海外事例研究|米国:決済データを活用した広告プラットフォーム
はじめに
GEOTRAインターン生の筒井です。
近年、キャッシュレス決済は世界的に拡大しています。
特にモバイル決済が成長しており、2022年の世界モバイル決済市場規模は約5.5兆ドルと報告されています。
日本は、2025年までにキャッシュレス比率を40%超に引き上げる目標を掲げており、非接触決済やQRコードの利用も増加傾向にあり、それに伴い、取得可能な決済データの量も加速度的に増加しています。
消費者の購買データ(=決済データ)を活用することで、匿名化された消費者がいつ、どこで、何を、どのように購入するかを把握することができ、効果的なマーケティング戦略へと繋がります。
そこで本記事では、決済データを活用し、企業のマーケティング戦略を支援する米国の広告プラットフォームの事例について紹介します。
Cardlytics社の取り組み:金融データを活用したマーケティングインサイト提供
Cardlytics社について
Cardlytics社(米国)は、カード情報を活用したマーケティングを推進するデータ運用企業です。
金融機関と提携し、月間で1億6800万人を超える消費者(匿名)の銀行取引データを保持しています。
購入データには、オンライン及び店舗での取引からの借方、貸方、及び請求書の支払いデータが含まれます。
カード情報を活用した広告プラットフォーム
加えて、同社は、消費者向けの独自の広告プラットフォームを提供しています。
同社の広告プラットフォーム上で入稿された広告が掲載され、広告を閲覧してからそのショップでカード決済を行うとキャッシュバックを得ることができるサービスを展開しています。
その購入場所は店舗・オンラインを問いません。
消費者に対して関連性の高い広告を配信し、オファーを提示することで、企業のマーケティング効果を高めることを目的としています。
決済データを活用した顧客の消費行動分析
金融機関から得た決済データを活用し、消費者の購買データを匿名化・集約化して分析を行い、クライアント企業に提供します。
広告キャンペーンによって増加した売上や、キャンペーン終了後の影響、競合他社からのシェアシフト割合などといった情報を提供しています。
このように、銀行取引データに関する洞察をもとに、売上増減要因を分析することができ、広告キャンペーンの効果を正確に把握することができます。
導入事例:Clarks社
Clarks(クラークス)社は、Cardlytics社と連携して新規顧客をターゲットにし、オフラインとオンラインの売上を向上させる戦略を実施しました。
目的
新規顧客の獲得およびオフライン・オンラインでの売上向上を目指す。
ターゲット
新規顧客
重点地域
ニューヨーク、カリフォルニア、ボストン、ワシントンD.C.
方法
・Cardlyticsの購買データを活用して重点地域の消費者をターゲット化。
・特定の市場向けにパーソナライズされた広告・オファーを展開。
成果
・約55,000人の新規顧客を獲得。
・広告費用対効果(ROAS)は$17:1を達成。
その他にも、Dunkin'(ダンキン)社の新規顧客獲得や既存顧客のリテンション強化や、Marriott(マリオット)社の新規顧客獲得や競合からの顧客誘導の実現などの事例があります。
Cardlytics社は、消費者の購買データを活用したマーケティングインサイトの提供を通じて、企業の売上向上や顧客エンゲージメントの強化に貢献しています。
同社のプラットフォームは、銀行のデジタルチャネル内で広告を配信することで、消費者にとっても価値あるオファーを提供し、企業と消費者の双方にメリットをもたらすシステムを構築しています。
日本での取り組み事例:三井住友カード「Custella」
三井住友カードは、顧客属性データと決済データを組み合わせたデータ分析サービス「Custella」を提供しています。
このサービスでは、顧客属性情報やカード利用情報を活用し、特定のターゲットにダイレクトメール(DM)を配信する販促支援ツール「Custella Promotion」や、正確な属性や購買データを基に商圏内の顧客動向を把握し、出店戦略など企業のマーケティング課題解決を支援する地図情報サービス「Custella Maps」などを提供しています。
これにより、消費者の行動の可視化が可能になります。
このサービスは主にメーカーや小売業者向けに、新規出店や商圏分析の用途で活用されています。
最後に
ここまでご覧いただきありがとうございました。
本記事では、決済データを活用した広告プラットフォームの事例についてご紹介しました。
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