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諏訪湖の旅人

昨夜も月が綺麗でした。

5年前に諏訪湖で見た月と、会った人を思い出しました。諏訪湖ってご存知ですか?長野県の真ん中あたりにある大きな湖です。

湖岸の温泉で父85歳の親族総集誕生日会をせよ。と母から命ぜられた親不孝娘(ワタクシ)の苦手な親孝行企画遂行中のことでした。

宴会後、一族から抜け出して一人温泉を目論みました。色々を洗い流したくて。

数人の素っ裸先客が いらっしゃる湖岸の露店風呂から、対岸の夜景がキラキラ見えてウットリ、ワタクシも夜空に素っ裸を晒し、解放感に浸りました。

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先客は、お仲間が引き上げ おひとりになりました。 と、その見ず知らずの 先輩ご婦人は、

「今、こっちから お月さんが見えますよ」

と私に教えてくださり 移動すると雲の切れ間に綺麗な半月。

「うわあ!ありがとうございます」

「もう、ちょっとの間に、動いて行ってしまいますわ」

なんとも柔らかな関西弁と優しい笑顔で、半月ビューポイントをワタクシに譲ってくださったのです。
本当に、ちょっとの間の一瞬の出来事。見ず知らずの素っ裸同士、このことが何十年も その方の人生の記憶に残ったり、残らなかったり、でもワタクシは ずっと覚えていそうだな、そんなふうに考えました。

その方は、先に引き上げた お仲間に

「〇〇ちゃん、血圧高いんやて?大変やなあ」

と何故かキツめな口調で言われていました。

「まあ、年やさかいな」とニッコリ返し、

「自分ではどないもならへんし、お薬のんでたら大丈夫や」と。

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そうかもしれません。

人は、何かに魅せられたり惹かれたり、大切なものを棄てたくなったり、そんな自分の気持ちさえ どないもならしまへん、のですもんね。

お元気でいらっしゃるのかなあ、月を見せてくれた人。



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