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中国 EV政策の見直し

 中国では、現在CAFC(平均燃費消費)規制とNEV規制の「ダブルクレジット政策」が実施されており、罰則付きのルールによりメーカーのNEVシフトが促されている。乗用車メーカーにとっては、燃費規制への対応が遅れると、NEVの生産負担やNEVクレジット購入コストが増大する仕組みになっている。

 2020年6月29日に発表された修正版の「ダブルクレジット政策」では、乗用車生産・輸入台数に占める「NEVクレジット」の比率(2020年に12%)を2021~2023年に毎年2%ずつ増やす。ただし、新型コロナウイルスの影響でNEV生産が遅れたことに考慮し、メーカーが2020年の「NEVクレジット」不足分を2021年の実績と合わせて精算することが可能となる。

 EV生産で得られる「NEVクレジット」は現在の最大5ポイントから3.4ポイントに、プラグインハイブリッド車(PHV)も同2ポイントから1.6ポイントに引き下げられた。航続距離150km未満の車種が一律1ポイント(同100km満車種が対象外)となり、車載電池の重量やエネルギー密度、車両の電力消費効率などの性能評価に基づく、NEVポイントとクレジットの計算が厳格化する。

 同修正版では、燃費性能がCAFC規制をクリアできる内燃機関車が「低燃費車」と定義され、それに対するNEVクレジット算出を優遇するとしている。具体的には2021年に低燃費車生産台数の半分(2022年に0.3倍、2023年に0.2倍)に対し、NEVクレジット義務が課される。

 例えば、乗用車メーカーが2021年にガソリン車を100万台生産する場合、14万クレジットを確保しなければならない。航続距離 500kmのEVを1台生産すると3.2クレジットが得られるため、4.4万台生産すれば、14万クレジットになり、規制をクリアできる。しかし「低燃費車」を100万台生産する場合、EVを2.2万台生産すれば規制をクリアする。さらに、2022年、2023年にはガソリン車メーカーがそれぞれ5万台、5.6万台のEV生産義務を抱えるのに対し、低燃費車メーカーなら上記生産義務のそれぞれ1.5万台、1.12万台に相当するEVを造れば済む。

 そこからは、低燃費車生産の実績がある自動車メーカーを評価する意図が見て取れる。中国におけるEV政策の軌道修正はHVに強みを持つ日本車の需要も喚起すると期待される。

https://toyokeizai.net/articles/-/361465

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