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田舎町の渋滞

昨日の仕事帰りのこと。私は車で通勤している。時間はほんの10分くらい。けれど、昨日の帰りは何故かおそろしく渋滞していてすごく時間がかかった。おかげさまで思いがけないミュージックタイム、久々にジャニス・ジョプリンなんぞ聴きながら、夜の田舎町の道路をちょこっと走ってまた止まって、を繰り返していた。

対向車線は何事もなくスルスル車が動いている。こっち方面ってなにかイベントでもあるのかなあ...でも、緊急事態宣言出てるしなあ...。そもそも、私の住む地域には大きなイベントをするような施設もほとんど無い。年に一度の藤が咲く時期のお祭りにイベント収入の全てを託しているような町である。ふと、これはひょっとして事故か?と思ったらとたんに気持ちがザワザワしてきた。ヤダヤダ。

その後サイレンを鳴らさずのほほんと走る救急車と何台かすれ違った。私の行く先には大きな病院がある。もしかして怪我人を運んだ帰りなのかも、とハッとする。ヤダこわい。いったいどんな事故だったんだろう。動かない車の中でこっそりTwitterを開いても全くヒットしない。ザワザワは消えない。ちょうどムスコも帰宅時間、巻き込まれてやしないかしら、と不安もつのる。

迂闊すればちょっと早くなるのかもしれないけど、ここまで来たら逆にどんな事故か知りたい。そのまままっすぐ走り続けることにした。

この地方は、店舗の営業中のしるしとしてパトランプが点滅して、賑やかにクルクル回っているのがフツーだ。夜は特に目立つ。だからどこかで事故が起きていてもいまいち区別がつかない。道路のその先を見ても、あっちこっちでピカピカクルクルしているのである。昨日の道路も例外ではない。

そして。

さらにゆるゆる走っていくと、左手にケンタッキーフライドチキンが見えた。と、前の車たちが次々と吸い込まれるように左の路肩に寄っていくではないか。そう、そこにはドライブスルーですごい行列ができていて、車が道路にあふれていたのだった。その脇を抜けると車は突然軽快に走れるようになった。まるでサラサラ行く小川の流れのようである。

毎月28日はケンタッキーのとりの日で、とりの日パックが売られるんですって。そんなに渋滞するほどお得なのか、とりの日パック。金曜日という条件も揃っての渋滞だったのかなあ。

なーんだ。事故じゃないのかー、(いや事故じゃなくてよかったんだけど)と思ったとたんに胸のザワザワは消え去り、ホッとしたような、ちょっと肩透かしを食らったようななんとも言えないボヨヨンとした心持ちで、私は家を目指したのであった。

今度買ってみようかな、とりの日パック。




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