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逆噴射小説投稿分

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逆噴射小説投稿作
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満月ハロウィン

 目の前に広がる光景に、息を呑む。
 なんで、こんな、血生臭いハロウィンになったんだ……?
 テレビで見るハロウィンに憧れて、今日という日を楽しみに田舎から都会に意気揚々とやってきた。ドラキュラの仮装をして、いざ街へと出るとーー満月の下で人狼が牙を剥いて人間に噛みついていた。しかもそれだけでは飽きたらず、食い尽くすように尚も噛みつき、辛うじて逃げられた者も人狼になっていく。
 映画のような光景に呆

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有罪探偵

 嘘など吐いていないのに、なぜこうも蔑ろにされなければならないのか。
「だから言ってるでしょう。俺が殺したって!」
 困ったような顔で、警察官二人が顔を見合わせる。一人が深いため息の後に諭すように言った。
「事情聴取の結果、犯人はあなたじゃないという結論になりました。あなたの言っていることと現場の状況には矛盾が多過ぎます」
 もう何度目かになるか分からない結論を聞かされる。それを自分は認められない

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