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あなたは自分の「火葬」を望みますか? その2

こんにちは。うつ病休職エンジニアの三十郎です。

前回、同じタイトルの記事を書きましたが、多くの誤りがあったことが発覚し、お詫びと訂正させていただきます。申し訳ありませんでした。

1.仏教とは?

今回の扉絵は、仏教の教え(密教)をまとめた絵、「曼荼羅(マンダラ)」です。仏教はインドが発祥で、チベット、中国、朝鮮をへて日本へと伝来しました。他の宗教とは毛色が違い、「哲学」的色合いのものでしたので、絶対的な戒律はありませんし、何かを崇拝する義務もありません。なので、各地でその教えを元に独自の進化を遂げました。

仏教が本当に伝えたいことは何なのか? それを知りたいが一心で三蔵法師は発祥の地「天竺(今のインドのコルカタ)」へと向かいます。「西遊記」の元になった話です。

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「ガンダーラ(パキスタン北部)」へ向かったんじゃないの? ガンダーラは仏教の聖地の一つとされています。ここでも仏教文化が花開きました。昔、高視聴率を誇ったテレビドラマ「西遊記」のゴダイゴのヒット曲に影響され、三蔵法師はガンダーラへ向かったと誤解したのでしょう。歌の中では「愛の国」でしたが、イスラム過激派の焼き討ちに遭い、今では「灰の国」だそうです(インド人から聞いた話)。

仏教の教えは難解で、私には咀嚼できず、記載する能力がないので、ここでは、省かせてください。

2.仏教における「火葬」とは

仏教絵画に「九相図」があります。死んだ人間が腐敗して朽ち果ててゆく九つの段階を解説したものです。その九番目が、骨だけになった遺体を「火葬」して灰にします。これも土に撒くのでしょう。骨のアルカリ成分が土の酸化を中和し、エコシステムが完結する。SDGsの先を行く発想です。

九相図

この「九相図」は大陸の新疆ウイグル自治区やアフガニスタンでも発見されており、仏教のオリジナルな思想に近いと考えられています。人は自然から出づり、自然へと帰依する。これが本来の教えです。

つまり仏教の「火葬」とは、肉体を焼くのでは無く、骨のみを焼くのです。

3.日本で仏教は、どう変わったか

日本では死者を偲ぶために、死体の一部「遺骨」を保存する慣習があります。この「遺骨」は、仏教本来の教えでは無く、日本独自に発達した文化です。江戸幕府の宗教統制政策として行われた檀家制度が大きく関わっているとされています。それまでは、散骨したり、土葬のままにしたりと様々だったようです。

明治時代までは死者を「火葬」する割合は3割程度で、明治から昭和にかけての「火葬」テクノロジーの進化もあり、皆が火葬するよう政府は奨励しました。なぜ政府が奨励したかというと、刑法の死体遺棄罪や墓埋法を守らせるためで、今では常識へと変わりました。

仏教寺院も「長いものには巻かれろ」精神で自らの存続を守るために、時の政権に従ったのでしょう。逆らった勢力もあったでしょうが、日本でそんなことしたら、皆さん、どうなるかご存じですよね。

また、土葬するには、集落の墓地か寺院の中の墓場しかないので、国土の狭い日本では、当然、死者が増えるに従い用地不足になりました。さすがに、一族を重ねて埋める荒技は無理です。そのため、用地の地価が高騰し、埋める土地を持たなぬ喪主達を苦しめることになります。そこへ「火葬」が現れたので、葬儀代の節約からも歓迎されました。

墓場

更には、仏教本来の教え「九相図」は、元々、日本人の精神には合わなかったと思います。死体を野ざらしにして、獣や虫の餌になり骨になるまで見届けるのは、故人に対して余りにも惨い思いがあります。それで先ず土葬にしたのだと思います。それでも虫の餌になるのは変わりません。やがて火葬の技術革新があり、火葬が主流となったのでしょう。

遺骨に価値を持たせたのは、儒教の教えが影響しているようです。仏教は魂の抜けた死体は、価値のないものと考え、ただの動物の死骸だったのです。日清戦争、日露戦争の頃から、遺族に対する申し訳なさ(儒教的精神)と、その頃、新興宗教(火葬の勧め)が隆興を究めていた時代と重なって「遺骨」という物に姿を変えて遺族へ渡す風習が広まったようです。

「お前の骨は俺が拾ってやる」のかっこいい台詞は、その頃からのものだったのでしょう。遺骨を大切に保管する文化は、日本独自に発達したです。

葬式

また、「葬式」というセレモニーは寺院の稼ぎどころです。納棺してから通夜を過ごし、お経を上げ、火葬し、遺族が骨を拾うまでをセットとした今のスタイルが利権の構造を生んだようです。火葬場でも係の人にお金を握らせると、良い焼却炉を優先して使わせてくれ、生焼け、焼きすぎなどの嫌がらせを受けずに済んだ暗い過去があります。

日本のお寺のやっていることは、ジャパニーズ・スタイルなのです。なので京都は世界的観光地になれたのでしょう。いろんな宗派があって、醜い争いを繰り広げていた時代もありましたが、結局は利権争いです。この辺は、どの宗教にも当てはまるようです。宗教の政治利用、経済利用です。

4.火葬は良いことか?

CO2削減を強要する団体からしたら、「死んでまで迷惑かけるな!」でしょうね。「人の文化にケチをつけるな。だったら、お前らもコーラなんか飲むな!牛肉も食うな!」と低レベルなガキの喧嘩になりそうです。

火葬は日本において義務では無く、「お願い」です。でも皆、「お願い」の恐ろしさを知っているので、従順に従っているのでしょう。「良い」、「悪い」と言うよりは、「同調圧力」の問題なのです。故人の遺志よりも、お国の都合の方が尊重される社会なのです。

火葬が嫌なら、海外で死ぬしかなさそうです。それでも「遺体」の空輸や「お骨」にされて日本に帰されるかもしれません。現地の人や政府に「この地に埋葬して欲しい」と、お願いするしか無いでしょう。

収骨

画像出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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