恋の残り香vol.5 : 嘘でもいいから嫌いにさせてほしかった

嫌いになってよって
困った声の貴方に

浮気とか喧嘩じゃないと
納得できないよって
泣きついたんだ

言いたかったのはね
お互い好きになって付き合ったんならさ
お互い嫌いになってから別れないと
卑怯だってこと

嘘でもよかった
嘘をついてでも
嫌いにさせてほしかったの

こんなやつと付き合ってられないわ
と思わせてくれたら
お互い嫌いになって別れられたのに

幸せになってね
俺よりもっといい人がいるから
俺にはお前を幸せにする資格がないんだ

そんなこと知らないの
私は貴方に幸せにしてほしかった
貴方となら幸せになれると思ってた

嫌いにさせるための嘘もつかないで
好きにさせたまま振るだなんて
とんでもなくズルいってこと
まさか知らなかったわけないでしょう

嘘じゃないって分かったの
別れたいって気持ちも
幸せになってほしいって言葉も
もう無理だってことも
嫌いになったわけじゃないってことも

でも嫌いにさせる嘘も優しさだってこと
なんで私から言わなくちゃいけないの
私が教えてあげなくちゃいけないの

嫌われるために嘘をつく
そういう意地悪い優しさが
貴方には足りなかったって
今更気付いてしまったりするんだ

貴方ともう戻れない理由を
今更見つけてしまったりするんだ