隠れバロック

キッチンで刺繍をするようにちまちまと、惚れ込んだ曲をアレンジする日々を送っています。

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最近の記事

2022年9月4日(日)

「ユニコーンに乗って」 というドラマ見ている。小さな会社が倒産していく様を身をもって体験した私は、若い人達が起業して一所懸命に会社を運営していくドラマなんて、見ているだけでわくわくする。配役もなかなか良くて、皆が持ち味を出していると思う。 永野芽郁の母親役の奥貫薫が、娘から援助の申し出をされて、グラスを細い指で握りしめる場面が印象的だった。使い古された演出と言うならそれまでだけれど、要はこの場面への流れにぐっときたのだ。この人は相変わらず上手だなぁ。こん

    • 2022年6月30日(木)

      用事で遅 くなった帰り、スーパーにいる時点でまだ献立が決まらない。アクアパッツァが簡単にできると聞いていたからその気でいたのに、お魚一尾がちょっと高かった。いただいたキッシュがあるから、鯵の塩焼きでは合わない。いつもなら目的の物以外は目に入らないスーパーを、ぐるぐる回っている。 スペアリブが安い。トマト缶で煮込んでご飯にかけよう。ほっとしてカゴに入れたら、こうちゃんから「今、現場出る」と電話がかかってきた。「ご飯何?」「スペアリブのトマト煮をご飯にかけようと思

      • 2022年6月12日(日)

        私は数年前まで、自分がサウナーだとは知らなかった。汗を流すのが良くて入ったことはあったけれど、水風呂には真面目に浸からなかった。これが分かれ道だと思う。脳が冷えるような、瞼の裏で清冽なパターンが目眩くようなあの感じ。自分の目安では「足の裏が冷えるまで」2、3分。サウナ室では最上段で、指先から汗が滴るまで。 だいたい日帰り温泉自体、こうちゃんに初めて連れて行ってもらった。「極楽湯」の芹が谷店だったと思う。黒湯の炭酸泉と、敷き詰められた小石がつぼ押しになる寝湯が気

        • 2022年5月21日(土)

          ごく最近、こうちゃんの爪がとても綺麗なことに気が付いた。私にあるような縦線が無く、つやつやしている。いつか、コンクリを素手で扱っているのを見て仰天したことがあるのに。クリームパンのような手に美しい爪。 私は爪を大切にしてこなかった。長い間、ピアノと共に生活していたため、少しでも伸びたら切り詰めていた。訳あってピアノを手離し、生まれて初めて爪を伸ばした。そういえば小さい頃は噛み癖があって、そもそも伸びなかったのだ。 少しでも伸びたら気持ち悪いとか、指先

        2022年9月4日(日)

          2022年3月18日(金)

          ガラの処分をして、こうちゃんはまた肘の調子が悪くなってしまった。途中まで仕上げた現場だったのに、手違いのためやり直しになってしまったのだ。造ったものを壊してできたガラだから、心も辛い。凄まじい振動の中、コンクリートや資材は崩されていく。私が以前に手伝ったのは、鉄筋で串刺しになったコンクリートを処理袋に入れる作業だった。結婚前のこうちゃんと二人でやったのだった。腱鞘炎になり、しばらく苦労した。一生お住まいになるかも知れない施主さんを思えば、よくあることでは断じて済まされ

          2022年3月18日(金)

          2022年2月27日(日)

          こうちゃんが「ダンプのキーで玄関開けようとしちゃった!」といいながら帰ってきた。よっぽどボケていたのだろう。以前、合鍵を作ってもらうためにホームセンターのカウンターに差し出したらぎょっとされて、「ダンプの鍵なのです」と慌ててお伝えしたのだ。全体がT字型でちょっと重い。 今は無い会社にいた頃、父の運転するダンプに乗って、マンションの花壇にオタフクナンテンを植えに行ったことがある。ナンテンよりも小さくて愛らしく、しかも手が掛からない植物なので、集合住宅に向いてい

          2022年2月27日(日)

          2022年2月18日(金)

          住宅街に不釣り合いな石仏群を見た瞬間、「ここ来たことがある」と確信を持った。犬を飼っていた若い頃、自宅から半径数キロ以内の石仏を見つけ尽くした経験から間違いない。 この地に引っ越して間もない頃の物入りを助けてくれた、ホームセンターのすぐ近く。こんなところに知っている場所があったなんて。 仕事柄、あっという間に抜け道を覚えたこうちゃんは、ダンプで通っているのが信じられない細道を、日曜日のその日は軽自動車で走っていた。石仏群の先にやっぱりあの現場があった。

          2022年2月18日(金)