下谷神社_横山大観

下谷神社【東京・台東区】

この絵画を見て、横山大観の作品だと言い当てる方は余程の大観通です。彼が描くドラゴンは、これぞ大観のドラゴンだと思わせる特徴があります。吹き荒れる風や雲の中に現れ、飛び出した目が独特です。

この作品は下谷神社(したやじんじゃ)拝殿の天井に奉納された龍です。HPに、当時のエピソードが載っています。
関東大震災で社殿が焼失、1928年(昭和3年)新築する拝殿に立派な絵を掲げたいという氏子一同が、同じ台東区内に住む横山大観に依頼して描いてもらったそうです。その際、無類の酒好きだった彼はこう言い放ちました。

「立派な社殿を造るのにさぞやお金が掛かっただろう。神様の事だからこれはそっくり奉納する。こんなお金持ってこなくていいから、もっと大勢で両手に酒ぶら下げて来い」

こうして、大宴会が開かれたそうです。
いや~粋だねえ。実にいい話じゃないっすか。見事な豪放磊落っぷりです。

といっても、大観は江戸っ子ではなく水戸藩の家系で、茨城県名誉県民であり、そして台東区名誉区民でもあります。

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上野駅からも近いこの辺りは真新しいオフィスビルも並んでいますが、上記のようにまだまだ懐かしい昭和の雰囲気の下町も残っています。

下谷神社は都内最古のお稲荷様です。奈良時代の創建で、ご祭神は穀物神である大年神(おおとしのかみ)で、この神様の兄弟が宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)です。つまり、二人とも穀物神ですね。そして二人とも、お稲荷さんに通じ、すなわち商売繁盛の御利益完璧の神社ということです。

そして、下谷神社もまた商魂たくましい様子がHPにみてとれます。
ほぼ毎月、限定御朱印を発行しています!すばらしい!
20.315は商売熱心な神社が嫌いではありません、大事なことですからね。

独自の御朱印帳も3種類あり、いずれも大観の龍が刺繍で描かれていてとても豪華なつくりです。
商魂たくましいとは書きましたが、東日本大震災後、下谷神社は他の神社と協同して被災した神社の復興支援を行っていることがあると思います。

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江戸中期、1798年には境内で初めて寄席が開催されたので、下谷神社には「寄席発祥の地」の石碑が置かれています(20.315は寄席にはあまり関心がありません、すみません)。

本神社の大祭は、都内下町の中で一番早い夏祭りとして大変な賑わいで、特に2020年の大祭では140軒以上の露天が並ぶそうです。
これは、中規模のショッピングモールに匹敵!?

上野やアメ横近辺にお出かけの際は、ぜひ立ち寄ってみてくださいね。

【基礎データ】
■創建 天平2年(西暦730年) 奈良時代
■祭神 大年神(おおとしのかみ)、日本武尊(やまとたけるのみこと)
■住所 東京都台東区東上野3-29-8
■HP 下谷神社

※冒頭写真は下谷神社HPから

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