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県美+白い花

週末、一人で外に出た用事の後、もう一つ急用を片付け、そのまま県美へ向かった。冬眠続きで滞りまくっていた用事の中に、忘れていたことがあり急用と化した。なので、到着は閉館時間近くだったが…

「アーツ・アンド・クラフツとデザイン」展を見たくなり、会期終了が近くなっている中、どこかのタイミングで行こうと思っていた。
それは、「ウイリアム・モリスからフランク・ロイド・ライトまで」というサブタイトルを改めて見かけたから。

モリスデザインが好きかというと、そういう方向性ではないと思う。
が、最近、庭園美術館で「MORRIS & Co.」と書かれている、チケットホルダーを購入した。外出中に増える、小さな紙類の収納スペースとして普段から持ち歩く、便利なサイズのホルダー。

それは「シンプリー・セバーン」という柄。少し調べると、デザインはモリスではないようだったが。

フランク・ロイド・ライト展は、先月の平日休みに楽しんだ。
二人の名前、両方が気になったため、行こうと決めた展覧会。

そんな経緯だった。
が、気になる展覧会を見る時間が更に減ることよりも、少しでも明るい、少しでも暖かい時間のうちにと「みちのにわ」へ。

…館内よりも明るさや暖かさを求める状態は、まだ冬眠中ということだよな、大丈夫なのか、とちらりと思いながら。

「みちのにわ」は冬モードな景色だった。コンクリート製のリボンの外側に咲いている花も、椿なのか、冬を感じる花だった。草刈りなどの手入れをしたばかりなのか、とても整った冬色の芝生。写真は見出し画像の1枚だけ撮った。

これは昨春。幸福感いっぱいの景色を楽しんだ。
この画像はPCのロック画面にし続けている。
どんな気分でPC起動しても、とりあえずホッとする。リセットされる。
季節外れ感が少々気になったりもしたが、それより自分の気分の方が大切

彫刻”FANTASY”の前のリボンに座ると、「もっと気楽にすればいいのに」と言われた。(ような気がした)
「そうだね。でも寒いね。硬まるね。」と思ったりした。
私はマイペースなヘンな人。鬱に振れやすいが、気楽に生きている方だとは思う。

冬モードな木の向こうに、ポートタワーと西日が見えていた。
日影になっていたので寒さもあり、のんびり”FANTASY”とお話できる状態ではなかった。
が、しばらく「みちのにわ」を楽しんでから館内へ。

たくさんのモリスデザイン。花のデザインのテーブルランプ。私は、植物自体や植物の柄は好きな方だと思う。が、私の趣味の方向かというと、やはり違う。それでも、細かく作られた柄の面白さを感じて楽しんだ。

テーブルウェアも、おしゃれな作品が並んでいた。フランク・ロイド・ライトの展示は多くなかったが、好きなデザインだなと、のんびり眺めた。

会場内の仕切り壁が、向こうが透けて見えるストリングカーテンだった。何だか視界が広々。空間も心地良かった。展示室自体も広いのだが、順路としてなど、仕切りたいことはあるのだろう。それでも、広い空間を楽しめる会場だった。

館内には「MuMa」というショップエリアができていた。近くでのクリスマスマーケットを思い出す、おしゃれな楽しそうなお店たち。
展覧会を見終えたときには閉館時間が近かった。お店も閉店時間が近かった。それでも、すてきな楽しい空間を感じられた。

県美へ行く前にWEBで見た、MuMaのロゴのデザインと、クリスマスマーケットへの連想から、何となく懐かしい気分で思い出した人がいた。
関係あるのかどうかは知らない。
が、無関係はあり得ないくらい繋がってるんじゃないのか、と思ったりもした。


時間は短めだったが、いろいろ楽しんだ県美を出た。
少し歩くと、歩道に白い花。

「それは雪洞ぼんぼりの白い花のリアルじゃないのか?」と思った。
…が、何の花だかわからない。

今度こそ思い出した。私のスマホには、「ハナノナ」という花の名前を教えてくれるアプリが入っている。(1ヶ月くらい前から)

名前はわかった。そのまま撮影できるらしい。
と思ったが、この名前は違う。
どうも、花の丈がわからない角度だったらしい。
撮影した瞬間に名前が変わってしまった
アプリが、98%などの高い確度とともに表示し続けていた名前はこっち

家でも少し調べた。なぜ瞬間的とはいえデイジーになったのか、何が違うのかと。そもそも、雪洞を見たときはマーガレットという名前を連想していた。どれも似ているということなのか?と気になった。

県美の後に見たのは、ノースポール、寒白菊かんしろぎくという名前で呼ばれる植物と判明。
機能だけではなく、ロゴも、撮影時に自動的に入る花の名前のスペースも、すっきりとキレイなデザイン。
なんて良くできたアプリだろうと嬉しくなった。

このアプリは、先月上旬に家族と行った場所で展示されていた。千葉工業大学の東京スカイツリータウンキャンパス。AIが花を分類する仕組みの展示だった。

分類の判断の経過を、視覚的に感じて楽しんだ。アプリのインストールは、私はその日ではなかったが、一週間もしない内には済ませていたと思う。

インストール後。
「何だろう。この花」というタイミングは何度もあったというのに、そのタイミングで思い出せないこと続きだった。ようやく使えた。(謎な難度の高さ。年を取ると、きっとそんなもんです)

「三井家のおひなさま」展で気になった雪洞の白い花

雪洞についての解説はなかった。ただ、その写真OKな展示室のだけではなく、他の展示品にも、白い花のデザインをいくつも見た。

その場では、春だからマーガレット、と思ったりしていた。
が、調べると、マーガレットの開花時期は秋~春。春だけの花ではない。
こういった古い慣わしにはつきものだが、暦が違った時代の季節感と、今の季節感がずれていたりもする。

その後、友人たちと「大倉集古館の春」展へ行ったとき、同じデザインの白い花に気づいた。木内半古・作「四君子象嵌重硯箱」という昭和の初めの作品。

硯箱すずりばこには、植物がいくつか描かれていたのだが、その一つが白い花で、とても似ているように思った。そばの解説には「菊」と書かれていた。

なら、雛飾りのも菊だったということか?と気になっていた。菊に春のイメージはなかったので、季節外れじゃないのか?とも思った。

家で、菊と雛飾りの繋がりを調べていた。
が、直接的な繋がりのある花ではなさそうだった。
ただ、マーガレットもデイジーもノースポールも菊だった。

四君子しくんしというのは、君子に例えたくなる4種の植物を、4種とも用いたデザインの呼び名だった。中国由来の柄。菊はその一つ。

展覧会のサブタイトルは「新春を寿ぎ、春を待つ」。そんな会場にあることからもわかる吉祥柄。いろいろな時季の植物が入っているので、一年中、飾れる柄でもある。

菊は、邪気を祓うとか、長寿という意味を持つ花らしい。
菊の節句は、重陽の9月9日なので、時期が違っているのだが。
雛飾りもいろいろな風習で変遷している。

雛飾りと菊を、はっきり繋げる情報はなかった。

ただ、菊は中国から縁起の良い花として入ってきた外来種。日本では、高貴・高潔などの花言葉を持つらしい、皇室とも縁があるくらいの植物。花言葉の方が皇室の影響を受けているのか。

縁起の良さという意味では、雛飾りの中にあっても何もおかしくないな、と思った。
しかも菊は種類によって、重陽の頃ではなくても、冬も春も咲いているらしい。

ということで。
雪洞の白い花は、雛飾りの会期にリアルに見かけたノースポール。
…と、勝手に決めることにした。