なぜ結婚するのか?を問う彼と婚約するまで
婚約した。
私の恋愛に関してはこんなマガジンを作っているので気になる方はぜひ読んでみて欲しい。(私のエッセイの中でも人気者揃いのマガジン)
彼とのことを簡単にまとめると、海外で出会った人とマッチングアプリで偶然に再開し、現在同棲している状況。
結婚することに関しては「2023年(同棲して1年後)に決めましょう」と2人で決めていたし、秋には入籍したいと私の意思も伝えていたけれど、色々積み重なってそんな話がしづらくモヤモヤしていた。
痺れを切らした私が彼に勇気を持って提案をしたのは7月のことだった。
「秋くらいに入籍したいって伝えてたけど、そんな話に全然ならないね?
年内に結婚って話で同棲してたわけだし、一回ちゃんと話し合わない??」
彼は自分から言い出せなかったことについて謝ってから、
「2週間後のこの日にちゃんと話し合おう。それまでに聞きたいこととか話し合いたいことをお互いにまとめておこう」
と言った。
彼らしいやり方だとも思ったし、冷静に話が出来そうだな、と思って賛成した。
そして2週間後。
彼と決めた話し合いの日が来た。
家に一日中いるのが嫌いな彼は「近場のカフェに行こう」と言ってきたのでカフェで話し合うことに。
(私が話し合いたいことは、結婚後子供産むとしたらの具体的な話かな…あとは海外移住の話も出てたし、それをいつしたいのかはちゃんと聞こう。今までも色んな話してきたし、そんなもんかな〜…)
そんな感じでカフェに着き、カウンター席で彼と隣同士に座った。
いつも通りパソコンを出し、彼がExcelを立ち上げる。(彼はExcel大好きマンで、過去には旅行の計画、引越しの予算などありとあらゆることをExcelに書き込んで表にされてきた)
立ち上がったExcelの画面にはなんと、
ズラーーーーーーっと20行くらいの質問リストが出来上がっていた。
…………こわ。
これは想定外だった。
私は彼が結婚に関して真剣に考えていないのだ、とずっと思っていた。
日々の仕事や趣味の予定に忙殺されて、何にも考えてないでしょ?って。
でもこの質問リストが視界に入っている今、あまりにも彼の方が結婚に対して正面から向き合っていると思った。私の方が全然真剣に考えてなかったんじゃね??
「よし始めよう」そう言われて背筋が伸びる。
「まずhonoは、なんで結婚したいの??」
………………えっ???
そんな質問が飛んでくるとは思っていなかった。
……そして私、なんで結婚したいんだろう??
“そもそも結婚する必要があるのかどうか”
彼はその疑問を解くことが出来なくて、悩んでいたようだった。
確かに同棲している今、共働きの私達は籍を入れても入れなくても何も変わらない。
子供がすぐに欲しいわけでも無い。面倒な手続きをやらなければいけないだけ。
そりゃあ正式に籍を入れていないと病院で死に際に会えない、とか色々あるんだけど、
そういう答えを求めてるわけじゃないことは分かる。
あなたが好きだから!!とかそういうのを求めてるわけじゃないのも分かる。
確かになんで私は結婚したいんだろう?
結婚する理由ってなんだろう?
「…そう言われると私も分からないよ。周りの結婚してる友達とかは何か言ってなかったの?」
「結婚して何か変わった?って聞くと、みんな何も変わらないって言う。変わらないならしなくても良いんじゃないかって思ったりもして…だからなんで結婚したいのかなと思って」
確かにそれはそうだけど、
…なんなんだろうこのモヤモヤは。
「そんなの結婚してみた人しか分からないよ。結婚した人たちでもまだ分からないって言ってるわけだしここで話し合っても答えなんて無いと思う。その質問パス。次行こう」
話し合い第一問目にして私はパスをした。
これの答えを出すのは難しすぎると思った。
それ以降の質問はよくあるもので、子供はいつ産みたいかとか、何人欲しいかとか、貯金はどうやってやっていくかとか、同棲してる今の家事配分に不満はないかとか、結婚式はするのか、指輪は欲しいのかとか、そういったもの。
自分が大きな病気にかかった時にどうするかとか、親の介護費用はあるのかとか、そんな話もして、時々立ち止まりつつも質問リストを順調に進めていった。
一問目だけが最後までどうしても答えが出なくて、2人の間でひっかかっている感じがした。
話し合いの最後に「プロポーズはあなたからちゃんとしてほしい!」としっかり伝えて、その日はお開きになった。
プロポーズをされていない私たちは、“話し合いだけして婚約状態ではない”という割と宙ぶらりんな状態になった。
それ以降、私は「人ってなんで結婚するんだ???????」という疑問が頭にずっとある状態になった。
職場の既婚の先輩たちにも聞いたりした。
友達には「結婚するかもしれない」と伝えては「えー!おめでとう!良かったね!」と言ってもらえるけど、「まだ婚約状態にもなってないから祝わないで!」とか訳の分からないことを言うハメになった。
この話し合いの話を相談がてらにすると、「エ………ムズ…………」とみんな困っていた。
彼にそっくりな性格の親友(既婚者)は「彼の気持ち確かに分かるな〜私もそう思ってたよ!男とか特にメリットないしね!私は扶養入れるし得があったからしたけど共働きなら無いよねぇ」とか言っていた。
そのスッキリ整理された親友の回答の方が、私のふんわりとした「結婚したい」の気持ちよりも何十倍も説得力があり、理にかなっていると思ってしまった。
そんな中で気のせいか事実か、彼が以前よりもピリピリして感じるようになった。
今でも言葉で表そうと思うと上手く書けないけれど、1人の時間を作りたがるような感じというか、少し距離を取られている感覚があった。
通常の会話もしてくれるし困ることも別に無い。意地悪だとかも思わない。
ただ、なんとなく、でもほぼ絶対、最近冷たいよね????って思うようになった。
私は私で会話の流れで「結婚」のワードを出すのがほんのり憂鬱になった。話が弾まない気がするから。
気がする気がする言っててもしょうがないという気持ちと、どうしたらいいのか分からない気持ち。
ドライブデート中に「あれから“なんで結婚する(したい)か”の答えは出たの?」と聞くと「いや、出ないよ」と諦め混じりの返答。
冗談まじりに「結婚やめる!?」と言ったら「辞めないけど!」と即答された。
彼に対して私まで結婚に対して疑念みたいなものが膨らんでいった。
「前より冷たい気がする」と本人に言うのは気が引けたし、その感覚もなんとなく過ぎて説明しづらい感じが私達お得意の“話し合い”を遠ざけていた。
でも、この雰囲気が続くなら結婚なんてしたくないと思えてきた。
辞めるなら、逃げるなら、今だとも思った。
てか入籍の話が出てこんなモヤついた気持ちになる人なんているわけ??
友達とかみんなハッピーハッピーって感じじゃなかったっけ??
なんでこんなに私たちは楽しくないわけ???
気付いたら結婚のことを考えると嫌な気持ちになるようになった。
「結婚に縛られた女はおかしくなる」という仮説が自分の中ではあったけど、あれはマジで本当。
私も完全にそれだった。
冷静に考えればこの時代に結婚したからってなんなんだ、と思う。
そんなムキになって結婚なんてする必要ない。人生で唯一選べるたった1人の家族を、無理に決めるのは間違ってる。
私はなぜそんなに結婚したがってたんだろ?本当に結婚する必要あるのかな?
でも何故か彼と付き合った時から、人生ゲームのコマみたいに“結婚”が目の前にあったのだ。
ただそれだけのことだったのかもしれない。そのコマに止まらないという選択だってあるのに、その選択肢を忘れていたのかもしれない。
「honoちゃんそれ完全にマリッジブルーだね(笑)」
仲良しの美容師さんに一通り話した時、そう言われてビックリした。
マリッジブルーというものの存在があまりにも薄過ぎて、てかそんなものになってる友達が居な過ぎて思いつきもしなかった。
なんとなくマリッジブルーを認めるのが悔しくてしばらく無かったことにしていたのだけど、諦めてネットで調べてみた時、ハッとした。
男性もマリッジブルーになるらしい。
症状としては
なんとなく気分が沈む
結婚の話になるとネガティブな気持ちになる
彼女と話すのが億劫になる
楽しそうな彼女にイラッとしてしまう
とかだった。これ、彼では???
マリッジブルーは入籍や結婚式などゴールの日を迎えるとともに症状が無くなるらしい。
じゃあ最近の素っ気なさも気にしなくていいか、と少し心が軽くなった。
家に帰ってタイミングを見計らい、彼に「あなたはマリッジブルーだと思う」と伝えたら、悔しいのか何なのか「違うよ」と言う彼。
久しぶりにきちんと話す時間が出来たのでそのまま話していると「日常の中で1人の時間がもう少し欲しい。距離感のメリハリが欲しいかも」と言われた。
ショックとかもなく「あ、そうだったんだ」と思った。
その話をした時の空気はとても和やかで、
わだかまっていた紐が解けたみたいに次の日から今まで通りの彼になり、仲の良い私たちに戻っていた。
彼が素っ気ないとか冷たいとか元に戻ったとか、
どれもこれも私の気のせいかもしれない。
でも2年半近く誰よりもそばにいた私からしたら、その直感が外れることの方が可能性は低いと思う。
その辺りから徐々に彼は結婚までの段取りの話に積極的になり、
お互いの家への挨拶と両家顔合わせの日にちがすぐに決まった。
「ねえプロポーズっていつしてくれるの??
明日には私の家族に挨拶に行くのに…」
私の実家への挨拶の前日のデート中、私は何度もぼやいた。
何かを予約している感じもなく、マジでいつもと何も変わらないデート。
それは楽しいけれど、え、両親の方が先に「結婚させて下さい」を聞ける感じ??それは無くない??????
その日のデートの帰り道、私たちにとって思い出のとある場所で、彼は立ち止まった。
そしておもむろに手紙をカバンから出し、プロポーズされた。
通りすがりの人々からしたらなんてことの無いただの道で。
彼女の親に挨拶に行く前日に、なんて、夏休みの宿題を全力で最終日にやるタイプの人間がやるプロポーズだ。
まさに彼らしい。
ある意味予想が出来ないかなりのサプライズ。さすがに笑ってしまった。
封筒の中には小さな手紙と、何年か前に私が彼にふざけてあげた「何でも叶えてあげるチケット」が入っていた。
これじゃあ拒否権無しじゃん。
無駄のない短い文章の手紙には、結婚に対して何の曇りもなくなったような決心みたいなものを感じた。
その中には、結婚をすぐに決めきれなかったことへの謝罪の言葉もあった。
泣きながら手紙を何度も読み返した。この日のこと、手紙の文章、どれも記憶に刻んでおきたいと思った。
ようやく正式な婚約状況になった私たち。
今の私たちは、私たちの歴史の中で1番仲がいいと思う。
今になっても、なぜ結婚するのかとか、なぜしたいのかを上手く言葉にすることが出来ない。
寧ろ結婚しない理由の方が明確にあるとも思う。日本での結婚という制度がそもそも時代に合ってない気もする。
次世代的な選択が好きな彼は納得する答えを出したかったのかもしれない。それは何となく分かる。
でも今のところ、この期間は私たちには必要な期間だった気がする。
結婚するかに悩んで、話し合い、入籍するまでのプロセスは2人の関係をかなり強固にしてくれた。
実際婚約するまでの期間には彼の新しい一面を見た気もするし、真剣な話の積み重ねに無駄なものなんてひとつもない。
大きく揉めることもなくきちんと乗り越えられたことが、今後の自信にもつながった。(苦しかったけど)
これから入籍まであと少しの期間もその先も、穏やかに楽しんでいこうと思う。
「なぜ結婚するのか」の答えもどこかで見つけたい。
結婚して失敗しても、良い経験に絶対する。
絶対幸せになるし、してあげる。
2人で一緒に乗り越えながら。
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