだいぶ鮮やかに気持ちよく出る感じで、今日は雲が良かったのもあって、よく空撮ってました。
PENTAXのカスタムイメージ鮮やかから、特に色味なんかはいじってないんですけど、いつも使ってるDAレンズとはなんかちょっと感じが違う。
K-70にDAレンズ使うと、露出不足のときはマゼンタに寄る印象があるんですけど、FA28-90mmでアンダーになったカットの露出を上げたら黄色っぽくなってくる。やっぱりなんか癖が違うな。
これは目にも鮮やかな紅葉ではあったんですけど、撮っただけでこんなになっちゃった。現像で彩度上げたりはしてません。
テレ側のボケが良い感じに思えるのは前回感じたとおり。まあピント合ってるところの解像力が弱いのも前回感じた通りですが、絞ってたら球面収差でほわほわになるのは抑えられるようです。
アンダーにしつつ彩度を高く仕上げると、かなりいい感じに出るな。
これはさすがにカスタムイメージをポップチューンにした上で彩度を上げるなんて無茶してるんですが、そうしたくなる感じの色といいますか。
DAレンズでそんなことしたら色が飽和すると思うんだけど、このレンズだとなぜだかメタリックな感じになった。
広角側のボケは、若干玉ボケに縁がつきますけど、不快な感じはしない。
あとこれはズーム中域67mmでF8でしたが、このレンズにしては意外なくらいシャープに写った。2mは離れてない、でも最短より余裕があるくらいの距離と思うけど、得意距離があるのかな。
まあ逆光に弱いのはやはり、フードでの対策が必要そう。絞ったら思いっきりゴースト出ちゃった。こんなイラストのエフェクトみたいな派手なんなかなかないぞ。
ゴーストを目立たせるためにコントラスト上げたのでフレアが見えにくくなりましたが、フレアも出てます。
少なくとも、現代のデジカメで許容される画質にするためにはF11まで絞る必要がある。絞っても下限スレスレってのが正直なところ。
テレ端開放なんかほんとに描写悪いんで、K-70のファインダーでも妙な見え方になるレベル。K-3IIIのファインダーで一度見てみたいくらいだ。
しかし大きい欠点を絞って抑えたら、色の出がいつもと違う癖があるようで、華やかで気持ちいい。青空が気持ちよく写る。
絞っても解決しきらないアラは残ってはいるものの、この華やかな色は一芸として使う価値があるように思えるな。
使い方が悪いと……というか普通にプログラムオートで日陰で望遠使うくらいのことでも、写真を台無しにするくらい酷い写りになりかねないレンズですけど、絞って収差を抑えて長所を活かせば俄然輝いたりもする。
薄暗いところでもF11で使えるくらい高感度に強くなった今のデジカメなら、扱いやすいシーンはフィルム時代より遥かに多いでしょうね。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?