健やかな恋の秘訣
健やかに恋愛をすることはとても難しい。
不安にさせない相手を選ぶことも、不安にならない心を保つことも、難しい。
彼と付き合うと決める前から私は、恋愛が毒薬にならないようにしたかった。
そして今のところ、きちんと良薬である。
仕事の邪魔もしたくなかった、友達も大切にしたかった、自分の時間も持ちたかった。
それでいて、彼とも一緒にいたいと思った。
だから今も一緒にいる。
最後に人と付き合ったのは何年も前のことだし、細かいことは思い出せないけれど、
1人不安になって終わった恋、相手を不安にさせてしまった恋、それらはどれも短命だった。
どの恋も、どちらかの愛情表現が極端に少なかったように思う。
個人差はあれど、愛情表現が少ないことは不安を作り出す要因になるということ。
私はこの事実に気づくのが何故かすごく遅かった。
いろんな工程をすっ飛ばして、安心できる関係!とか、沈黙が気にならない関係!みたいなものを理想に掲げていたけど、それって全然簡単に手に入らない。
愛情表現をたくさんし合って、お互いに「あなたが大切だよ」を伝えあって、蓄積して、揺るぎない絆が出来上がってからの、「安心できる関係」の誕生なワケであり、
「いや〜〜この人は安心!!!」なんて、すぐに思えるわけが無かった。
そういう工程を飛ばして、健やかに恋愛をすることはきっと出来ない。
思えば親子だってきっと同じだ。
幼い時にたくさんスキンシップをとって、甘やかして、甘やかされて、手を繋ぎ、喧嘩して、泣いても笑ってもそばにいて、そういう時間を紡いだからこそ、
大人になってからも親に頼ったり、肝心なところで甘えられる親子関係がある。
「この人は自分の味方だ」という揺るぎない確信が持てるのは、一緒にいた長い時間と愛情表現があったからだ。
愛情表現を与えることに長けている人、受け取ることに長けている人、ベタベタするのは好きじゃない人、スキンシップが好きな人、いろんな人がいるけれど、
相手の特性を知りながら、愛を与えて、同じだけ与えてもらうような、そういう時間が硬い関係性を生む。
今の私と彼は丁度その時期にあたると思う。
「丁寧にコミュニケーションをとって、愛情表現をし合って、お互いの信頼を築く時期」。
この時期をきちんと大切にできなければ、長く一緒にいるのはきっと難しい。
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付き合い始めて最初の3ヶ月くらいは、とにかく相手のことを知れるだけで楽しかった。
デートをするたびに新しい発見があって、ただ一緒にいるだけでときめくような、とにかく恋愛の1番楽しいところを切り取ったような日々。
毎日LINEを2〜3ラリーして、週に2〜3回電話して、コミュニケーションは密で、各々の生活をしながら次に会える日が楽しみで仕方なかった。
だけどその熱々な時期は、やっぱり長くは持たない。
電話は週1回するかしないかになってきて、LINEだって平日は1回の返信のみ。
一緒にいない時間のコミュニケーションが緩やかに減っていくのは、どのカップルも通る道だと思う。
なんだか愛が冷めたみたいに感じて、さらには抑うつに片足踏み入れたことも相まってとても不安になった。
悲しいことを伝えるかも、とても悩んだ。ただ一言、「寂しい、もう少し連絡をマメに取りたい」と丁寧に可愛く伝えれば多分解決するだろう、ということもわかっていたし。
だけど週末に会えば彼はいつも通りに優しくて、付き合い始めた頃と何ら変わりない。
「えーーーと、何が不安だったんだっけ????」と私自身もアホになる程優しい。
そんな日々をを繰り返していたら、「LINEが1日1回しか返ってこない」と思っていたのも、
「1人暮らしで多趣味でやりたいことがいっぱいあるだろうに、1日1回必ず返事を返してくれるだけでも愛だ……」とか思うようになった。
不安に感じる時間も徐々に減って、自分の生活に自然と集中できるようになって、
日々のコミュニケーションは減っているのに、彼への気持ちはむしろ強くなった気がする。
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私も彼も、お互いにところ構わず好き好き言いまくるようなタイプでは無い。
それでも私は彼に愛されている自信があるし、彼の愛情表現の仕方もすごく好きだ。
歩道を歩く時は「こっち来ようか」と安全な方に誘導してくれ、必ず手を繋ぎ直してくれるところ。
何もない日に、理由にならない理由をつけてスイーツを買ってきてくれるところ。
寝ている時、うっかり私が布団を奪っても奪い返さないところ。自分は薄い毛布にくるまって震えているところ。
多分ウザいだろうな、と思うほど私がバカみたいに抱きつきじゃれまくっても、嫌な顔も抵抗もしないで笑ってくれるところ。
泊まれば必ずご飯を作ってくれるところ。
「生理でお腹が痛い」と大袈裟にボヤけば腰をさすって「今日はゆっくりしよう」と言ってくれるところ。
ネイルや髪色を変えたことに必ず気づいて「いいね」と言ってくれるところ。
全てが愛情表現だ。
小さくも、穏やかに、当たり前のように大切にしてくれる。
そして私も負けじと、そういうのをひとつ残らず見逃さずに「愛だ……!」と感じとって、ありがとうを欠かさずに伝えるようにする。
マイナスな感情は冷静に伝えて、察してほしいとは思わずに、困らせたり余計に考えさせたりしないように接している。
私の言動を彼がどこまで愛だと感じたり、必要としているかは分からない。でもそれで良い。
今の私たちは、この関係がベストに思う。
私たちはお互い1人の時間がないとダメなタイプで、2人ともB型で(?)、大人にしてはどちらも友人が多く、共通の趣味が旅行しかない。
全ての時間を共にすることは到底無理だし、「2人でひとつ!✌︎休日はいつも一緒!♡♡♡」みたいな関係はハナから諦めている。
それでもこうして、私が安心感を抱きながら健全に彼を好きでいるのは、彼の愛情表現ありきだ。
私たちはまだまだ、はじまったばかりだ。
そして、現在進行形で、愛は深まるばかり。
長く続く、健やかな恋にしていきたい。
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