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とある社員の転職宣言が教えてくれた、「やさしさ」の意味。

こんにちは、岡山史興です。

「次の70年に何をのこす?」という問いかけをコンセプトに、スモールビジネスの支援を中心とした事業に取り組む70seedsという会社を経営しています。

ふだんの仕事では、企業の「ビジョン、ミッション、ポリシー」を策定するお手伝いをすることが数多くあるのですが、このnoteでは、まさにそのプロセスを自社で実行してきた、この3ヶ月あまりに起きた僕の会社の危機と立て直しの話をつらつらと綴りました。

気づけば長文となってしまいましたが、同じように組織の危機に悩む方の参考になればうれしく思います。


70seedsという会社

はじめに、70seedsという会社の成り立ちと組織の考え方についてすこし紹介したいと思います。

2009年に新卒でPR会社に入社した僕は、2014年にStory Design houseという会社を2人で共同創業し、順調に成長させていくことができていました。

ですが、大きな仕事が増えるにつれ「本当にやりたかったのってこういうことだったっけ・・・?」と自分の中でもやもやが育ち、共同創業者と話し合った結果、それまでの会社を彼女に任せて新しい会社を立ち上げることになったのです。それが、70seeds株式会社(当時の社名は株式会社am.)のはじまりでした。

僕が新しい会社を立ち上げて運営していく中で決めていた、組織運営に関する方針がありました。それは、「人のためにある会社」というもの。会社のために人がいて、社員を囲い込むのではなく、自分がやりたいことやフィールドを見つけたらどんどん外へ飛び出していってほしい。そんな思いを持っていました。

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今でこそ、パラレルワークやフリーランスの働き方が一般的になってきましたが、まだまだ「会社のために人がいる」考え方で経営される企業が多かったときのこと。いろんな試行錯誤を重ねながら、制度をつくったり社員との関わり方を考えながら進んできた様子は、以下のnoteにもまとめています。


そんな考え方でつくってきた会社が3年目を迎えたとき、ある出来事が起こりました。


とある社員の転職宣言

それは、突然でした。

「私、〇〇に内定をもらったんです。」

オフィスを出ようとした僕に、とある社員が不意に投げかけて来た言葉です。自分の道が見つかっただけの転職であれば喜ぶべきところなのですが、どうやら現状への違和感があるらしいーーとなると、ただ送り出すだけというわけにもいきません。

数日後、今何を考えているか、今何にもやもやしているか、彼女がまとめてくれた内容をもとに話をして僕が彼女に提示したのは、70seedsに残るにしても転職するにしても「自分が共感できるビジョンのある会社で働くのが一番だ」ということ。

結果、彼女は一旦転職を取りやめることにしたのですが(それにはほかにもいくつかの要因があるのですがそれはまた別のお話)、この「転職宣言」をきっかけに、僕は70seedsという会社のあり方についてあらためて考えることになったのです。

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上でも触れた通り、70seedsでは「自律」を大事にしていて、こまかいマネジメントをしなくても自分で考えて動けること、それによる自由度の高い働きかたを大切にしてきました。

ですが、それは一方で組織を通じて成長できる機会を奪うことでもある、と気付かされたのです。率直な言い方をすると「ゆるい」組織になってしまっていたということ。

成長イメージが持てない組織に人がい続ける理由はありません。「新しいあたりまえ」をつくる人たちを支援する僕たちには、人の役に立てる力を持っている必要がある。そのためには自分たち自身の「あたりまえ」を明らかにする必要があったのです。

この出来事をきっかけに、70seedsでは「ビジョン、ミッション、ポリシー」をつくり直すことが決まりました。


「ビジョン」をつくろう!

話に先立って、企業における「ビジョン、ミッション、ポリシー」の役割を構造で整理してみました。

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企業によってビジョンが先だったりミッションが先だったりしますが、70seedsでは基本的にビジョンを上に考えています。

ビジョンを考えるにあたって最初に取り組んだのは、各個人の「70seedsでやりたいこと/やりたくないこと」の整理です。

この「個人」からスタートするところが重要で、それは「会社はあくまでも個人のための箱に過ぎない」という考え方に基づいています。世の中に数多の会社がある中で、なぜこの会社で働きたいと思うのか。

思いを持った個人の総体が会社という組織を成り立たせているのです。

そうしてビジョンについての議論を重ねる中で見えてきたのは、以下のようなポイントです。

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そして、これらの要素をまとめたビジョンを言葉にしました。


「ミッション」をつくろう!

ビジョンが決まれば次はミッションです。上の構造で示した通り、ミッションとは、ビジョン実現のために自分たちが担う役割のこと。この役割を考えていくにあたり、はじめに出てきたのは「PR」や「編集」といった言葉でした。

ですが、「PR」や「編集」は世の中に溢れている上、人によって解釈が異なる言葉。これらをそのままミッションとするにはまだまだ解像度が低い概念です。

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そこで、「PR」や「編集」という言葉を使わずに自分たちの役割を言語化、定義していくことにしました。そこで生まれてきたのが「相手の考えていることを整理する」「世の中に届ける」「つなぎ合わせて価値にする」といった、アクションレベルでの言葉です。

ここからミッションの策定へ・・・と、本来なら進めていくところですが、一旦言語化することはせず深掘りを続けることで、このまま具体的なアクションからポリシー(行動指針)の策定へと進めることにしました。

(なお、これらを「バリュー(提供価値)」として定義することもありますが、今回の取り組みではそうしませんでした)


「ポリシー」をつくろう!

なぜポリシーを先に固めることにしたか。それは、「概念だけでは動けない」からです。

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ビジョンやミッションを策定していくプロセスは、ときに自己満足の言葉遊びに陥ってしまいがちです。ですが、それが許される時間的余裕は、今の70seedsにはありませんでした。

きれいな言葉にまとめていくことよりも、目の前の仕事に取り組んでいく上で、具体的に何がよくて何がよくないことなのか。その定義を皆が高い解像度で共有することが重要だと考えたのです。

ミッションの要素やイメージを共有した上で、そのミッションを達成していくためにどんな行動を取る必要があるのか。以下のステップで取り組みました。

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特に4〜5の段階では、自分たちの普段の業務を振り返りながら、こうありたい「do」と、こうありたくない「undo」を具体的に言葉にしながら、「あたりまえ」のイメージを共有していきます。

(それぞれの言葉の端々から、何に課題を感じているのかだとか、何にモヤっているのかだとかが垣間見えて面白いステップでした笑)

これを踏まえて、最終的に各自が言語化した内容をメンバーで議論、僕が言語化する手順を経てポリシーの出来上がりです。

なお、ポリシーを言語化するときには、70seedsが目指す人物像=「Policy Concept」と3つの行動指針=「Policy」、そしてそれぞれの具体的なシーン=「do / undo」に分けてまとめました。


出来上がったVMPとプロセスの重要性

こうして出来上がった「ビジョン、ミッション、ポリシー」が以下です。

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社員の「転職宣言」からはじまった一連の取り組みを振り返ってきましたが、この策定プロセスのポイントは大きく3つあると考えています。

1.与えられるよりつくりだす
多くの場合「ビジョン、ミッション、ポリシー」は、会社に入ったらそこにあるものではないでしょうか。ですが、「与えられる」ものよりも「つくりだす」ものの方が自分ごと化しやすいはず。

今回の場合、社員自身が「自分が納得できるビジョンが必要」ということがスタート地点になったことが良かったなあと思っています。

2.シンプルで具体的な指針
文中でも触れましたが、今回のプロセスでもっとも重視したのは具体的にイメージできる「ポリシー」=行動指針を設計することでした。ただし、具体的なシーンをイメージすれば数が多くなり、覚えきれないものになってしまいます。

僕の会社員時代も20項目くらいの「原則」があったのですが、今でも覚えているのは「できない理由よりできる手段を考えよう」くらい。本質的なものだけあればだいたい解決するんですよね。「GO BOLD」とか「GET WILD」みたいに、短い言葉で共通認識を持てるのが一番。

3.最後は経営者の言葉で
ただし、ここまでの2つのポイントには実は落とし穴が潜んでいます。それは、現場感、具体感にこだわるほど、経営者の思いが薄くなりがちだということ。経営者の思いが乗っていない言葉は一見民主的に見えますが、やはり誰が最終的な責任を持つ船なのか「覚悟」がないものは指針たり得ません。

そこで、最終的なワーディングはたとえ不格好でもいいから、経営者が周りの思いを汲み取りつつ自身の思いを乗せて編集・ジャッジしていくのが大切だと考えています。


さいごに

今回の取り組みを通じて、僕自身考えさせられることが多かったのですが、その中でも一番考えさせられたのは「本当のやさしさ」についてでした。

自分のやりたい仕事ができること、働きかたが自由であること、付き合う相手がみないい人たちであること。70seedsはそんな「やさしい」環境だと、自分たちも思っていたし周りからもそう見られていました。

ですが、それは裏返すと本当は「やりたいことを実現し続ける力」や「自由に働く自分をマネジメントする力」「いい人たちに貢献できる力」が必要だという、厳しさを伴う環境だったはずなのです。

このあたりの感覚は、議論の終盤にまとめた「70seedsのエコシステム」によく表れています。

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自分たちが自身に厳しくあるからこそ、周りにやさしくできる。「優しい」であって「易しい」であるのはちょっと違う。

もちろん、人ぞれぞれ目指す姿や置かれている条件は違いますが、そんな違いを前提としながら「誰のためにどんな風に役立ちたいか」そして「そのためにどんなことなら取り組んでいけるか」を共有できるからこそ、会社として、組織として一緒に進んで行くことができる仲間になれるのではないでしょうか。

そんな覚悟を自分自身に対しても改めて持つことができる、そんなプロセスをメンバー皆で辿れたことに感謝をして筆をおきたいと思います。


さいごに2

・・・と、ここまで書いてきたものの、まだできたてほやほやの「ビジョン、ミッション、ポリシー」ですから、真価はこれからです。

実際にメンバーからも「議論しているなかで、全体像や終わりが見えないのが辛かったですし、議論の進め方についても、みんなの意見を聞いていただく機会があったらいいのかなと思いました」という声をもらっていたりもして。

そんな反省点も含めて、はじまりはこれから!なのだと思っています。また半年後くらいに続報をお伝えできたらいいな・・・。

70seedsでは、ビジョン、ミッション、ポリシーの策定をはじめとしたインターナルブランディング支援のご相談や、一緒に働いてみたい方のお声がけいつでもよろこんでお受けしています!ぜひ!

(TwitterのDMなどで気軽にご連絡ください!)


さいごに3

最初に、「どんどん外に出ていってほしい」と書きましたが、正直な気持ちで言ったらずっと一緒に働けるに越したことはないですよね。いなくなるのはさみしいし。。。

気持ちよく一緒にいられるためにも、同じ言葉で組織を語っていくことは大事だなと思っています。

それではまた!

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世の中の「人・モノ・こと」の関係性を編集する70seeds株式会社の代表取締役/ウェブメディア『70Seeds』編集長。ソーシャル・ローカル・スタートアップをフィールドに、事業開発からPR戦略設計まで取り組んでいます。

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