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過去から未来へと紡ぐ古代米の智慧

2021年9月11日、「丹後の智慧と紡ぎ手に出会うオンラインツアー Vol.3~過去から未来へと紡ぐ古代米の智慧~」が開催されました。

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【丹後の智慧と紡ぎ手に出会うオンラインツアーとは】
京都府北部に位置する丹後半島では、人々は昔から豊かな大自然と調和しながら、暮らし、働き、ものづくりをしてきました。
そこには永い年月を経て、紡がれてきた地域や暮らしの智慧が至るところに存在します。
そんな地域や暮らしの智慧を紡ぎ続ける魅力的な人々を紹介し、交流するオンラインイベントです。
主催:京都府丹後広域振興局(運営:一般社団法人Tangonian)

第3回目は、京都府京丹後市弥栄町芋野区で、古代米である赤米の田植えイベントや生産、種籾の継承、学生への講演、商品開発などに取り組む「芋野郷赤米保存会」会長の藤村 政良 さん・京都府 里の公共員弥栄町担当の福田 透子さんを講師にお迎えし、赤米(古代米)復活への智慧と古代米事業を通した地域づくりについて語っていただきました。

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【講師】

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藤村 政良(Masayoshi Fujimura) 
芋野郷赤米保存会 会長

地元企業で働いた後、現在は芋野郷赤米保存会会長として日々古代米栽培や伝承活動を精力的に行なっている。
また、地元の地域づくり団体 いやさか吉野地域づくり準備会でも会長を務め、地域づくりにおいても大きな役割を担う。

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福田 透子(Toko Fukuda) 
フードコーディネーター
京都府 里の公共員 弥栄町担当

地域のなりわいづくりの伴奏支援の一貫として古代米事業をサポート、イベントや出店、商品開発などを通して事業成長の手助けをしている。
また、コミュニティーキッチンやシェアスペースなどを兼ねそろえたカフェLINKUを、人々や物事の“ハブ”になることを目指し運営している。

奈良時代から紡がれてきた歴史"ロマン"を食べる

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「古代米」とは
祖先が栽培していた、古代の稲の特色を色濃く残した稲のこと。
「黒米」「緑米」、そして「赤米」は品種改良の対象にならなかったため現在でも弥栄町芋野区など一部の地域で栽培され続け、稲穂の背も高い昔のままの姿を残しています。
収穫...
古代米の収穫は品種改良されている現代の稲より遅く、収穫できる量も半量以下になります。
栄養素...
古代米の黒や赤の色は米ぬかからできており、アントシアニンが含まれているため栄養たっぷりです。
赤米...
古代米の中でも赤米は、邪馬台国や大和朝廷への献上米としても使用されたという歴史があります。これが赤飯の起源だといわれています。

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現在弥栄町の芋野地区で栽培する古代米は「古与曾(こよそ)米」と呼ばれます。その理由は、昭和40年平城京跡の発掘調査中に発見された木簡にあります。
ここに書かれていた「丹後国竹野郡芋野郷婇部古与曾赤舂米五斗」という文章から、「竹野郡(現弥栄町)芋野の古与曾(こよそ)という役人が芋野より平城京へ赤米を献上した」と分かり、「古与曾米」と名付けられたそうです。
藤村さんはお話の中で、「古代米を通して、皆さんにこの長い歴史を経て受け継がれてきたというロマンを一緒に楽しんでもらいたい。」とおっしゃっていました。

古代米を地域に根付く文化へ...

芋野郷赤米保存会 のはじまり

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昭和50年頃、京丹後市弥栄町出身で郷土史家の芦田行雄さん(写真左)が尽力したことにより、弥栄町での赤米栽培が再び復活します。芦田さんの活動により、弥栄町で栽培した赤米は宮津市の籠神社をはじめ伊勢神宮、さらには東大寺などにも奉納されました。
その後平成23年、藤村 政良さんが芦田さんの想いを引き継ぎ、地元住民と共に「芋野郷赤米保存会」を立ち上げます。

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芋野郷赤米保存会は、古代米事業が 地域に活力を与え、地域の方のなりわいとなることを目指して 様々な活動をされています↓

▶生産、種籾の継承
芦田さんから受け継がれた種を大切に、種籾(種の採取)も自分たちで行っています。

▶田植えイベントや学校での講義

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古代米に興味を持ってもらうため、地元の子ども達と一緒に種まきや田植え、脱穀などを行っています。

▶商品開発

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古代米をもっと多くの方に周知し、次世代に継承していくための資金調達のためにフードコーディネーターで里の公共員・弥栄町担当の福田 透子さんと共に古代米を使用した商品を開発しています。福田さんは活動の中で「古与曾米を使用したレシピの無料試食会」などのイベントも開催されています。

▶古代米資料館

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芋野郷赤米保存会が活動する京丹後市芋野区の区事務所の2階スペースには、古代米の実物や資料などが展示され、誰もが見学できる資料館もあります。
私も展示されている古代米の稲を実際に見てみましたが、その大きさに驚きました!

広がる古代米の可能性

古代米粉や古代米ラーメン、焼き菓子など福田さんを中心に古代米を使用した様々な商品やレシピを日々開発されています。

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芋野郷赤米保存会 古代米レシピ より)

実際に古代米シフォンケーキを試食させていただくと、砂糖やチョコレートなどを一切使用していないのにも関わらず、自然な甘さと香ばしさがあり、とても美味しかったです!

また、収穫された稲穂は玄米としてだけではなく、会のメンバーによりドライ稲穂やしめ縄などにも使用されています。

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芦田さんから種を引き継ぎ、様々な切り口から古代米の継承活動をされている藤村さん、福田さん。
地域の生業をつくりたい、地域を元気にしたいというお二人の熱い想いが古代米を通して伝わってきました。

Writer:岸 あやか (一般社団法人Tangonian)


\芋野郷赤米保存会HPはこちら/

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\芋野郷赤米保存会ネットショップ/

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\Tangonianウェブサイトはこちらをご覧ください/

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