昨晩彼氏と別れたけどこの一年半をわたしは無かったことにしたくないよ
彼氏と別れた。付き合っていたのは一年半だけど、わたしが一目惚れしたのは2020年の2月。大学三年生の終わりがけだった。コロナに関する報道がすこしずつ増えていくなかで、ちょうどこれから就活のわたしたちはそんなの絶対に信じたくなくて、つとめて変わらない日々を送ろうとしていた。
目の奥に沁みるチカチカしたライト、お酒と煙草と香水の混じった匂い、露出の多い女の子たちとブランド名が大きく書かれた男の子たち。お腹の底がずんと震える重低音のなかで、つまらなそうにスマホをいじっている彼がなんだか気になった。
顔を上げたらすっごくきれいで、だるそうに煙草を吸うのを見て隣に座って声をかけた。「あの！つまらないですか？」と耳の横で大声を出したあの瞬間を忘れることはきっと一生ないんだと思う。
今朝目が覚めたら、当たり前に世界があってがっかりした。一秒の間に一秒が過ぎていて、歩行者信号はピヨピヨ鳴っていて、大きなトラックのエンジン音がうるさくて、たまにうちの前で立ち止まって話し込むひとたちがうざったい。昨日となんにも変わってない。わたしだけが置いてきぼり。
大事なことをことばにして伝えるのが苦手、と言われるのが苦手なわたしがいる。所謂「好きだよ」とか「愛してるよ」もそうだし、「ありがとう」や「ごめんね」も。どうして言ってくれないんだろう、と不安になるのはもうやめにする。
わたしはなるべく気持ちをことばにして伝えたい。ことばでなくても、行動や態度で示したい。そうじゃないと、後悔することになるとわかっているから。
あのときちゃんと伝えておけばよかった、というズキズキした後悔があれば、伝えようという努力ができるような気がするんだけどどうだろう。そうでもないんだろうか。
何が言いたいかというと、つまりわたしがその踏み台ってことか〜と気づいたら萎え始めた。わたしがこのひとに「大事にするってどういうこと？」という旗を立てて、立てただけで閉じていく。
去年の3月にnoteを始めてから、彼氏が登場する頻度はとんでもなく高かった。だから別れ話をされて彼氏関連のnoteを非公開にするときに、わたしの生きてきた時間もアーカイブされたようで虚しかった。なかったことにしないように、ほんのすこしだけここに残しておこうと思う。
おでかけしたいとか一緒にごはん食べたいとかって、その行為自体がしたいんじゃなくて、愛を確かめあいたいのよね。
だからわたしがアバター2観に行こうよって言ったのは、アバター2の内容ももちろん気になってたけどさ、隣り合わせのチケットを買って、ポップコーン塩にするかキャラメルにするか話し合って、ドリンク選びに時間食って開演ギリギリになって、意味わからんくらい長いCMをうざがって、同じ映画を一本まるまるふたりで観て、たまにちらっと横目で顔見合わせてはにかんだりして、余韻に浸りつつもやばいはやくトイレ行こ！！って急いで外に出て、カフェかなんか入って感想伝えあって、しゃべりすぎて眠たくなってうちに帰ってお昼寝する。そんな、映画っていうたったの2時間に付随するいろんなプチイベントを求めてたんです。そんな、ちっぽけなことの積み重ねが、愛を深めてくれると思うんです。
だから、明日のおやすみはわたしにください。今日はちょっと夜更かしして、のんびりテレビ見てさ、明日も朝ゆっくり起きてきて、どっか行こうよ。
わたしも、パートナーができてから「このひとには長生きしてほしいな」とは思うようになったんです。わたしは長生きしたいと思わないけど、きみは長生きしてくれよな、という感じ。わたしより先に死ぬのはやめてね、かなしいから。そんな気持ちをお互いに思っているんだとしたら、わたしもなるべく長生きしたほうがいいんだろうと思います。
「長生きしたい」って、これからだんだん思うようになるんでしょうか。「死ぬのが怖い」って、すごく「生きている」感じがします。大好きな人がいると、世界が愛おしく見えるんでしょうか。
そのうちこどもができるとしたら、彼の遺伝子100%がいいな、と思ってしまう。でもハーフハーフだとしたら、これ以上のファンサは無いな、とも。
ふぅ、とひといきついて画面を見て
「かわいい」
と言ってくれたので
「飽きない？」と聞いたら
「飽きないっていうか、飽きるとかいう概念無いよ。『飽きない』ってこれから飽きるみたいやん」
という模範解答をいただきました。
最高。ありがとう。だいすきや。
いまも後ろからnoteの編集画面をのぞきこんできて、「楽しかった？」とニコニコ声をかけてくるこの子のおかげ。
なかなか自分の時間がとれない、窮屈な気持ちになってしまうことが多い毎日だけど、こうやってちゃんと「楽しい」を感じる余裕を大切にしなくっちゃ。
キャベツとレタスは、パートナーが何度間違えても覚えられないもの。ほうれん草と小松菜は、わたしが何度間違えても覚えられないもの。
あと、わたしは「む」と「ぬ」も苦手。MUとNUだよ？どっちかわかんなくない？わたしだけか。
こういうちっちゃな雑談というやつが、愛を深めてくれるよねって話がしたかったの。忘れちゃうくらいのちっちゃな話。大事にしたいな、書いておかないと忘れちゃうようなことを。
ず〜っと、手を繋いで歩いていけたらいいなと思う。けど、暑い日はまあまあ嫌がられる。そもそも恋人繋ぎより友達繋ぎが好きらしい。まあね、いいんだ。ちっとも人肌恋しくなんてならないこの日々に、隣にいてほしいと思い合えることが嬉しいんだ。わたしは冷房を1度下げて、くっつきに行くけどね。
にこにこ〜っとしたあとでペロッと自分の前歯を舐めたパートナーを見て、「なにしとんの？それ」と聞いたとき。「ぼくの歯は犬の鼻であり河童のお皿なんよ」って言われたの。犬の鼻も、河童のお皿も、湿ってないとダメでしょう？犬はまだわかるよ、わかるけど、河童にも会ったことあるひとのコメントじゃん、それ。なんかね、こんな発想できるのすごいなって。わたしとは違う生きものだなって思うんだ。ふとしたときのフレーズに、「なにを言ってるんだか」と「けど、いいね、それ」が生まれるのがすき。ずっとそばで、こういう小さなつぶやきを、どんぐり拾うみたいにぽつぽつ拾っていたいよ。
カレーに目玉焼きを乗せるとおいしいと聞いた半年後、カレーにタバスコをかけると美味しいと聞いた。半年後にまた美味しいカレーになったらいいな。
そんなわけで、今回は12個のいいところを教えてくれました。スラスラこんなに出てくるのすごいですね。これから喧嘩したときには、未来のわたしにも未来のパートナーにも読み返してもらえたらと思います。
自分の人生のなかに、ずっといるという前提で将来を思い描いてしまっていた。大切なひとがいなくなるのはいつも突然で、「⚪︎日後にいなくなりますよ！」とカウントダウンなんかしてくれない。
わかっているつもりになっていたなと思う。小学生の頃ひいおばあちゃんが亡くなったときも、中学生の頃に親戚の和菓子職人のおじさんが亡くなったときも、高2でじいじが亡くなったときも、大学一年でお兄ちゃんが亡くなったときも、全部全部突然だった。
ひとはいつかいなくなる。結局はひとりで生きていかなくちゃいけない。自分のことは自分で守れないといけない。誰かに寄りかかっていないと死んでしまうようではだめだ。毎日をもっと大切にしなくてはと胸に刻んだ。
死を思い出すのとともに、初めて付き合ったひとから「やっぱり付き合えない」とLINEがきた日を思い出す。2ヶ月ぶりに会える日の3日前に「遠距離はやっぱり無理だから別れたい」と言われたこともあった。何年経っても鮮明に、脳内にこびりついている。わたしのなかでパートナーと別れることは、パートナーが死ぬぐらいのことなのかもしれない。
「やっとのぞみちゃんに向き合える気がする」と言われた。視界いっぱいの青い空と海。インスタも読み込めないほどよわ〜いWi-Fi、しんと静かな畳の部屋。こんなところまで来て、やっとお互いが見えるようになった気がするね。
改めてお互い感じていた気持ちを伝えて、エア握手をして仲直り。握手しよう、と小さなスマホの画面に手を伸ばしている姿に救われているなあと思う。家に着くまでが遠足ですと言われるように、仲直りまでが喧嘩なんだよなといつも思っている。ここまでやって、やっと終わったと思える。
ひとと付き合うのはめんどくさい。恋愛は人生にあってもなくてもいい要素で、マイナスになるなら別れてしまいたい。それでも付き合っているのは、やっぱり何か大事なものがそこにあるから。
一度も喧嘩しないで過ごせる関係性が存在するならそれはすごく羨ましいけれど、何度も喧嘩しても毎回仲直りできる関係性も同じぐらい尊いんじゃないかと思う。わたしはこれがいいなと思う。これからも多分ごたごた揉めているんだろうと思うけど、そのたびにお互いのなかみをまたひとつ知れるようなわたしたちでいたいと思った。
こうして並べてみると、すこしずつ影が濃くなっているのがわかって切なくなる。けど一番新しいnoteまで、ずっとわたしは彼のことが大事で大好きだったんだなあと思う。ちゃんと書き残しておいてよかった。こんなに大好きになれてよかったね、ありがとうね。
一年半、人生の真ん中に置いて過ごしてきた習慣を突然変えるのは難しい。特にインスタなんて最悪だ。彼が好きな白いフレンチブルドックのリールを見つけたら、ついつい紙飛行機のボタンを押してしまう。
簡単に作れる美味しそうなレシピを見つけたとき。名古屋のおしゃれなごはんやさんを見つけたとき。彼が好きそうなかわいい女の子を見つけたとき。ついつい画面の左下に親指を伸ばして、もう送る相手じゃないんだということにふと気づいて所在無げにうろうろする。
そんな日々がきっとしばらくは続いていくんだろうと思っていて、だんだん薄れていくのが嫌だなと思うわたしもいて、この痛みが鮮やかなうちにこうして何かを残しておきたいと思った。
3月末に別れ話をされたとき、reGretGirlのsoakを聴いて息をしていた。「だって血が滲むほど愛したって壊れないから」を何度も何度も自分に染み込ませて、絶対大丈夫って何度も何度も自分に言い聞かせてた。
たまに流れてきたグッドバイで泣きたくなくて、スプリングでいつかこんな風に後悔してくれるだろうかと遠くを見たりして。インスタントが流れたら、最初はセフレだったんだから彼女になれただけでもよかったじゃんと思ったりもして。
でもやっぱりカーテンコールを聴いて、絶対別れたくないって思ってた。「最後でよかったって言えますように」と口ずさんで、絶対これを最後にするんだって誓って、折れそうになっても諦めたくなかった。
よくがんばってたなあと思う。とりあえず、お疲れさまって言ってあげたい。お互い、疲れたよね。まだキリキリする胃をさすって、とめどなく溢れてくる涙を拭って、それでも一秒の間に一秒過ぎてるから大事に生きていかなきゃいけない。これからもっと幸せになってねって、今は言えないけど、そのうち言えるようにがんばるよ。今までありがとう。
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