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モノマネ屋





人は、自分が他人の真似をしているということに
自覚がないものなのだろうか...?

高校2年生の夏休み前の出来事 ー


夏休みに入る前日、学校では終業式が行われた。

午前中で学校が終わり、その日、私は友人と帰路に着いていた。
わたしたちは夏休みになにをするかという話題から始まり、
次第に、髪型の話になった。
男はどうだか知らないが、女は友達間で服装だの髪型だの、
どこのアイシャドウがいいだの、なんだのと話をするものだ。
友人は、夏休みに「ツートンにしようかな」と言っていた。
彼女は髪の毛が長いので、毛先だけカラーリングしたら、
かわいいだろうなと思って聞いていた。

「あなたはどうするの?」と聞かれたので、
私も、髪が長かったのだが、思い切って
「肩くらいまで切って、蜂蜜みたいなベージュ色に
染めようかな」と、答えた。

その日は、特にどこにも寄らずに帰宅した。

後日、私は、美容室へ行き
例のごとく髪の毛の長さを肩まで切り、
ブリーチをし、少しアッシュでくすませ、ベージュにした。


夏休みには、旅行、キャンプ、夏祭り、海に行く予定、
買い物やお泊まりなど、予定が駄々盛りだったのだ。
そのためには、準備がいる。
予定がない日に、
買い物や美容室、その他もろもろを済ませる必要がある。
予定がある者にとっては、服装だのバッグだの髪色だの、
そういった準備が欠かせないのは当然である。


夏休みに入った数日後ー

担任の先生から、親へ連絡があった。


化学の成績が悪いので、
夏休み中のどこかで補修に来いというものだった。
わたしは仕方なく日程を調節し、
空いた日に補修のために学校へ向かうことにした。


ー補修の日、学校へ行くと例の友人も来ていた。

彼女の髪型は変わっていた。
長かった髪は、肩まで短くなり、
色は、蜂蜜のようなベージュになっていた。

その姿をみた時に、私は不思議だった。
確か友人は、ツートンに染めると言っていたはず、と
心の中に疑問が湧いた。

と、同時に、同じく補修に来ていた同じクラスの子に
「なんか二人共、髪型似てるね」と言われ、
わたしの疑問は確信に変わった。
彼女は、わたしが話した髪型を、そっくりそのまま
再現したのだ。

こんな話は、実は、よくあることで。
ほかにも、たくさん、腐るほどある。
わたしもほかの人の真似をしたことや影響を受けたことは勿論ある。
人が人から影響を受けるときが、どういう時かというと
必ず、魅力や共感を感じたときであると思う。
そうすることのメリットや享受を瞬間的に感じ取っている嗅覚。
それいいな、と思ったけど、その瞬間、
「わたしもそうしたい!」と言えないだけで、
もしくは、そのことに気付いていない、無自覚なだけであることが多い。


ただ、わたしが今日、疑問に思うのは、
真似している本人に、その自覚があるものと、
自覚すらない者がいることの違いについてである。
そこに面白さを感じている。

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