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病院のお泊り、楽しかったね! ~小1次女、鼠径部ヘルニアの手術・入院記~

8月の真夏の、ある夜のこと。
お風呂あがりに次女の全身に保湿ミルクを塗りこんでいた。
(彼女は肌が弱く、赤ちゃんの頃からほぼ毎月皮膚科のお世話になっている。)

そのときふと、次女のおまたの左横あたりがふっくらとふくらんでいるのが目に入る。
いつもクリーム塗っていたけど気づかなかったな、と思い、本人に聞いてみると
『いままできづかなかったし、いたくないよ』とのこと。

でもわたしは気になった。
鼠径部に何かあるなんて、普通ではない。
なんだか嫌な予感がする。

翌日、早々に仕事の午後休をもらい、学校から帰ってすぐに小児科へ連れて行った。

すると、先生が
『あ、これは鼠径部ヘルニアですね。入院、手術が必要です。小児外科手術です。大きい病院の紹介状をかきますね。』
と。

なんと。
今は痛くもなんともないのに、入院手術だなんて。

しかし、動悸はするものの、心配事はさっさと済ませたほうがいいに違いなく、その日のうちに大きな病院の受診予約を済ませた。
そして、翌日受診し、入院・手術の予約を入れた。

受診したときは夏休み中だったけれど、執刀医の先生は別の病院から週1回しか来られない先生だったため、手術の日程は最短でも9/1~3となった。

夏休み明け早々、学校を休むことになってしまうなんて、ちょっと残念だな。

合わせて、仕事と長女(小4)のことが頭をよぎる。
仕事は、ひとりでやっているものが多かったが、調整したら2泊3日くらいなら大したことはなかった。

長女のことは、夫に相談の上、2泊3日分は在宅勤務ができるように調整してもらえたので、ほっと一安心。


そういえば、次女は1歳半の時にも入院している。

その当時、保育園で流行していたRSウイルスにかかり、その後肺炎を併発して緊急入院することになり、けっこうな大騒ぎになった。
入院病棟で夫と次女が隅田川の花火大会を鑑賞したということは、わが家では一生忘れられない出来事のひとつとなっている。

今回は、そのときに比べたらまだ心中穏やかでいられた気もするが、また入院か、というなんとも言えない不安な気もちはぬぐえない。

ただ、のちにわかったことだが、鼠径部ヘルニアの手術は、意外とよくある手術であるらしい。

わたしは今まで知らずにいたが、9月に入院手術をする、ということを何人かのお友達に話すと、同じ手術をしている子が周りにも数人いた。

そして、すこしだけほっとした。
よくある手術みたいだったし、手術すれば基本的にはそんなに後遺症なども残らないようだったので。

でも、手術の説明を受けたときはすごく嫌な感じにどきどきした。

とくに、全身麻酔の説明。
あの説明を読むのはとても嫌なものだ。
大丈夫だろうとは思っていても、もし、万が一手術のあとに目が覚めなかったら、と、想像してしまう文章なのだ。

この病院では、今までここに書いてある事故のようなことは一度も起こっていません。
そういわれても、それでも同意書の文章を読むだけで不安に駆られた。

自分ならまだしも、あんなにかわいい、まだ小1の次女が恐ろしい全身麻酔をかけられちゃうなんて。


そうこうしているうちに、あっという間に手術の日がきた。

コロナ騒ぎがまだ落ち着いておらず、入院も一苦労だった。
まずは、入院前に二人でPCR検査をした。

ここでもしも陽性がでたら、別日に入院しなおさなければならない。
仕事を数日休んでしまったし、絶対に出ないで、と祈らずにはいられなかった。
すこし待って、無事陰性の確認が取れ、受付をする。

****

入院の受付のとき、わたしたちとよく似た母娘がいた。
ちょうど次女と同じくらいの女の子と、そのお母さんと思われる方。

受付の空間には、わたしたち以外には誰もいなかったので、ふと目が合ったタイミングでお母さんに話しかけたら、やはり同じ手術で入院だということだった。

聞いてみると、娘たちは、小学校は違うものの、学年が同じだった。
そして、それぞれに姉がいた。

そして、話しているうちに娘たちの名前に同じ漢字が含まれていることがわかって驚き、もっとびっくりすることに、姉たちの名前も一文字違いときた。

こんなときに、こんなところで運命の出逢い。
奇跡みたいなことが続いて、娘たちは一瞬で打ち解けた。
母たちも、心強いことこの上ない。

こんなことってあるんだな、と感慨にふける。
手術ときいて、心細かったし怖かったに違いない次女だったが、なんだかうきうきして見えて、まるで旅行にきているみたい。

わたしも、少なからずこころの中にあった不安な気もちのかたまりがほぐれていくのを感じた。

間違いなく楽しい時間が過ごせそう、そんな明るい雰囲気がその場に流れていた。

ふたりの、
『今日これからおとまりで、あした手術だね』
のはしゃいだ響きが、まるで病院で起こる出来事ではないように感じられた。

****

病室ではベッドがお隣同士だった。
持ってきたトランプ、あやとり、ゲームをたくさん楽しむふたり。

明日手術だなんて信じられないほど、元気で楽しそうな様子。
よかった。

いろいろ話して、あの子のお母さんはシングルマザーなので、お姉ちゃんを一人でおうちには置いておけないから、夜は帰らねばならない、ということが分かった。

わたしは付き添い入院をすると決めていたので、きっとすこしはお母さんにほっとしてもらえただろうなと思う。

コロナのせいで、一度帰宅すると、家族であっても、途中で会う時間がかなり制限される。
わたしたちがいれば、きっとあの子もすこしはさみしくないだろう。

念のためお母さんと連絡先を交換した。
途中で様子を送るね、と約束して。

****

病室で、もってきたパジャマに着替えるのだが、そのパジャマが、全く同じものだったとき、全員声を出せないほどびっくりした。

そのパジャマは、次女がパパにGUで買ってもらったもの。
でも、色まで同じなんて。
こんなこと、あるだろうか。

周りの看護師さんたちにも、友達同士で入院なの?と何度も驚かれた。
ほんとに、どこまで不思議な縁なんだろう。

これは、うそのような本当の話。手前が次女。奥があの子です。

****
一晩泊った翌日が、手術の日。

ご飯を食べず、水分も取れぬまま手術に挑む娘たち。
どきどきしながら、手術室までの道のりを一緒に歩いた。

手術は、思った以上にあっという間だった。

わたしは手術の間、別室で待っていたのだが、1時間ほどでストレッチャーで戻ってきた次女。

先生には
『無事に手術が終わりました。いままでみたどの子よりも、手術後にてきぱきお着替えしていたのをみてびっくりしました。まだ麻酔が抜けきっていないはずなのに。』
と、太鼓判をもらい、恥ずかしそうに微笑む次女。

次女はいつもマイペースで、てきぱきなんてしていないはずなのに。
いつも寝起きがいいから麻酔からの目覚めもよかったのかな、と全然関係ないことを考えてしまう。

****
とにかく、手術が無事終わったことで、ほんとうにほんとうにほっとした。
無事に次女が帰ってきてくれた。
もちろんあの子も無事に手術が終わった。

その後の最後の一泊も、お泊り会みたいに楽しい夜を過ごせた。

『病院のお泊り、たのしかったね!』

次女は帰宅してから、2泊3日の入院がとても楽しかったことを長女に嬉しそうに話していた。

不安でこわい鼠径部ヘルニアの手術がこんなに楽しいものになるなんて、想像もつかなかった。

入院という嫌なイベントが、ほっこり素敵な思い出になってよかった。
運命の出会いに感謝。

次女はいつも、ほんとうに運がいいのだ。

#2021年の出会い #運命の出逢い #子どもの成長記録 #鼠径部ヘルニア #入院 #手術





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