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大坂なおみ選手、大会主催者側、ジャーナリスト、これらの人達をバッシングしている人、をバッシングしている人 これら全ての人達へ

大坂なおみ選手の会見拒否で思うこと


選手達は大会で優勝したり、優秀な成績を収めれば大会が用意した賞金を得ることになる。

その賞金は会見の向こう側にいるファンやスポンサーによって得た収入から捻出されるものであり、それは多くのスタッフがスポンサー獲得に向けて尽力し、大会設営や広報活動に従事するなど様々な業務の上に成り立っている。
そうして選手達は大会関係者やメディアのおかげで自分達を幅広く深く知ってもらうことができる。

だから大会主催者側の主張するメディアとの繋がりや会見の必要性も理解できる。

なおみ選手もそれを理解しているからこそ罰金を支払う覚悟をしているのだろう。

しかしそのような理由で、試合後の記者会見に応じる必要が絶対ならなおさらのこと、記者は選手に対して何を聞いてもいいのではなく、人としてもう少し選手を思いやるような、応援するような、むしろ会見に選手達が自ら出たくなるような内容に記者側も改善していく必要があるのではないだろうか。

会見に応えることも選手としての責任なら、それぞれ違う選手達が試合にだけ集中できるような環境づくりを整えてあげることも主催者側としての責任でもあるではないかと思う。


人はみな違うし、感じ方も捉え方も人それぞれみんな違う。

たとえ他の選手には耐えられたとしても、なおみ選手のように純粋かつ繊細で、人前で話す事が苦手な人にとって、人として疑問を感じてしまうような心ない質問には耐えがたく病気にまでなってしまう。
そのような人もいるという事実を知ったなら、理解して受け入れるべきではないだろうか。

その反面、人一倍負けず嫌いで精神力の強い性格が今の素晴らしい選手としての大坂なおみそのものを生み出しているのなら、会見での辛さは他の選手や自分達のものさしでは決して計れるものではない。

なおみ選手は記者会見に応じない、のではなく
したくても応じられない、できない。今はとてもできる状態ではないから拒否しているに過ぎない。
だから罰金を払ってでも自分を守る必要があったのだろう。

うつ病になってしまう人がいるなら改善していかなければならない、のではなく、たとえうつ病にならなくても他の選手のように自死を考えるほど傷ついてしまうような会見がある、ということが事実ならば、記者の質問の内容や会見の義務化を考え直していくべきではないかと思う。

記者側もファンが聞きたい内容やより多くの人の関心を引くような内容を聞き出したい理由は分かる。
しかし記者会見を聞いている側もいじめのような心ない質問を投げかけられている様子を見て、決して気持ちの良いものではない。

そんな会見を見て喜ぶ人はよほど悪趣味か自分に自信がない人であり、そのような人達をターゲットに会見をすることはかえって危険だ。

これが公の場で良しとされる世の中が、学校や会社でのいじめを引き起こしている可能性があることや危険な影響を及ぼしていることに気づいてほしい。

たとえどんな理由があろうと人を傷つけていいなんて常識が存在してはならない。

彼女に対するバッシングが相次いであるが、どうしても出来なくて一番困っている本人をさらに追い詰め苦しめているだけでなく、ネットでの誹謗中傷を誘発する行為でもあり、今の彼女に対してあまりに思いやりのない行為だ。

相手をただ責めることと相手を想うアドバイスは違う。


四大大会優勝を経験の杉山愛さんは


大坂選手の場合は、真面目で繊細で記者の質問も真摯に答えようとするからこそ、これだけ心が傷つけられてしまうことがあるんだと思う。本当に“嫌な質問”を投げかけられたときは、ノーコメントでも良いと思う。

と彼女自身を理解し受け入れた上で経験者としてのアドバイスしている。


なおみ選手の行動をわがままだと言う人も多くいるが、彼女は自分自身のためだけではなく、他の選手達も記者会見でたくさんの辛い経験をしていることから全ての選手のため、大会のため、これからのスポーツ界のために自ら勇気ある行動に移している。

全ての立場において改善する余地があり、時代を変える必要があると感じ行動する時は、自分の想いを大事にすると同時にバッシングを受けたり、今回のように罰金を払ったり、大事な試合を棄権したり、メンタル面の負担など自分の大事なものを犠牲にする覚悟も必要になる。

彼女にどのくらいの覚悟があったのかは分からないが、常識を変えていくにはこのくらい大胆にやらなければ気付いてももらえないし、変わってはいかないものだ。

だから記者会見拒否は彼女が精神的に弱いからとか甘いからではない。

強いバッシングをしている人達は、一見彼女を責めているようだが、本当の自分自身を受け入れることができずに、実はどこかで自分を責めてはいないだろうか。
本当に弱くてもろいのはなおみ選手ではなく、彼女をバッシングしている人達ではないだろうか。

それは彼女をバッシングしている人だけでなく、そのバッシングしている人をバッシングする人にとっても同じことが言える。

ただ責めている相手が違うだけで誰かを責めていることには変わらないからだ。

本人は意識していなくても、欠点のあるありのままの自分を受け入れられないから相手のありのままを受け入れることができない。
自分に自信がないから誰かを責めることにより自分は大丈夫なんだと安心したい。
自分の欠点をとてもこれ以上受け入れられないが故に自分自身と向き合うことを恐れ、人を責めているのかもしれない。

そんな人にとってたまたま今の標的が話題の彼女というだけであって、常に誰か標的を探して自分の誤った安心感を得ているに過ぎない。

そんな心が少しでもあるのなら、人を責め続け、さらに自信を失う行動を繰り返すのではなく、自分のためにも、人のためにも、勇気を持って自分自身と真剣に向き合うことをおすすめします。
人を責めている当の本人が一番苦しいのだから。

自分の記事で恐縮ですが、参考までに以前投稿したものを載せておきます。
少しでも読んでいただけたら幸いです。

私自身、ずっと周りの人達や自分を責めてきた一人です。だから気持ちは分かります。

誰でも欠点や苦手なことはある。それを認め受け入れることは誰もが怖いし勇気がいる。
だからつい人のせいにしてしまうもの。
でも誰にでも欠点の裏には美点がある。

人を通し、今回のような事柄を通し、自分とは何者か、ということにまずは気づくこと。

完璧な人など誰もいないのだからバッシングしている人が悪いのではなく、バッシングしている人を責めている人が悪いのではなく、なおみ選手、大会主催者側やジャーナリストが悪いのではなく、誰のせいでもない目には見えない理由がみんなそれぞれにある。

その分、彼女の強さや優しさのような美点、人を想う愛も必ず誰にでもある。

大事なことは、それぞれがそれぞれの立場で、良いところも足りないところもある等身大の自分を知り、受け止め、自分も誰も責めることなく今、ここから自分を変えていくこと。

誰もが不完全であり、そんな凸凹のある自分や人を責めるのではなく、自分の行動だけを見直し、変えていけばいい。

人を変えることはできない。
でも自分の意志で自分を変えることはできる。
自分が変われば相手も少しずつ変わっていくもの。

たとえ失敗しても、間違いを犯してしまったとしても、そこからやり直せばいい。
そうして自分を好きになれるような行動を諦めずに積み重ねていく。

そしてなおみ選手のように自分の、自分だけにしかできない役割を見つけることが、揺るぎない自信を手に入れる方法だと私は思う。


なおみ選手は自身に対する反省のコメントを出している。

(記者会見拒否の公表が)理想的なタイミングでなかったことや、メッセージももっと明確にすべきだったことは受け止めている。
傷つけたかもしれない全ての素晴らしいジャーナリストたちに謝罪をしたい。そして大会側に文章を送り謝罪と、大会後に話し合えたらうれしい


彼女は今大会の二回戦目は棄権している。
それは今回の件が、自分が思う以上に騒ぎが大きくなってしまったため、他の選手達が試合に集中できるように、さらに大会のためにも自分のためにもベストだと決断したようだ。

彼女は人を責めたいのではなく、誤った常識を変えたい、自分や自分のように苦しんでいる人のためにどうにかしたい、という思いから自ら行動に移している。

きっと彼女は誰のせいにもせずに強い精神力でこれからも"自分の苦手"とも向き合っていくことだろう。

自分の欠点を受け入れることができれば、人の欠点も許せるようになる。
そこから自分も、人も、成長していくことを願うことができる。
自分を大事にすれば、少しずつ人も大事にできるようになっていく。

誰もが完璧ではないのだから誰もが今の自分から成長できる余地がある。

だからこそいかに、

"人に向けた人差し指を、まず自分自身に向ける"

私は相田みつをさんのこの言葉をいつも自分の内に置いている。

人差し指を向けるというのは、決して自分を責めることじゃない、と私は捉えている。

自分に指を向ける。それは自分自身と向き合うこと。

人を責めていても自分は何も成長しない。
私自身、最初は主催者側を責めていた自分がいる。そしてそんな自分も責めていた。

でも、自分や人を責めてもさらに追い込み、また自分も人も責めるような負の連鎖になってしまう可能性もある。

だから責めるのではなく、人を通してまずは自分と向き合い不完全な自分を受け入れ許すこと。
不完全な自分を許すことができれば、不完全な人も許すことができる。
自分と人、双方にバランスよく意識を向けること。
そしてそこから自分が何を学び取るかが大切なのだと思う。

今回の件でスポーツ界における選手とメディアとの繋がりやシステムを知った。
人の振り見て我が振り直せで人を責める影響力を知り自分の学びになった。
人には見えないところにも理由があることを知った。

そしてなおみ選手から自分も人も大事にする"人"を想う姿勢を学んだ。

"自分もみんなも笑顔になれるような、みんなにとっていい方法はないのだろうか…"


今回の彼女の行動はそんな自分も人も尊重し、それぞれの立場になって考え歩み寄る、ということを、一人一人が自分に問いかけ、考えるきっかけを与えてくれている。

人を変えるのではなく自分を変えていく。
自分が変われば人も、そして周りも変わっていく。

今回の勇気ある大坂なおみ選手の行動が、これからのスポーツ界に、さらに人と人との関わりの中での全ての人達に前進的な変化をもたらせてくれることを心から願う。