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シレン6~脱出の巻物が出ない事について考えてみた~評価・考察

ストーリーダンジョンで、脱出の巻物がでない=装備を持ち帰って鍛えなおすやり方ができず一発勝負でクリアしないといけないという意外な采配を行ったシレン6。(クリア後は登場します)
無謀な挑戦に冷や冷やする気持ちはあるものの、ここに至るまでの経緯を知っているファンからすると清々しい判断でもある。そう感じた理由を語っていく。

不思議のダンジョンはRPGではない。

しかし、RPGとして売れてしまった。
ここに不思議のダンジョンシリーズの大きな問題点があり、多くのちぐはぐなポイントがはらんでいる。

シレンの本質はシューティング&死にゲー

不思議のダンジョンシリーズの本質は超高難易度シューティングゲームや対戦ゲームに近い。
ダンジョンには常にLv1からのチャレンジ、シリーズのメイン要素と言えるもっと不思議ダンジョンは持ち込みが不可で99Fを潜ることになる。つまり、主人公が引き継げる要素は何一つない所からスタートする。
何も引き継がないのが不思議のダンジョンなのである。
このゲーム性はシューティングゲームなどに近く、RPGとは最も程遠い。

シレンは、コツコツと装備を鍛えてレベルを上げて、ちょっとずつ攻略していくRPGではないのだ。変幻自在かつ超高難易度の不思議のダンジョンに、自分の知識と技量だけで挑み続ける究極の死にゲーが「風来のシレン」なのだ。

グラフィックは死にゲーとは程遠い。

マムルなど日本風のアニメキャラクターはとてもかわいらしく、64版シレンの攻略本はシリーズ未経験者ですら楽しめる代物だ。
近年の、「パルワールド」の大ヒットが示すようにあの手の可愛らしいキャラクターは日本人と親和性が高いようだ。実際64版シレンがソウルライクのような西洋ゲーに近い雰囲気だったら私もシレンに触れようとは思わなかったかもしれない。
ただ、あまりにかわいらしすぎて死にゲーという雰囲気が一切ない。
「あ、なんかかわいい」と手に取ったライトユーザーに、そんじょそこらの死にゲーなんて鼻で笑えるぐらいの究極の死にゲーをたたきつけるものだからレビューサイトで☆1が吹き荒れるのはもはや必然である。

シレンはRPGとしても面白い、だが!

歴代的ヒットを飛ばした64版シレン(風来のシレン2 鬼襲来!シレン城!)はシリーズ屈指の名作であるが、ストーリーダンジョンを潜る最低回数は歴代は最も多い。
通常プレイでは20-30回以上、ストーリーダンジョンを潜る必要があり、その過程で、コツコツと装備を作る楽しみがあり仲間を鍛え城を作り、武器図鑑やもののけ王国を完成させていく。この楽しみはRPGの楽しみそのものだ。
しかし、不思議のダンジョンなのである。死ねばコツコツと鍛え上げた装備は失うし、ケンゴウに鍛え上げた盾を弾かれてロストし、「糞ゲー!!!!」と叫びながらコントローラーを投げた人は少なくないだろう(私もその一人だ)。いくらRPGとして楽しいゲームを作ろうとも不思議のダンジョンである以上は死ねばすべてを失うし、もっと不思議には何も持ち込めない。だからシレンをRPGとして見ている人からは「装備を失うわ…使えないわ…これの何が面白いの?」という感想になってやっぱり☆1レビューが吹き荒れる。

ちぐはぐなシレンシリーズ

死にゲーなのに可愛いグラフィック
RPG風なのに死んだらすべてを失う
歴代最大ヒットを飛ばした64版シレンはとてもチグハグなゲームだった。

その後の作品はそのバランスの両立に苦しんでいるようにもみえる。
レベル継続性を打ち出し、RPGとしての面白さを打ち出そうとしたシレン3は大きく失敗した。
シレン4・5どっちつかずといった印象だ。RPGとして楽しめなくはないがストーリーダンジョンは薄味で、面白さの重点はクリア後ダンジョンに置かれているように思える。
シレン4はタグを導入し、死んだときに武器と盾だけは持って帰れるようにした。
シレン5は死亡したときに復活しつつアイテムをもったまま拠点に帰れるやりなおし草というアイテムを導入した。ポイントカードというアイテムを利用することでこのアイテムを手軽に手に入れることができアイテム損失のリスクを大幅に減らした。
全体的にはRPG寄りに、間口を広くして、初心者にも優しく使用という方向に進んでいたのが近年(といっても14年以上前だが)のシレンシリーズの特徴であった。
ただ、(5は名作ではあるものの)、正直に言えば、64版シレンのようなRPGとしても不思議のダンジョンとしても楽しめるようなゲームは作れていなかったといわざるを得ない。

アイデアセンスが皆無

シレンシリーズの問題点は他にもある。
これを言うと何でファンやってんだよと言われるかもしれないが、シレンシリーズの開発は恐ろしいほどにアイデアセンスがない。チューナーとしてのセンスは最高だが、アイデアマンとしてはあり得ないぐらいのセンスのなさだ。
新要素はマジで毎回センスがない。
レベル継続や夜も何考えてんだよって言いたいレベルだったが、デッ怪も大概である。PVみただけですぐわかる地雷要素だ。なぜこれを発案段階で「あ、やばいな」と弾けないのか。「会社にあり得ないほど出資している大富豪が居てその人のアイデアをねじ込まれたなのかな?」と思ってしまうぐらいありえない。デッ怪ダンジョンとかいう糞ダンジョン作ったやつは表に出ろ。何が面白いとおもったんだアレの。
ただ、夜の反省を踏まえたのか今回は新要素が不快にならない程度にマイルドだったからギリギリ許せる。ギリギリ許せるだけでセンスは皆無だ。

低迷する売上・絶望視された新作

新要素(レベル継続性や夜)で多くのファンが離れていき、それを反映したかのように、シレンシリーズの売り上げは右肩下がりだ。

不思議のダンジョン2 風来のシレン    22.9万本
風来のシレン2 鬼襲来!シレン城!    28.4万本
風来のシレン3 からくり屋敷の眠り姫   9.7万本
風来のシレン4 神の眼と悪魔のヘソ    8.9万本(plus 1.8万本)
風来のシレン5 フォーチュンタワーと運命のダイス  6.3万本(plus 2.5万本)

※ただし、5 plusは何回か再販したこともありじわじわと売れていき、シリーズ累計で50万本突破したとのこと。

https://seesaawiki.jp/shiren1/d/%A5%B7%A5%EA%A1%BC%A5%BA%C7%E4%BE%E5%CB%DC%BF%F4
https://www.4gamer.net/games/516/G051606/20221223008/#:~:text=%E3%82%B9%E3%83%91%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%83%81%E3%83%A5%E3%83%B3%E3%82%BD%E3%83%95%E3%83%88%E3%81%AF%E6%9C%AC%E6%97%A5,%E7%AA%81%E7%A0%B4%E3%81%97%E3%81%9F%E3%81%A8%E7%99%BA%E8%A1%A8%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%82
(しかし、こう見るとパルワールドの1200万本がいかにぶっこわれた数字かわかるな…。)

switch版のシレン5plus追加ダンジョンの攻略報酬として登場した「新作の壺」では、新作に対する赤裸々な思いがつづられており
・経済的にも会社的にも厳しい。
・開発陣も定年間際であること
・それでもファンの声があれば最高の新作を作りたいと思っていること
などが述べられている。
開発陣にとってもシレンは思い入れの強いシリーズなのである。

また、新作の評価が悪いかというとそういうわけではない。

アマゾンレビューでみてみると
シレン3の評価はさんざんであるが。

シレン4

シレン5

と近年の評価は上々である。
個人的にはシレン5は64版やアスカにも劣らない名作だと思っており、その理由はもっと不思議である原始のバランスの良さがあるが、ここでは割愛する。

「シレンはRPGではないぞ!」と叫んだシレン6

というわけでシレン6はファンからすれば(そして開発陣としてもおそらく)もう最後のシレンシリーズだろうという思いで臨んだ作品である。

そのシレン6のストーリーの設計は今までのシリーズの流れから大きく変わっている。ストーリーダンジョンで脱出の巻物が出現せず、装備をコツコツ育てたりアイテムを集めてボスに挑むことが不可能になっており、初心者であろうと素潜りでボスを踏破する必要があるのだ。
おそらくもう最後なら自分たちの好きだったシレンの原点に立ち返ろうと思ったのではないだろうか。つまり初めてもっと不思議をクリアした瞬間。何度も何度も死にながら知識を身に着け、超えられなかった難所を自分の経験と知識だけでダンジョンを踏破していく―――シレンシリーズの原点と言える楽しさをはじめてプレイする人にも味わってもらいたい。
そのためなら合わない人は切り捨ててしまって買わない。100人の人にそっぽ向かれようとただ1人に刺さればいい。シレンはRPGではない、不思議のダンジョンだ!
今回のストーリーダンジョンの構成からはそういった思いが読み取れる。
クリアしたときにスタッフロールが流れる構成も熱い。開発陣のシレンへの愛が伝わってくる。

ただ、この判断が正しかったのかはわからない。
コツコツ装備を強くして+99装備を作るのが好きというシリーズファンも確かにいたからだ。
ただ、好きを貫いたゲームであるという事は評価したい。
(実は一応、救済措置も用意されていて、何度も潜るとストーリーが進みよりクリアしやすくなるように設定されている。ただあくまでそれは表に出さないスタンスだ)

64版シレンのように誰もが楽しめる作品ではない。ただ、刺さる人にはとことん刺さる名作、それがシレン6だと思う。

評価

UI:☆4.5
UIはいい。抜群にいい。
矢の罠と足元のメッセージにやや遅延がある事だけはストレスだが、敵のターンの処理やレベルアップなどはエフェクトの前に一括して処理されるようになりゲームスピードが格段に上がっている。
投げ物を4つまで登録制にしたのもとてもいい。できれば壺の中からも投げられるようにしてほしかった。
plusから搭載されたライブビューも2つに増えて強化されている。
UIがいいのはシレンシリーズでは最も大事で正直他の部分は追加ダンジョンでどうとでもできるがUIがダメだとどうしようもないので、今後の発展の可能性を考えられるだけでも素晴らしい。

イラスト、シナリオ、音楽:☆3
いつも通り可もなく不可もなし。

ストーリーダンジョン:☆4
脱出の巻物が出ない構成、開発陣のすきを貫いた構成は評価したい。
しかし、私の理想のシレンはRPGとしても楽しめる64版シレンであるため☆4

もっと不思議:☆4.5
バランスブレイカーが床落ちしている、稼ぎがやりやすい、それでも難しいバランスとこれぞもっと不思議のダンジョンといった素晴らしい完成度である。ただ、終盤のモンスターテーブルに変化がなさ過ぎて拍子抜けというのがある。追加ダンジョンに期待したい。

もっと不思議以外のクリア後ダンジョン:☆3.5
99Fがほぼない。費用の関係で作れなかったのだろうか。
まぁほとんどのダンジョンは息抜きで潜りたいのでこれでもいいのかもしれない。狐シレンはとても面白かったのでそこで☆+1。ここも追加ダンジョンに期待したい。

総評:☆100000000000
私はシレンが発売されると夢中で遊んでしまうシレンジャンキーだ。すでに100時間以上溶かしておりこれからも溶かす気満々だ。と考えたときに☆5では明らかに足りないのでこの評価になった。
強いて言えば、武器成長、エキスパート証明書がないのは残念だ。どちらも好きな要素だっただけにどうにか復活してくれないだろうか…。
シレン6が最後のシレンになってしまうのかわからないが、末永く楽しめるシレンであることは間違いないのでシレンシリーズと生涯を共にするするつもりで追いかけていきたい。

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