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出産をきっかけに管理職を降りた話

産前は人事マネージャーとして5人の部下をマネジメントしながら、バリバリ仕事をしてきました。
仕事が好きで好きで、休日も深夜もサービス残業三昧。0→1の仕事をこだわりを持って作り上げるのは、もはや趣味でした。

しかし、育休復帰のタイミングで管理職を降り、メンバーとして復帰。
そんな私の心の内と、今見えている景色について。

1.どうして管理職を降りたのか

ありがちですが、夫の前職は長時間労働で兼業夫婦に理解のない会社だったため、ワンオペ育児で管理職として復帰するのに不安があった(職務を全うできそうになかった)こと、そして会社側も役職者として復帰させるのは難しいと思っていたことが理由です。

2.管理職を降りて良かったこと

メンバー目線を学びなおせた」のが、最も大きなメリットでした。
例えば「こういう指示を出すと、出された方はこんな気持ちになるんだな」とか「スタッフクラスの持っている情報ってこんなに少なかったんだ」とか。
過去の自分の指導や指示は曖昧だったなと反省したり、苦戦するメンバーの葛藤の理由に気が付けたり、それから、役職者の頃に比べ、スタッフの井戸端会議にいれてもらえるようになったので、どんな情報がどう受け取られているのか、スタッフクラスやパートさんの気持ちや流行り?にも詳しくなれました。

3.モチベーションさがりません?

下がりません…というか、下がらないように気を付けていました。
育休復帰時は元のポジションに戻す、は確かに法律で決まっていますが、
育休前と後で能力が同じではないことは自分が一番よくわかっていました。

それは、時短になったというだけでなく、1年間、幼児と赤ちゃん言葉を使って生活すると、論理的思考とか、プレゼン能力とか、もう笑えるくらいビジネススキルが落ちていました。
小さなミスもするし、後から考えればわかるのに考え漏れも多数。

こういう状態で同じ役職に就くのは、なんだか資本主義的ではないような気がしたのです。
ママでなくても、皆それぞれに事情を抱えている。それは、介護かもしれない、家族・恋愛・友人関係に大きなトラブルがあるかもしれない。
仕事に集中しにくい環境なんていくらでもある。

また、休んでいた1年間、社会情勢が厳しかった場合、必死に頑張っていた同僚はマイナス評価をもらっているのに育休復帰者はそのまま、というのもちょっと気が引けていました。
(制度自体は賛成です、この位しないと復帰自体厳しい会社もありますしね。)

4.でも、葛藤はありました。

でも、理性とは別に、心中穏やかではないのも事実でした。

過去の私と比べ、満たされない認知欲求。
期待され、会社で注目と称賛を浴び続けた時代を知っているからこそ、反動も大きく、また同僚の男性マネージャーが同じように結婚して子供を持ってもキャリアが後退しない姿や、自分が研修をした若手の昇進にも嫉妬もし、上がれない表彰台を見ては落ち込んでいました。

5.結論、よかったですか?

はい、よかったです。
悔しい思いもありましたが、おかげで今の自分は違ったマネジメント手法を身に着け、以前よりもずっとスムーズにメンバーと信頼関係を築くことができようになりました。

それに、「今持っているものをなくしてもちゃんといい仕事を積み上げて評価されるまで頑張れる自信」こそが私にとっては「キャリア」なんじゃないかと気が付くことができたからです。


産後の仕事の仕方については、様々な価値観、状況があるので、人それぞれベストは違います。

しかし、こういう考えの人もいるんだよ、ということが、同じ境遇の方、これから社会にはばたく方、時短ママの気持ちを知りたい管理者の方、パパさんに少しでも知ってもらえ、少しでもお役に立てばうれしいです。


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