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働かない勇気。

今でもまだ、私は

働かなければならない

と、心の奥底で思っているらしい。

そんな自分に、

今はまだ働かないほうがいいよ

と言い聞かせたのは、ちょうど昨日のこと。

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気がつくと休職してから5ヶ月たった。

休み始めた去年の11月。
あのときは、まさか自分がこんなに長く働かなくなるなんて、全く予想していなかった。

たしかに、仕事ではだいぶ疲れたし、よれよれにもなった。
それは承知している。

でも、あのときは仕事以外にもあまりにも辛くなる要因がありすぎた。
だから、環境が整理できて落ち着いたら、すんなり働けるものと思っていたのだ。

休職期間が3ヶ月もあるんだし、それだけあれば周りの諸々を整理できているはず、と。

それに、もし3ヶ月で物事が整理しきれなかったら、時短正社員を辞めて雇用形態をアルバイトに変更して戻ることも視野に入れようかな。
そんなことも、当時あまり働かなくなった頭でふわふわと考えていた。

わりと軽い気持ちだったのだ。
でも結果としては、自分が考えていたより事態は軽いものではなかったようだった。

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昨日は、両親に誘われて国立新美術館に行ってきた。
メトロポリタン展。
少々混雑していたが、とても素敵な空間で、気分もすっきりリフレッシュできた。

そのあとランチしながら両親と話していたら、腑に落ちなかったモヤモヤがとてもすっきりした。
そもそも、今回の私のモヤモヤには、原因があったのだ。

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つい2週間前の4月頭、子どもたちと春休みを満喫していた。
夫が久方ぶりに出張だったため、私は子どもたちを連れて実家に数泊した。

母もちょうど仕事の休みが取れたとのことで、ご飯のお世話をしてもらい、のんびりと過ごさせてもらった。

そんな帰省中のとある夜、子どもたちが寝たあとに、両親と談笑していた。
たわいない話、病気の話、夫とのこと、今後のことなど色々話していたのだが、母が何気なく

だいぶ元気になっていてほっとしたよ。
美明ちゃんは、適応障害の病状が落ち着いたのかな。
それだったら、働くことも考え始められるんじゃないの?
もし働ける状態なら、無理しない範囲で働くことを考えたら?
休むのにも、国からお金を出してもらっているのだし。

と私に言った。
母は、何の気無しにそういったんだと思う。

そもそも、母は私のことを心から愛してくれているし、子どものころから今までに何かを強要されたことなんてない。
夫との関係で苦しかったときも、いつもそっと聞いてくれていた。
仕事のことでもなんでも、私は母によく話を聞いてもらってスッキリしていた。
とにかく、私にとっては心のよりどころになっている大切な母からの言葉が、そのときの私には無意識下にぐさっと突き刺さったのだと思う。

この言葉は、もうフルで働くのは辞めほうがいいなじゃない?という母なりの優しさからきた言葉だったのだと今ならわかる。

でも私はその言葉によって、また、持ち前の生真面目な考えが頭を覆いつくすことを止めることができなくなってしまった。
一度思い込むと、考えを変えるのが難しいのだ。

そっか、もう治ってるかも。もう働けるのかも。
それなら、働かないといけないじゃない。
と、思い込み始めたのだ。

たしかに、体調はだいぶ良くなっていた。
家族で出かけたり、友達とあって話すぶんには、すでに支障はない。
適応障害でもっと重い症状の方は、こういったことも難しいのではないか。

でも今思い返すと、母の何気ない言葉が、私の働かなきゃセンサーを刺激してしまったのだと思う。
そして、私はそれに過敏反応してしまったのだと。

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帰省後、久しぶりに求人サイトを開いてしまった。 

どんな働き方なら、私は無理をしないで働くことができるのだろう。
考えて考えて、また苦しくなった。

だってまだ、娘は落ち着かないし、夫は家事や子育てに積極的に関わってくれる余裕がないまま。

この状況では、働き始めてもまた同じ状況になることが目に見えている。

そして、当の問題の次女は、私が働かずに家にいることをとても喜んでいる。

学校から帰ってきて、ママに家にいてほしいな。
学校のあと、毎日学童行くんじゃなくて、友達と遊ぶ時間も欲しいよ。
ママ、また一緒に公園いこうね!

と、とても嬉しそうなのだ。

社員として働いていたら、朝も夜も、子供と一緒にいる時間のうち、
早く早く! 急いで急いで!
の連続なわけだから、マイペースな次女にはそれがストレスなのだろう。

長女はというと、今年、立派な5年生になった。

ママは働きたいなら好きなことして働いたらいいじゃん。
私が次女ちゃんを学童に迎えに行ってもいいよ。

と、泣かせるようなことを言ってきた。

今まで、長女の性格や資質を思うようには理解できず、散々つらい気持ちにさせてしまったのに。
そしてもちろん、そのことで自分だってものすごく辛い思いをしたのに。
それなのに、こんなに優しい子に育ってくれたなんて本当に嘘みたいだ。
(もちろん、思春期になったら、こうはいかないのかもしれないけれど。)

うっかり頼りすぎそうになるのをぐっと抑える。
彼女だってまだまだ子どもなのだから。
甘えられるうちに甘えてもらわないと、あっという間にその時期が過ぎ去りそうな予感を感じた。

****

今まで、真面目すぎる私は、社員として一生懸命働いてきた。
子どもたちとの時間は確かに短かかったけれど、短いなりに凝縮して楽しんで頑張ってきた。
それに、私は仕事が好きだった。
やりたくてやっていた。

でもふと気が付いたのた。

信じられないことに、今の私にとって、本当は今の状況が思った以上に心地よいものだったのではないか。

働くのが好きだからついつい働くことに重きをおいて考えすぎてしまっていたけれど。
これはこれで楽しい時間ではないか、と。

一体全体、どうして私は自分の心や気持ち、大事な家族のことを犠牲にしたりしてまで働こうとしてしまうのか。

そこまでして、人に感謝されて、生きていることを実感したいのだろうか。  
そうである気もする。
働いていない自分では、社会の役に立っていない気がしてしまうから。

でもそんなことないはず。
実際に、子どもたちは私がただいるだけで心から喜んでくれているのが肌で分かる。

今はいい、もうこれでいいじゃないか。
働かなくても私がここにいることの大切さを、自分でも無理なくしっかり実感できたとき、本当の意味で自分に合った仕事に巡り合えるのかもしれない。

でも、働かない勇気が今の私には必要なのだ。

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