愛知県の足助で開催中の奇妙な縄文展「ジョウモンの奇妙な文様」展に行ってきました。
刻むぜ縄目のビート!
愛知県の足助に来ています。お目当てはこの展示。「縄文の奇妙な文様」展。刻むぜ縄目のビート!
少し前段から。愛知県豊田市の足助町は尾張と三河と信州を結ぶ伊那街道の道筋の街で古くから交通の要所と栄えた場所。今は紅葉の名所『香嵐渓』の町としても有名な場所。街並みは江戸、明治、大正、昭和初期当時の建物が残され、小さな街でも風情がある。そして伊那街道といえばもちろん縄文。この街からはこんなユニークで楽しい土偶が出ている。
この土偶は「縄文のビーナス」と呼ばれている(女神のインフレについてはまた別の企画で)。このファットな土偶は足助の今朝平遺跡から出土したもので、街の入り口には大きな石像まで作られている。
※グーグルマップで見ると顔にモザイクがかけられている。顔無いのに…かわいい…
さて、「縄文の奇妙な文様」展。刻むぜ縄目のビート!
ツイッターではすでに話題になっていたこのポスターだが、一目でわかるくらいあの名作漫画『ジョジョの奇妙な冒険』のパロディだ。弊雑誌である縄文ZINEでも軽くとも何度かこすっているくらいのネタなので、特段すごいアイデアだとは思わないけれど、「お堅い」と思われている考古学の郷土館発信でやることのギャップが効果的だった。
とはいえ、ポスターが面白そうだからと言って足助はホイホイと行ける場所ではないし、ただでさえこの秋は各地ですごい縄文展が目白押し、僕の知っている熱心な縄文おじさんは各地の会期に追い立てられて汲々としている。
僕も愛知と岐阜で行くべき展示や会いたい人がいくつか重ならなければ行かなかったと思う。
で、結果、行ってみたら超楽しかった〜!というレポです。
まずは足助資料館へ
前日は岐阜で蓑虫山人のあれこれをした後、レンタカーで20時頃に足助に到着。すでに街は真っ暗。明治20年からやっている宿「山城屋」に泊まる。今回の展示はこの古い街並みが主役と言ってもいい展示なわけだから、街中の宿に泊まりたかった。
朝になり、まずは「ジョウモンの奇妙な文様」展ではなく、足助資料館へ。ここに例のビーナスが展示されている。足助資料館の建物は大正12年に建てられた品の良い西洋風の建物。建物の雰囲気を見るだけでも楽しいけれど、その中の一室に考古資料が所狭しと展示されている。足助は小さな街だけど、縄文の遺跡が90箇所もある。
トイレのタイルのブルーが眩しい。
いよいよ「ジョウモンの奇妙な文様」展へ
足助の街の中心にある足助中馬館。こちらは大正時代の銀行を展示館にしているもので、去年は土偶の展示をしていた。そして今回はなぜかジョジョ!奇妙な縄文!刻むぜ縄目のビート!
館の方に聞いてみたら、この企画は縄文遺跡が多い足助で縄文の企画をということで、豊田市の郷土資料館の学芸員さんが企画したものだということで、今回展示しているのは以前田中順三さんという人から豊田市に寄贈された数々の縄文土器の優品。
早速足助中馬館の展示を見る。
2枚目の阿玉台式土器の顔面把手は珍しい。関東や東北の土器が多いそうだ。触れる展示もあってこれもなかなか良いな。ここではたと気付く、あれ、そんなにジョジョっぽくないぞ。楽しいけど。
そう、この展示ほとんどジョジョ感は無い。しかし、がっかりするのはまだ早い。実はこの展示の本当に素晴らしいのはジョジョ風のチラシではない。この展示のメインは、これから紹介する街中展示だったのだ。
小さな足助の街中の町屋のショーウインドウに何箇所も土器が、風景の中に土器が並ぶ。これは楽しいぞ!ふるえるぞハート!燃え尽きるほどビート!和菓子屋にエントウカソウシキ!
仏具屋にナカビョウシキ!のビート
もなか屋にカソリ・E・シキの波紋!
吉田さん家にオタマダイシキのオーバードライブ!
釣具屋にイヌ!
※犬は展示とは関係ありません。
これはさながら土器というスタンドを操る町家、いや、土器のスタンドが町家なのか? 全部で10箇所の街中展示は楽しい。残りはぜひ行ってみて確かめてほしい。他にもお茶屋さんやお米やさん、元ガソリンスタンドの町家とか、展示も色々だ。お店の人に話しかけてみてもいろいろ話してくれる。
展示じゃなくてもお店をのぞいたり、足助の街を歩くのが楽しい。すごく素敵な企画だと思った。その古い町並みにさらに古い土器が展示されているという奇妙なギャップも含めて最高だった。惜しむらくは、展示されていたのは地元の土器じゃなくて、関東や東北の土器だったことくらいだ。
ぜひ行って体感してみて欲しい。これから紅葉で街は結構な賑わいになるみたいだけど、これ目当てに足助に行くのも全然アリだと思う。小さな街だからこそできた展示かもしれないけれど、他の場所でもこんな企画見れたらいいなとも思う。日常に土器が侵食してくる感じも含めて良い企画だと思う。企画した豊田市郷土館の学芸員さんと足助の商店街のみなさんにはこのセリフを贈りたい。
「さすが足助、そこにしびれる、あこがれる--‼︎」
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でもパロディやるならもっと徹底した方がいいんじゃ…。もしかして、ビビった?(小声)
なにわともあれ今年の縄文展裏ベスト(失礼)にエントリーです。去年はこちらの東京清瀬の展示が裏ベスト(重ねて失礼)。最高でした。
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