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#29 香炉峰の雪

今年はやっと雪降ってきたな。

雪降る前だけど、雨がすごい時に石段を下りる時に滑って転んでさ。
なかなか痛みが残るので、念のためレントゲン撮ったら、尾てい骨にヒビ入ってたよ(笑)まあ、歩ける程度なんで、1か月ぐらいで治るらしい。
雪とかで滑って転ぶのは、オレはあと1か月はマズいな(笑)

今晩は少し積もるかな。ん?

■ 香炉峰(こうろほう)の雪、いかならん

枕草子だな。
しゃれたこと知ってるじゃんか。

これは、当時、清少納言が仕えていた、天皇の奥さん定子が言った言葉だ。
定子は、部屋にいる部下、女房たちに「香炉峰の雪、いかならん」って聞くんだ。
清少納言も、その女房の1人。

香炉峰の雪っていうのは、漢詩の一節。白居易かな。

■ 香炉峰雪 撥簾看

香炉峰という山の雪を、すだれを跳ね上げて見る、という意味。

周りの女房たちは、きょとんとしているが、清少納言はこの漢詩を知っていたんだろう。
部屋のすだれを上げて、外の雪景色を定子に見せたって話だったな。


前にどこかで言ったけど、高貴な女性は基本的に部屋にいて顔を見せない。
でも、定子は、普段から男前な性格で、部屋の外に出ていくような大胆さがあった。
また、男性が学ぶような漢文の知識もあった。

その定子の「香炉峰の雪、いかならん」に、ピーンと来て、定子のいる部屋のすだれを上げて見せたんだな、清少納言は。
で、定子はにっこり笑みを浮かべたんだ。

清少納言もいい女なんだが、この定子っていう帝(天皇)の奥さんも味わい深い女性なんだ。


・・時の帝、一条天皇は、11歳の時に14歳の藤原定子と結婚した。
定子は、男前なところもあり、また、男性貴族が学ぶべき、漢文の素養があった。
一条天皇は、本当に定子が好きだったようだ。

11歳、当時の考え方がどうかわかんないが、今の感覚でも、思春期に入る男の子が、定子のような勉強もできて、はつらつとしたお姉ちゃんがいたら、恋するよなー(笑)

社会科のお勉強的には、藤原氏が娘を天皇に嫁がせ、実権を握ったーなんていうんだけど、当人たち、当時の雰囲気を想像すると、もっと人間的な感覚で理解できると思わないか?
大好きだったんだ。

定子はその後、そういった権力抗争でお后の場から外される。
定子は身体を壊す。
出家する。
別の奥さんをもった一条天皇は、それでも定子を思い続け、会おうとする。
そして定子は子供を産み、力尽きて亡くなる。

別の機会に譲るけど、枕草子は、そんな定子のために書かれた文章。
清少納言が、自分を認め、育ててくれた定子のために書いたんだ。


・・定子の人生。
女性として幸せだったのか?
それは、まずは、本人がどう思うかじゃないかな。
そのようにしか生きられない。
そう思って、やって、力尽きたから、人生を終えた。

まずは、本人がそれでいいのなら、それでいいと認めてあげることが大事じゃないかな。
仮にそれが、うん、今話題のあの人のことでもさ。

で、清少納言は、自分から見た、憧れの女性、定子のことを思うから、定子のすばらしさ、定子の素敵なところを書き残そうとしたんだろう。
枕草子は、定子に見せていて、定子の死後も書かれた。



・・あの人の死もさ、かわいそうだというのは、俺たちの目線。
本人がそれを思ったんだったら、それは、うーん、言い方難しいけど、認めてやるべきじゃないかな。

その上で、あの人を大事に思うなら、あの人がしたこと残したことを、それでも、受け継いで残してあげることが一番なんじゃないかな。
供養って言い方もあるし、リスペクトって言い方もあるだろう。

それが大事なんじゃないかな。


・・オレたちは歌えないけど、カラオケ流して聴いてみるか。

■ 降り始めた雪は
  足跡消して
  真っ白な世界に
  ひとりのわたし

  ・・
  ありのままで
  空へ風に乗って

  ・・
  光を浴びながら
  歩き出そう
  少しも寒くないわ

この歌をなくすことはないよ。
これからも歌ってあげればいいじゃないか。
あの人が、教えてくれた歌だから。
歌い継いでいくことが、あの人の望むことなのは、間違いないんだと思うよ。

オレたちは、もうちょっと生きようか。
寒いから、体を温めよう。
焼酎のお湯割りか?(笑)

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